一年ご参加いただきありがとうございました。
投句一覧を載せた日は暖かかったのに、次の日から急に寒くなり訂正したかったです。。
寒いとよく寝れる? 今朝は8時まで寝てしまい、少し焦りました。
よいお年をお迎えください。
兼題:落
頬落ちて語る給食狸汁 幹夫
冬雀ハンカチ落としの輪が乱れ 宙虫
○(アダー女)子供の頃よく遊んだ記憶が蘇ります。自分の後ろにハンカチ落とされてないか振り向いたりするうちに丸だった円がだんだん崩れていく。何でもないそのまんまの句に冬雀の季語がピタリ。懐かしく、ほっとする句です。
年末やついにドジャースへ落ち着いて 泉
極楽と黴餅も美化説く落語 吾郎
○(仙翁)そんな落語がありそうですね。
義士の日の椿ごろんと落ちる音 カンナ
○(吾郎)首打ち取ったり!的な
椿落つ正義に飽きた音たてて 楊子
〇(めたもん)戦争はいつも正義と正義の衝突です。その正義に飽きた音。いろいろと考えさせられます。
いくたびも落ちて聖樹の綿の雪 アネモネ
〇(春生)少しの空気の動きにも敏感に反応しますね。
銀漢や最終便の都落ち 卯平
○(アネモネ)都落ちといっても豪華!
○(餡子)ドラマのようないろいろな場面が空想させられます。銀漢は秋の季語なので、今の時期、冬の季語でもこの場面にピッタリの季語があるような気がします。
〇(春生)行先はどこだったのでしょうか、不安な気持ちが出ました。
映画あり生ききり逝ける冬落暉 藤三彩
落魄の元市長さん大根引 道人
〇(瞳人)何をやりました、今はやりのパワハラか
◯ (アゼリア) 悪政の市長職より、美味しい大根を引く方が有意義に思います。
落日の峰雁が音の遠き影 仙翁
○(幹夫)「雁が音」という秋9月頃の季語。遠き落日から雁が音が聞こえてきそうです。
◯ (アゼリア) 一幅の日本画のような趣のある俳句と思いました。
落ち八つ目活力は之と道修町 瞳人
落丁の少女期ポインセチア真っ赤 餡子
○(アネモネ)「落丁の少女期」が上手い。
〇(カンナ)意欲作だと思います。
○(宙虫)真っ赤と強調したのが刺激的でいい。
○(卯平)少女期とポインセチアは緩い。しかし落丁の少女期は言い得て妙。真っ赤は少女であれば当たり前だろう。
◎(めたもん)「落丁の少女期」という哀しい喪失感。「ポインセチア真っ赤」がそれを更に深いものにしています。
◎(吾郎)私の絶頂期もしくは黒歴史
◯(道人)「落丁の少女期」の措辞が秀逸。
◎(あき子)少女期の不安定な気分(落丁、真っ赤)がポインセチアで花開くよう。各語のリズムに、胸が締めつけられる思いがします。
◎(あちゃこ)落丁という斡旋が上手く、実感を感じます。共感。
極月やゴシゴシ落とす胸のしみ あちゃこ
〇(楊子)今年の決して消えることのない胸のしみかもしれませんが、物理的な行為との面白さがあります。
◎(アダー女)今年も最後の月。いろいろありました。良いことは胸にしまい、嫌なこと、辛いこと、自分の犯した過ち等々、胸にシミのようにこびりついている思いはゴシゴシ洗って落とせる物なら洗い流したいものです。
◯(道人)落ちないものを落とそうとしたくなるのも極月らしい。
〇(ちせい)ペイントのシミだったのかもしれません。
星落ちぬ寒きベランダに寝転びて アダー女
笹の葉を滑り落ちたる雪の音 春生
○(アネモネ)静謐な景。
○(仙翁)何ともない景色ですが、動きが見えます。
◯ (アゼリア) どさっとした音に驚いたものです。
着ぶくれて延々落ちのない話 あき子
〇(楊子)つぶやきや愚痴に落ちなどあるはずがありません。屋台に背を丸くして座るおじさんたちを想像しました。
◎(アネモネ)得心得心。なかなかの俳味です。
○(卯平)爺と爺や婆と婆同士の話はこうなる。
〇(ちせい)佇む姿が思い浮かびました。
◯ (アゼリア) 時々してしまっているようで反省です。
吹き溜まる過去の軽さよ落葉掃く めたもん
○(藤三彩)過ぎ去ってしまえば記憶の彼方へと消える・・・まあいいか
○(アダー女)今は落葉を掃くのが大仕事ですね。風で吹きだまりになっているところは纏まっているから掃除も楽ですが、待てよ!確かに枯葉になる前のさわさわと木々に生い茂っていた葉っぱ達のなんと軽くなった末路よ。ちょっと無常観を感じます。
