小麦句会 on blog

俳句「麦の会」の句会のひとつです。 ネット句会を月二回行っています。 この句会は誰でも参加できます。

第393回小麦句会結果発表

2018年11月09日 00時52分38秒 | 1日句会





お待たせしました。

句会結果発表です。

立冬を過ぎましたが、急に日中は暑いほどの天気。

写真を撮って半月、この写真の町の景色はすっかり晩秋の景色に変わっています。

結果発表です。

 

風止んで秋の深みに嵌まる川    まきえっと

○(餡子)普通は、川に秋が嵌まるののでしょうが、ここでは川が秋に嵌まるという捉え方をしていて面白いです。

〇(珠子)秋の深みに嵌まるのが「川」という新鮮な視点。 

○(泉)意味不明ですが、何となく魅力的な俳句だと思います。

〇(仙翁)秋の深みに嵌まる、面白い表現ですね。

○(敏)深秋の静寂を湛えて横たわる川の姿が鮮明に描き出されています。

◯ (アゼリア) 秋の深みに嵌まるー晩秋の景が上手に表現されていると感心しました。

 

戦ひの頁を閉ぢて窓の秋   幹夫

〇(藤三彩)読書の秋の余裕。されども本の中身は『戦争と平和』的な長丁場でお疲れ気味。

○(ルカ)戦いの頁という比喩は分かりにくいが、決意のようなものを感じました。

◎ (多実生) 何の勉強でしょうか?窓外の秋に癒された姿が見えます。

〇(瞳人)何の、なのかな

○(卯平)上五、どんな戦いなのか不明ではある。しかし、中七へ読み下すと一定の終結をみた戦いであったことはわかる。それ以上の鑑賞は出来ないが全体としてユニークな感覚を抱いた。

○(ちせい)季語は「秋」。どんな小説を読んで居たのかと惹かれました。

 

(選外)(道人)読書の秋ですね。でも折角の秋晴れ、外に出ましょう。

 

文化の日橋を渡るとだけ決めて  珠子

○(春生)橋に文化の香りがするような句です。

○(餡子)どんな思いを抱えて橋だけを渡ったのでしょうか?橋を渡ってその先は?

○(泉)「橋を渡る」という言葉が、意味深ですね。

○(敏)旗日だからといって、とりたてて予定のないことはよくあることです。「橋を渡る」と決めたことだけでも、この日を自分にとって何らかの意味づけが出来るのではないでしょうか。

〇(藤三彩)休日にも行動への思いにも意味はない。そんなひと日。

◯(ルカ)季語が気になりますが、橋を渡るとだけ、決めたところに惹かれました。

〇(宙虫)最低限の目的で一日の行動が始まる。なんの変哲のない文化の日。

 

(選外)(道人)「橋」が文化の境目である街は結構多いですね。(ドイツは特に)

 

鮭遡る音に聴き入る川っぷち   アゼリア

◎(アネモネ)いい景ですね。鮭の上げる水しぶきが見えてきます。

○(幹夫)私にとっては石狩川の力強き鮭遡上だ。

 

古着着て昨日の木の実探す町  宙虫

◎(道人)過去をさ迷い、本当の自分探しをしているような深みのある句です。

◎(餡子)古着というのが面白い。木の実も古いいがいがを来ています。昨日の木の実なんて、いくら探しても見つかりません。人生の忘れ物を探し物をしているようで、胸にきゅんときました。

○(ルカ)どんな町なのか、興味がわきます。

○(卯平)材料が揃いすぎてはいる。しかし全体としての詩情は伝わってくる。

 

秋蝶の落ちそふ落ちそ交差点   瞳人

〇(珠子)秋蝶は低く飛ぶことが多い気がします。交差点の先に花があると思ったのでしょうか。高く飛ぶ勢いのない蝶の様子が伝わってきます。

◯(アネモネ)あるあえう。「落ちそふ落ちそ」の言いかけが上手い。

〇(多実生) 秋蝶の頼りなさ、交差点で句が締まります。

〇(仙翁)危なっかしい秋の蝶、分かるような気がします。

○(ちせい)季語は「秋蝶」。際どい、はらはらするが秋蝶をしっかりと認識した。

〇(宙虫)ふらふらと飛ぶ蝶の姿が交差点のうえ、ちょっとした人生模様を感じる。

 

