小麦句会 on blog

俳句「麦の会」の句会のひとつです。 ネット句会を月二回行っています。 この句会は誰でも参加できます。

第440回小麦句会結果発表(その1)

2020年11月08日 10時19分51秒 | 1日句会
あたたかい立冬になった。
アメリカの大統領選、毎回大騒ぎ。
いろいろな見方があるが、日本もあれくらい盛り上がってもいいのかもしれないなと思う部分もある。
 
では、句会結果発表お楽しみあれ!
二回に分けています。
 


 


 


★結果発表★
 

一人居の屋根を覆ひて柿たわわ  春生

◯(アネモネ)もうだれも捥ぐ人の無く。

◎(瞳人)だれも取る人いない、皆、年取るんだ  

〇 (多実生) 剪定しないでいるとこんな光景になります。

 

二個ぐらゐ盗つてよささう柿たわわ   幹夫

○(泉)「二個ぐらゐ」とは、遠慮していますね。

◯(アネモネ)もう二個でも三個でも。

○(餡子)豚や合鴨や果物など大胆に盗む集団がニュースになっていますが、この柿くらいは許されるでしょう。

〇(ちせい)季語は「柿」。ユーモラスな発想で、「柿たわわ」で着地しました。

〇(楊子)俗人大好きです。自然が美しいのは人が貧しい心をもっているからかも。

〇(宙虫)たわわな柿の姿いまや山里の景にすっかりなっている。

 

木の下に擬態するもの熟柿かな  ちせい

○(メイ)「擬態」によって異次元の世界が見えてきました。

 

柿の実を一つ残してカラス啼く   仙翁

○(あちゃこ)木守柿としての柿の実。カラスの意志では無いのでしょうが。裏寂しさを感じます。

◎(道人)人ではなくカラスが残した柿の実一つ、何か深い意味がありそうだ。

 

想像のままの晩秋先急ぐ   まきえっと

 

平らげる秋や名代の青暖簾   あちゃこ

○(まきえっと)由緒正しい感じがしますね。

○(敏)「平らげる秋」に名代の季節料理の素晴らしさが想像されます。

 

柿もげば列車が走る鉄道あと   宙虫

 

最果ての森置き去りの熟し柿   敏

〇(ちせい)季語は「熟し柿」。最果ての森とは発想がいいと思いました。

 

柿たわわ同級生という老人  珠子

〇(春生)幼馴染ももう年を取ってしまいましたね。昔が偲ばれます。   

〇(藤三彩)気がつけばみな、おじ・おばの顔 

◎(仙翁)同級生という老人、どういう場のどういう出会い、関係なのか。

〇(楊子)オチが・・・・。おもしろい。

○(まきえっと)同級生という老人が面白いです。」

◎(メイ)見かけは老人でも自分の中には若さもあるのだから、老人に同級生と名乗られたら驚くのだ。たわわな柿で心のバランスを取り戻す。

○(卯平)同級生と話している私も貴方と同じ老人だ。柿も同感している。

◎(宙虫)お互いにそう思って会うんだろうな・・・。自分もその中のひとりと実感しなくては。

 

秋深き老舗の暖簾にオーラかな   泉

〇(藤三彩)老舗といわれる料亭や宿などがコロナ禍で危ない。家族経営が守られますように。

 

村里に国勢調査柿すだれ   アゼリア

○(泉)国勢調査、お互いに大変です。

◎(幹夫)5年間の間に過疎化のまた進んだ村の軒にびっしり柿すだれは、輝く村の大きな魅力。

〇(珠子)ネットでちゃちゃっとできる時代ではありますが、柿すだれの景には国勢調査員が似合います。   

◎(餡子)全国津々浦々国勢調査はゆく。過疎の村にもやってくる。  

〇(楊子)自然と国勢調査という異質で平等なものに感じ入りました。

○(メイ)柿すだれの一軒ごとに、あまねく国勢調査が行われる国に住んでる私達。

〇(卯平)過疎化の中、今更国勢調査など。。。。干し柿を潜り抜けてくる調査員を迎える詠み手。

〇(宙虫)この家に住んでいる人がいる証の柿すだれ。

 

(選外)(道人)着眼点が佳い。国勢調査員らしき老人が何人かいましたね。村里らしいのんびりした景。

 

紅葉づれる庭の千草も柿の木も   アネモネ

◯ (アゼリア) 紅葉づれるの措辞に惹かれました。

 

この店のこの饅頭が好き里は秋    餡子

〇(瞳人)慶応元年創業という水ようかんを、おいしく食べたなあ。きっと古いんだね、この饅頭

〇(楊子)話し言葉が効いています。このような暮らしはきっと幸せです。

○(まきえっと)「好き」が好感持てました。

〇(宙虫)なんでもない饅頭の人気店がある。

 