落暉後の意外に長き冬夕焼 多実生
ふるさとの話をしよう虎落笛 珠子
〇(楊子)ふるさと方面から聞こえてくるようにおもうのかもしれません。郷愁をさそう虎落笛です。
◎(幹夫)「虎落笛」との取り合わせが胸を打ちます。
○(アダー女)ちょっと淋しくなる冬の厳しい風の音に真逆の懐かしい優しい気持ちになる「ふるさと」の話を持ってきたところが上手いですね。仮名表記も効果的。
〇 (多実生) 私の郷は上州からの空っ風で、凄まじく電線の鳴る虎落笛でした。
〇(あき子)虎落笛が舞台を作り上げて、話が始まるのを待つているよう。
〇(まきえっと)「虎落笛」が郷愁を誘います。
平野姓は落人の証榾の宿 アゼリア
○(餡子)雰囲気のある句ですね。平野さんは平家なのでしょうか。各地にある平家落人伝説、「榾の宿」でその伝説を聞いているのでしょう。
落葉道なるべく足を浮かせ行く ちせい
ずり落ちる分厚き眼鏡大嚔 まきえっと
〇 (多実生) 分厚いが嚏の大きさを表現していて面白い。
テーマ:飼うなら
河豚とキスいいわ可愛い好きと愚夫 吾郎
○(宙虫)リズムが軽やか。回文のなせる技!
○(泉)見事な回文俳句だと思います。
〇(めたもん)ポンポンと展開する軽いおかしみ。このように回文として17文字を構成する脳力に脱帽です。
○(餡子)河豚の口はかわいいです。でもすぐに、腹中へと収まるんです。河豚さん、ゴメンナサイね。
◯(道人)俳諧味あり。「河豚のキス」が素敵だ。
〇(まきえっと)可愛いですね。リズムがいいです。
寒き夜に生れし仔犬目をひらく 幹夫
○(宙虫)生命力を感じる。
顔出すな鋭き牙の山鯨 藤三彩
犬猫を同時に飼いたい年詰まる ちせい
語り部の体(てい)の虎猫冬日向 珠子
最果てに熊飼い慣らす老漁師 アゼリア
○(藤三彩)北の果ての番屋で「オイコラ!」と熊を?りつける。迫力のあるTV番組だった。
○(アダー女)知床の漁師さんですよね。何度かテレビで見ましたが、堂々と熊を叱る老漁師。確かに意思の疎通をはっきり感じますね。凄い!
〇 (多実生) 画像で見た、老漁師が大声で羆を遠ざけていた。
○(吾郎)旅路の果ての愛憎
◯(不来方)ムツゴロウならぬ老漁師の孤影に共感。
○(あちゃこ)実際の人物が生きており、かつてドキュメントに見入りました。
飼うなら兎可愛いし非常食にも カンナ
○(幹夫)昭和天皇が行幸の時、村人からのおもてなしは好物の兎が馳走だったという蘊蓄。
○(泉)ユーモラスな俳句だと思います
小春日の椽側遊ぶハムスター 卯平
〇(ちせい)ほのぼのとした景で、小春日、日向ぼこにふさわしい景だと思いました。
少年時蜜柑の好きな目白飼う 多実生
○(アネモネ)面白い目白ですねえ。
上目遣ひ一言ありそな河豚の面 瞳人
身辺に死語はべらせて竈猫 楊子
○(宙虫)世間では死後となっている竈猫。俳句では生きている。
〇(珠子)どんな死語を侍らせたのかと想像してはみたものの、私もどっぷりと死語に浸かっているので抽出できません。竈猫も死語ですね。
〇 (多実生) 燃料がガスや電気に変わり、竈も死語になりつつ竈猫も。
○(あちゃこ)竈猫を上手く詠まれています。季語は大事。
〇(ちせい)死語と竈猫。身辺が忙しくなるのかもしれません。
数え日や恋の蛹を飼いもして 餡子
川三つ越えて白鳥来るを見に アネモネ
○(吾郎)大変だろうけど雄大な風景
◎ (アゼリア) その価値があると思います。草田男の俳句を思い出しました。近くの沼に来ますが、心待ちにしていて見に行きます。
〇(まきえっと)大きな景ですね。
着ぶくれて引かれて行くよブルドッグ あちゃこ
〇(瞳人)飼う人の気が知れないのですが
○(幹夫)結構可愛いブルドッグ!様子が目に浮かんできます。
○(泉)ユーモラスな俳句だと思います。
小春日や哲学をする半野良の猫 仙翁
○(吾郎)半眼で日向ぼこの猫は哲学者風
(選外)(藤三彩)暖かい冬。壁の上で昼寝かな。
(選外)(道人)テーマはとても面白いが、リズムに違和感を感じる。勝手ながら例えば「半野良の猫小春日を哲学す」もありかと。
