小麦句会 on blog

俳句「麦の会」の句会のひとつです。 ネット句会を月二回行っています。 この句会は誰でも参加できます。

第440回小麦句会結果発表(その2)

2020年11月08日 10時30分01秒 | 1日句会

結果発表つづき

 

大甕に柿の一枝妻籠宿   あちゃこ

〇(春生)妻籠宿の素朴さが出ました。旅人を歓迎しているようです。  

◯ (アゼリア) 大甕に敢えて一枝がいいですね。甕は備前かなーなんて想像して楽しんでいます。

 

故郷では採って食うもの柿たわわ  多実生

○(餡子)先日散歩をしていたら、農家の方が「柿持ってっていいよ」と5〜6コ下さいました。たまたまスーパーで結構高い柿を買って有ったので食べ比べたら、戴いた柿の方が味は抜群でした。採って食うものですね。 

 

秋灯や谷崎潤一郎の宿  楊子

○(卯平)秋灯に似合う作家は誰だ。果たして谷崎は合うだろうか。しかし、三島由紀夫よりましか。

 

人乗らぬ列車通過す神無月   敏

 

濃紅葉や柵無きレールに近き山  ちせい

 

ふるさとの空とてくてく冬隣  珠子

○(あちゃこ)心がホカホカしてきます。てくてくが心地よい。

◯ (アゼリア) ふるさとは歩くに限りますよね。思いもかけぬ懐かしい景色や懐かしい人と出会えたりします。

 

秋耕やガタリと始発電車出る   餡子

◯(アネモネ)ガタリがいかにもです。

 

一輌の特急列車大花野   卯平

○(泉)大きく出ましたね。面白い!

○(敏)大花野を行く列車はたったの特急一輌、花野は簡単に抜けられそうにはありませんね。

 

老婆売る訳あり林檎傷林檎   めたもん

○(幹夫)写真の景から飛んでの発想がよいですね。

◎(あちゃこ)かつて見慣れた確かな景です。空気感も伝わってきました。青森の路上風景を思い出します。

 

爽やかに「下ノ畑ニ居リマス」と  アネモネ

◎(藤三彩)山の家を訪れると、いない。竹籠に野菜を詰めて戻るのだろう、新鮮な酒肴になるのを待ちましょう。

〇 (多実生) 農家では留守勝ちですが、必ず近くの田畑です。

◯ (アゼリア) 多分鍵もかけずに畑仕事なんでしょうね。長閑でいいですね。カタカナ表記が効いています。

○(敏)宮沢賢治の面影を思い浮かべました。

○(卯平)宮沢賢治さんは飄飄と一生を過ごした。だから「爽やか」。

〇(宙虫)ゆったりとしたこの空気感がいい。

 

一生を故郷に生き花野かな   泉

◯(道人)私の人生とは対極。「花野かな」の感慨に自負が垣間見える。惹かれる生き方。

〇(めたもん)直接的にはずっと故郷に生きてきたと読めますが、敢えて望郷の句と読みたいと思います。離れても心はいつも故郷と生きてきた、そんな「私」を支えてきた故郷の花野です。

◎(卯平)その一生は黄泉まで通じている。現世から花野の世界へ輪廻の永久の流れ。ふる里はその土壌。

 

(選外)(メイ)人生を肯定する思いを、「花野かな」がしっかり受け止めているよう。

 

小春日や一両電車の二人連れ   メイ

◯(アネモネ)小春日がいいですね。

○(あちゃこ)あれこれドラマが想像できて楽しい一句。恋人?父と子?老夫婦?

〇(仙翁)どんな二人連れでしょうね。

〇(楊子)窓際に隠れる所もない1両の電車の音がきこえます。幸せは近くにある。

 

秋晴の麓に遊ぶ猿の密   幹夫

 

ダイヤ見て待つ間城山秋数多  多実生

 

母逝きて父は猫背に冬菜畑   アゼリア

◎(アネモネ)内もそう。得心です。

〇(瞳人)さびしいなあ

〇(春生)連れ合いを亡くされた父の悲しみをしっかりと受け止めている子の心情。 

◯(道人)「冬菜畑」が上12と合っている。

○(餡子)妻を亡くした夫は、途端に元気がなくなるとのこと。悲しみが 伝わって来ます。  

〇(仙翁)背中の寂しさがうかがえます。

〇 (多実生) 私の父もこんな運命でした。

〇(めたもん)父親の畑での後ろ姿でしょうか。厳しい冬を生きていく一人になった猫背に冬菜が寄り添います。

○(メイ)冬菜畑に猫背の父を遠くから見ている、作者の思いを想像しました。

 

まんじゅうを買えば銀河をゆく汽笛   宙虫

◎(珠子)「まんじゅうを買えば」と銀河鉄道の汽笛との取り合わせに惹かれました。庶民のメルヘンです。   

 

大阿蘇をつつむ群青鷹渡る   道人

◎(泉)雄大な景色が詠まれています。

○(幹夫)阿蘇の大空を鳥渡る・・・大きな景が詠まれる。

〇(藤三彩)熊本地震で不通となっていた豊肥本線がこの夏に開通したそうだ。阿蘇カルデラを通る「阿蘇高原線」からはこのような広大さなのであろう。

〇(ちせい)季語は「鷹渡る」。青空を鳥が渡り、大阿蘇が聳えている。

〇(めたもん)晴れわたった阿蘇の空を鷹が南に帰って行きます。中七「つつむ群青」が効いてゆったりとした大きな景が浮かびます

◎ (アゼリア) 景が大きくて景が良く見えます。

○(敏)大阿蘇を包んだ群青の空を飛んで行く鷹の姿が印象的です。

 

硝子戸の映す青空柿たわわ    まきえっと

◯(道人)硝子戸に映る青空の発見がいい。しかも主格は「硝子戸の」  

〇(仙翁)情景が爽やかに浮かびますね。

◎(楊子)青空に柿は良く詠まれますが、ワンクッションある青空を詠まれたことが新鮮です。

○(敏)青空と柿をあしらった一枚の額縁絵のようですね。

 

 

★★★

次回句会は11/15投句締切。

まきえっとさんからの告知をお待ちください。

 

 

 

 



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1 コメント

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ご苦労様でした ()
2020-11-09 11:30:07
宙虫さん、句会当番のお役目ご苦労様でした。今後とも、よろしくお願いいたします。

アメリカ大統領選挙はバイデン氏が勝ちました。トランプ大統領は、やはりコロナ対策の失敗でしょう。それでも大接戦だったのだから、アメリカ社会の大きな変化を感じました。中産階級の没落は、世界的な現象だろうと思います。
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