ふる里に知る人絶えて柿たわわ   めたもん

○(泉)この様な人は、多いことでしょう。

○(あちゃこ)変わりゆくものと変わらないものを改めて思い知るこの頃です。

〇(瞳人)柿は日本人のこころに、どうしても来るね

〇(春生)故郷を訪ねても知る人がいなくなった寂しさ。浦島太郎の心持。

○(メイ)たわわな柿だけが子どもの頃を思いださせてくれます。

○(餡子)まだ絶えては居ませんが、疎遠になっています。柿たわわが寂しい。 

〇 (多実生) ちょっと長く生きると句の通りです。

 

甘と渋たわわに偏固に狭庭柿    瞳人   

 

廃線のうわさ十年山粧ふ   メイ

○(泉)廃線になると、困る人が多いですからね。

◯(アネモネ)無くなったら淋しいでしょうね。

○(幹夫)「廃線」の暗と「山粧ふ」という明が対比して詠まれています。

〇(珠子)廃線のうわさはうわさで終わってほしいものです。道路が通るなどといううわさは十年も二十年も続きますよ。 

◎(春生)過疎化が進んでいく地の自然の美しさ。何とか過疎をくい止めたいですね。 

◯(道人)日本中廃線対象路線が目白押し。何とか頑張って欲しい。

○(餡子)栄枯盛衰は仕方の無いことなのであろうが、有ったモノが無くなるという寂しさは耐えがたい。山は変わらないのだが。  

〇(藤三彩)利用客の減少で軒並み交通電鉄各社が赤字の報。うわさのうちならまだよかった

○(まきえっと)このままずっと走ってもらいたいです。

〇(めたもん)廃れゆく過疎地の時の流れを中七「うわさ十年」が言い当て、それを下五「山粧ふ」が受け止めています。十年を経て変わらない秋の山が美しい。

 

秋耕を窺う鳥の目獣の目      藤三彩

○(あちゃこ)自然は厳しくもあり、温かくもあり…野生の存在感。

〇(珠子)鳥は単純に慌てふためく蚯蚓や虫を狙うのでしょうが、獣には作物のおこぼれを狙うだけはない、他の思いもある気がします。

〇(ちせい)季語は「秋耕」。落穂拾い的な魅力が、動物たちに。

○(メイ)冬に向かう生きものの必死さが「窺う」に表現されている。

◎(敏)田畑の土中の昆虫等を窺う鳥、その鳥を狙っている野獣(その獣を人が狙っている?)、食物連鎖の一環を見ているようです。

〇(宙虫)それぞれの目はそれぞれの見え方でこの秋耕をみている。

 

一両の復興電車柿の秋   道人

○(幹夫)「復興のシンボル」三陸鉄道リアス線の景が素直に詠まれています。

〇(珠子)コロナ禍からも抜け出したい。電車に乗って出かけたい。   

〇(春生)震災地の復興電車の走る風景。郷愁が漂っています。   

◎(ちせい)季語は「柿の秋」。一両の復興電車が柿の秋を盛り立てていると思いました。

〇(藤三彩)「あまちゃん」の三陸鉄道リアス線全線運行再開、よかった

〇(仙翁)ささやかな復興、ここから始めましょう。

◯ (アゼリア) 復興電車の明るい響が希望に満ちています。

 

秋色を抜けるローカル線の窓   仙翁

○(幹夫)写真の景がリズム佳く詠まれており共感です。

◎(まきえっと)「秋色を抜ける」がいいですね。

 

強父論羨ましくも柿実る  瞳人

 

(選外)(道人)強い父へのノスタルジャ。

 

変わらずの甘酒饅頭小春かな   藤三彩

○(まきえっと)「変わらず」って大変なことですね。

〇(めたもん)小さいころから食べ慣れた甘酒饅頭は、贅沢なスイーツなどにない「小春」にふさわしい味がします。

 

柿熟れて謀などありませぬ  楊子

〇(瞳人)さ、日本シリーズだ、名将よ、とことん謀を巡らせてくれ、柿食いながら観戦だ

◯(道人)熟柿には謀議など絶対にないでしょう。上五は今回よく使われている「柿たわわ」の方がいいかも。

〇(仙翁)はかりごと、止めましょう。誠実に。

◎(めたもん)そう来ましたかという感じで、分からないまま何故か納得。柿が熟れていくのは極自然で謀が入り込む隙などないのです。時代劇のような言い方、様々な読みができることも楽しい。 

 

生ひ立ちを語る仲間や熟柿吸ふ  春生

◎ (多実生) まだ、こんな友が一人居り貴重な存在です。

○(卯平)まあ、貴方の生い立ちなどそんなに嘆いてももう先はないのに。熟っしょ(熟柿=鑑賞者地方の方言)でも食べなはれ。

 

ふる里や授かり賜ふ秋日和   卯平

〇 (多実生) こんな日に出会えれば最高です。

〇(ちせい)季語は「秋日和」。お天道様への感謝ですね。

 


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