小麦句会 on blog

俳句「麦の会」の句会のひとつです。 ネット句会を月二回行っています。 この句会は誰でも参加できます。

第436回小麦句会結果発表(1)

2020年09月08日 19時09分02秒 | 1日句会

台風10号は当方ではさほど影響なく、無事に明るい朝を迎えました。

それでも、あちこちで災害が起きています。

全く災害がないということは不可能。

最低、自分たちで命は守らなければならないものだと感じます。

今回の気象庁の呼びかけに、かなりの人が敏感に反応していたようです。







結果発表・・・・・(2回にわけてお届けします)

 

新涼や目覚めのときを露天の湯    珠子

○(幹夫)まさに写真の景の通り!小原庄助さん張り、まったく極楽境地ですね。

〇(藤三彩)温泉宿に泊まればこうありたいものです。

○(仙翁)そんな旅をしてみたいですね。

 

初秋のショッピングモール潮の香に   春生

 

切支丹の裔路地裏に鰯干す   アゼリア

◎(ルカ)隠れキリシタンだった時代から現代まで、物語的。

○(あちゃこ)三枚の写真からの発想が切支丹へと飛ぶとは。ミステリアスな歴史を感じます。

◎(楊子)地に根付いたキリスト教とはそのように自然なことでしょう。なにも特別に世界遺産などと言わずとも。

○(幹夫)秀吉以降切支丹が迫害を受けたのはもう遠い昔。「鰯干す」という質素な日常に共感を覚えました。

〇(藤三彩)「カインの末裔」を思わす聖書の物語を想起させ、「隠れ切支丹」の世俗の鰯がありそうな景色だ。

○(メイ)路地裏に切支丹の裔の生活が見えてきました。

〇(珠子)日本の津々浦々、こういう表に残らないひとたちが脈々と歴史を繋いできました。これからも。    

○(敏)天草地方の風景とともに、隠れキリシタンの歴史を思い浮かべました。

◎(ちせい)季語は「鰯干す」。隠れキリシタンといえば島原辺りかもしれませんが、その子孫が鰯を干すと言う俳諧味のある句だと思います。

 

(選外)(道人)漁民として代々守っている基督教への信仰心と素朴な暮らしぶり。「鰯干す」がいい。世界遺産・天草の崎津教会の隠れ切支丹のことを思い出す。

 

秋燕や図書館までの長き階   ちせい

○(仙翁)疲れませんか、長い階。

○(餡子)今は図書館も素晴らしく近代的、またアットホームな所が増えているようです。子供が減り、高齢者が増えてきていますので 図書館も変わらざるを得ませんね。  

〇(めたもん)年齢を重ね、なお知への階段を上っていることへの思い。

 

逝く夏の海はべた凪日曜日  敏

◯(アネモネ)「海はべた凪」に続く「日曜日」にびっくり。

 

秋暑し船乗り継ぎの出勤日    道人

〇(藤三彩)通勤、通学で島から船で出てくる小島の生活が見える。「コクリコ坂から」にもそんな情景がありました。

〇(卯平)渡船での出勤の景は詩情がある。季語からすると詠み手はいやいやながらの出勤か。しかし、海風でそれは解消されたのでは。

○(餡子)島から本土へ、そしてビル群のある会社へ・・・。大変な出勤日でした。温泉にでも浸かって帰りましょう。明日からはまたテレワーク? 

 

ゆき合ひの空に燕の三番子   アネモネ

○(あちゃこ)単に季節の変わり目というより、もっと繊細で言葉に表せない季節感を「行き合い」という一語で見事に伝えています。燕との取り合わせも絶妙。

◎(敏)移りゆく季節の中に、確かな命の継承が捉えられています。

 

迷い出たA4出口残暑かな  めたもん

○(泉)出口を間違えると、その後が大変です。

〇(楊子)4という数字が意外に効いています。ここはどこだろうとおもう駅から遠い出口。じりりと汗が首筋に。

○(卯平)都会の地下鉄の出口は複雑。見知らぬ地下鉄の駅で出た地上は別世界。季語が詠み手の心情を伝える。「A4出口」はよくある地下鉄の出口。その意味でもこの句は普遍性がある。