冬青空少年の日の伝書鳩 道人
○(アネモネ)懐かしい景です。
○(珠子)昔こういう少年が近所にいました。そういう少年が年を経た今も飼っているのでしょうか。我が家近くの空を時々群れ飛んでいるのを見かけます。
〇(めたもん)中学生のころ鳩を飼った記憶がよみがえりました。鳩を見上げた空はとても青かったなぁ。
○(餡子)子供の頃、伝書鳩を飼っていた(ものすごく大きな鳩小屋でした)友達がいて、 この句に郷愁をそそられました。あの子はどうしているかなあ。
○(仙翁)ふと、昔の景色が見えてきたような感覚でしょうか 。
◎(春生)少年の夢を運ぶ伝書鳩ですね。季語「冬青空」が効いています。
〇(まきえっと)ご近所で伝書鳩を飼っている家がありました。鳩は苦手ですが、懐かしさを感じる句です。
馴鹿の幸せを呼ぶ鈴の音 まきえっと
○(藤三彩)馴鹿=じゅんろくとはトナカイのことらしい。
猫とする夕日の話漱石忌 めたもん
○(藤三彩)『吾輩は猫である』の作者は猫好きだった。養老孟司氏のマルちゃんはあっちの世へ
◎(宙虫)猫と漱石はありきたりだが、ドラマの終わりのような景に魅かれる。
◎(珠子)猫とする「夕日の話」にぐっときました。
白息や象鳴き坂を登りくる 春生
◎(泉)迫力満点ですね。
○(卯平)景が見える。
○(仙翁)いろいろ景色が浮かびますが、面白いと思います。
膝寒しニコボの笑みに寄り添われ アダー女
夢を喰う獏との暮し山眠る あき子
◎(道人) 飼えないものを飼うのは夢かも。その夢を食う獏との暮しは夢のようだ。出来れば山深い里がいい。
○(あちゃこ)獏かぁ。想像を越えた一句。取り合わせ良く、天にするか迷いました。
〇(春生)長い長い冬の時間を獏と過ごす幸せが感じられます。
葉牡丹や僕の出もどる飼育かご 宙虫
◎(藤三彩)渦巻の中が飼育かごという発想が面白い。
◎(カンナ)飼育されているのが僕という発想が面白いです。「出もどる」にユーモアがあります。
○(餡子)飼育されていたボク?飼育籠を見つけたボクの過去への回想?どちらにしても作句の観点がおもしろい。
◯ (アゼリア) 安倍公房風の不思議な句と思いました。よくわかりませんが気になったので選ばせていただきました。
凩のなか我を待つ秋田犬 泉
〇(あき子)凩のなかの、ひたすらの健気さですね。
雑詠
はとバスのガイドの訛り冬うらら 泉
〇(楊子)東京のはとバスに就職した地方の出身者なのでしょう。かえってほっとするバス旅です。寒さも和らぎそうです。
◎(瞳人)すえは、ひばりか?八代亜紀
○(卯平)訛りと感じさせる事を「はとバス」を経営している会社は許さないだろう。しかし乗客はそれを楽しんでいる。
仮の世の借りものポインセチア燃ゆ 道人
飢える子のニュース聞こえる鍋突く 仙翁
○(幹夫)何処か外国でのニュース。日本は平和で幸せだ。
客引きのリップピアスの寒き首 アゼリア
〇(瞳人)寒いですねえ、とても
〇(カンナ)写実が上手い句だと思います。
○(宙虫)冷たい夜の歓楽街、ドキッとする。
〇(あき子)リップピアスがとてもリアルで、寒き首に客引きの生活感を感じました。
苦い煩い推しオイラずわい蟹 吾郎
〇(カンナ)苦い煩いとずわい蟹の反転に感心しました。
靴箱の鍵のイの壱年忘 珠子
〇(楊子)「イの壱」で日本風の旅館ということがわかります。一番乗りで来たこともわかります。こんななんでもない細かいことを詠める俳句が素晴らしい。
〇(瞳人)うーん、そこまで老いたか、わがことも
○(幹夫)脱いだ靴は覚えやすい所に仕舞って、その鍵はいつものように右ポケットに。
○(卯平)このような場所で忘年会は羨ましい。
〇(めたもん)居酒屋の靴箱の鍵の文字でしょうか。どうでもいいようなことこそが、リアリティある俳句の生命と再認識。
〇(まきえっと)履き間違えることがなくていいですね。
血縁を解く文書く霜夜かな 卯平
〇(春生)「血縁を解く文」とは具体的にどういうことか分かりませんが、一大事です。季語「霜夜」が効いています。
雑記帳おおかた白紙年果てる 楊子
○(吾郎)書かなければならないものではなし──で、さて、来年は?