○(メイ) 出口を右か左か戻ったほうがいいのか。よくある景色だけど惹かれました。

○(餡子)地下鉄の出口はよく迷う。でたところに残暑!!踏んだり蹴ったりの外出となりました。

〇 (多実生) 出て見ると思わぬ所だったり、暑さだったり戸惑います。

〇(宙虫)地下鉄出口と見て、今年の暑さが堪える。A4という数字にいらっとする。

 

白日や露天風呂付秋の浜    卯平

◯(アネモネ)これはなかなか。行ってみたいです!

○(幹夫)上句「白日や」にインパクトがあります。写真の景が素直に詠まれており好感を抱きました。

 

残暑なお水平線の綻びぬ    まきえっと

◯(アネモネ)「水平線の綻びぬ」が上手い。

◯(道人)すっきりしない「水平線の綻び」に厳しい残暑がよく表現されている。

○(餡子) 海はいつもの海では無くなりそうなこの残暑。海温30度では水平線もギザギザです。

〇(めたもん)「水平線が綻ぶ」という発想に詩を感じました。  

○(敏)季節は秋となっても、水平線はまだしっかりと見えているのでしょう。

〇(ちせい)季語は「残暑」。水平線の綻ぶさまの意味が残響していると思いました。

〇(宙虫)水平線の綻びが誌的だ。何か少しずつ狂う感覚。

 

秋晴やここは極楽露天風呂   泉

 

大海に抱かれ露天湯風は秋   餡子

◎(瞳人)ああ、やっと、来たねえという、安どに同感 

〇(春生)気分爽快ですね。   

〇(まきえっと)日差しはまだ強いけれど、風は秋が伝わってきます。

 

(選外)(道人)海一望の露天湯、しかも晩夏の海風は柔らかそうだ。

 

雁渡し岬の声は澄みわたる    幹夫

◯(道人)「岬の声」に風情がある。鄙びた漁村に今年も渡って来た雁の鳴き声とも風の音とも。どちらも清澄。

〇(まきえっと)岬の声が澄みわたることで秋を感じさせているのが上手です。

 

人影が消えて九月をめくる音   宙虫

○(ルカ)詩情があります。

○(瞳人)といっても、当分、涼しくなりそうもないか

○(あちゃこ)めくるのは暦ではなく、新たな時を開く感覚と捉えました。

〇(楊子)夏の賑やかさとの対比がよく詠まれています。

◎(道人)九月という季節への移ろいの捉え方が巧い。眼目の「めくる音」は海潮音や風音など色々想像できる。

〇(藤三彩)不要、不急な外出はしなくなりました。コロナ禍で春、夏は過ぎ秋の暦になるのですね。

○(メイ) 八月から九月への奈落に人影が消え、有無を言わさず始まる九月。

〇(珠子)「めくる音」という「いい意味の独善」に惹かれました。

〇(めたもん)静かに九月が始まることへの感慨と、新しい月への微かな意気込み。

〇 (多実生) 通常は夏の賑わい、九月になると静かでめくる音が面白い。

◎(まきえっと)秋ですね。「九月をめくる音」がいいですね。

〇(ちせい)季語は「九月」。めくる音が印象的です。

 

駅前は人工広場風は秋   多実生

○(泉)都会はどこも、駅前は人工広場です。味気ない。

◎(アネモネ)下五の「風は秋」の力業に得心。

○(まきえっと)駅前を人工広場と見たところがいいですね。

 

重陽や空へと続くエレベーター   ルカ

◯(アネモネ)「重陽」が効いてます。

〇(卯平)この写真のホーカスであればこうなるか。季語の位置は果たしてとは思うが。

◯(道人)快晴の菊日和。季語と中七の措辞でよく分かる。

◎(春生)季語「重陽」を斡旋したのがうまいですね。 

 

秋潮の響きを聴ける貝の耳    藤三彩

○(ルカ)下五がいいですね。

 



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