〇(あき子)いろいろあったはずだけど「おおかた白紙」で年果てる、そんな脱力感に共感します。
十二月が降る街食器乾燥機 宙虫
薪積んで陶工房の去年今年 春生
○(泉)陶工房には、年末年始は関係ありません。ご苦労様です
(選外)(藤三彩)登り窯でしょう。
数え日のパソコン急に黙りこみ あき子
〇(珠子)本っ当に困ります!こんな時に困らせないで!と泣きたくなります。擬人化は難しいのですが、ここでは効いていると思います。
青蔦の紅くなれない寂しさよ カンナ
摺り下ろす大根居場所確かめる まきえっと
〇(仙翁)何処に居場所があるのでしょうね。
○(あちゃこ)自然体と展開のうまさ。
大嚔してすこしだけ海動く 幹夫
〇(カンナ)一句一章ですが、季語からの飛躍が良いと思います。
〇(珠子)この大袈裟感が楽しい。それにしても、おじ(い)さんの嚏はナゼあんなに大きいのでしょうね。
○(アダー女)なんと言うことない情景なのに共感を覚えます。大きな嚔をしてぐらっと目も脳みそも冬の海がちょっと斜めになったような感覚。落ち着けば元の冬の海。
○(あちゃこ)なるほど。地球も動くかな?
諾々と生きて柚子湯を溢れしむ 餡子
◎(楊子)幸せとはこのことでしょう。共感とあこがれとが一体になりました。少しの欲があり、このようにはまだ生きられないわたしです。
〇(珠子)どうしても諾々とできなかったものも多かったハズです。「柚子湯を溢れしむ」が平和でほっとします。今年も終わりますね。
〇(めたもん)組織人として生きたことへの自嘲でしょうか。柚子湯くらい思いっきり溢れさせなくっちゃね。共感します。
〇 (多実生) 冬至の柚子湯、溢れしむが巧い。
都鳥白い眉毛の池波が 瞳人
冬薔薇の下向く土はぬかるんで ちせい
日記買う右半分は俳句帳 多実生
〇(瞳人)句そのものが日記です、あたくしは
○(泉)熱心ですね。見習いたいものです。
〇(ちせい)俳句の吟行などに便利だと思います。「右半分は」に惹かれました。
白クマの檻は北向き冬ぬくし アネモネ
〇(春生)白クマにとっては、この「冬ぬくし」はありがたくないのでしょうね。
文明の微かな誇り紙懐炉 めたもん
明太子その親はだれ鯳 藤三彩
妖艶な女形に見惚れる師走 アダー女
◎ (多実生) 私の見た妖艶は二十代前半、真夏の四谷怪談のお岩と藤娘を踊った中村歌右衛門でした
落書きの革命の詩月冴ゆる あちゃこ
○(藤三彩)紛争後のトイレの落し書き「学生老い易く 革成り難し」
〇(カンナ)上手い句だと思います。
◎(卯平)尹 東柱への哀悼。
○(餡子)「アンドレア・シェニエ」でしょうか。学生の頃の、立て看(落書きではありませんが)などもふっと想い出しました。
◎(仙翁)そんな昔もあったような、今もありそうな。
◯(道人)革命は殆ど死語に近い。月冴ゆるで蘇ったようだ。
〇(あき子)革命というと自動的に青春を連想して、青春の情熱と挫折が季語に響き合っていると感じました。
◎(まきえっと)こんな青春時代を過ごしたかったな。
☆☆次回をお楽しみ☆
広島は急に寒くなりました。ここまで寒くなると、体がついて行けません。来週からは少しは暖かくなる様ですが。冬だから寒いのは当然ですか。
大谷選手に続いて、山本投手もドジャースへ入団しました。来年のMLBは楽しみです。しかし、日本のプロ野球界にとっては・・・?