秋晴れを拡大したる水鏡  多実生

〇(珠子)確かに。あの川は美しさを拡大する鏡となってゆるやかに流れています。    

◯(アネモネ)水に映る秋晴れのクローズアップが絵画的。

○(敏)川面に映ることによって倍の奥行きを見せる秋天を、美事に言い止めています。上5中7の表現が素晴しく雄大で印象的。

〇(まきえっと)「秋晴れを拡大」が相応しい空の様子です。 

 

秋の日の時計台ゐてひとりかな    卯平

〇(藤三彩)学生も勤労者も主婦もみな忙しそうに秋の日をそれぞれ費やしている。のにひとり山頭火のようになっている私。

〇(瞳人)さみしい

 

秋の日や複々線の一人旅    卯平

 

朝寒の村から町へ日曜日   道人

○(餡子)人の居ない3枚の写真ですが、作者1人が歩いているような。

○(泉)日曜日、町へ遊びに行くのでしょうか。楽しい俳句だと思います。

〇(藤三彩)平日の労働から解放された貴重な日曜日。買い物にも何でも町へ出る日曜日はいいな。

○(ちせい)季語は「朝寒」。合併があったのか、村から町へ散歩したのか想像力が飛翔しました。

〇(まきえっと)人の気配のなさが日曜日っぽいです。 

〇(宙虫)寒がじわっと、季節がひとつ進んだ気分。日曜日はすぐ終わる。

 

水音に朝ははじまり草紅葉   アネモネ

○(泉)綺麗な俳句だと思います。

〇(珠子)旅先の瀬の音でしょうか。または近くの堰を落ちる水音でしょうか。堰を落ちる水音に、畔草を刈る音に、雪をかく音に目覚めていた時代がありました。

〇(多実生) 早朝の静かさが伝わってきます。

○(幹夫)起きがけの川の流れが聞こえてくる。「草紅葉」がいい塩梅。

◎ (アゼリア) 爽やかな朝ですね。草紅葉の季語が効いていると思います。

○(ちせい)季語は「草紅葉」。はじまりの清冽な水音。

〇(まきえっと)滔々と流れている川の音が聞こえてきそうです。

 

天高し地球は楕円体と聞き  泉

◎(珠子)抜けるような青い秋の空を見上げて地球の形を思う。17文字でのこのおおらかさと雄大さ。

○(卯平)季語がつきすぎな感じがしないでもない。しかし、下五をさらすことでそれなりに詩情は伝わってくる。

 

閉ざされしマンションの窓鳥渡る   ルカ

○(泉)人間関係の希薄な社会、という事でしょうか。それでも季節は巡ります。

 

黄葉づれば川面を走る風の影   仙翁

○(春生)「風の影」を捉えたところの感性がすごい。   

〇(道人)風の影が見えそうですね。

○(幹夫)風を受けながら川面に映されている黄葉が佳く詠まれている。

◯ (アゼリア) 黄葉の頃になると当方では風が吹き始めます。川面のさざ波が目に浮かびます。

〇(まきえっと)「川面を走る風の影」がよいですね。

 

晩秋の川に石投げ明日を見る   ちせい

〇(道人)晩秋、特に黄昏時の川には石を投げたくなります。この「明日」は「あした」でもあり「来年」でもあり「未来」でもあるのでしょう。

〇(多実生) 水に石を投げる、その爽快さが明日に繋がりそうです。

〇(瞳人)見えるものは

◎(幹夫)少し物思いに耽る晩秋に石投げが活発だ!

◎(まきえっと)なるようにしかならないでしょうか。「晩秋」が効果ありますね。

〇(宙虫)少年のころから、この年までずっとそうでした。

 

紅葉してある朝人の消えた町  餡子

 

(選外)(道人)「紅葉」「朝」も含めて曖昧模糊としていますが、何か物語がありそうです。

 

ゆく川の色づく秋を風見鶏   藤三彩

○(春生)写生に徹した句です。   

○(敏)方丈記の世界観を物言わぬ風見鶏に託しての深秋の景、と読んだらどうでしょうか。

 

立冬やはつかに揺るる舫ひ舟   春生

〇(珠子)秋は本当に短くてもう立冬。水際の冬はじわじわと忍び寄ってきています。 

◯(アネモネ)「はつかに揺るる」がなかなか。

○(敏)わずかな舫い舟の揺れに、立冬の日であることを気付かされた一句かも知れません。

◎(卯平)写生がきちんと出来ている句である。風景が読み手にきちんと伝わってくる。  

○(ちせい)季語は「立冬」。僅かな揺れを目撃して、立冬の実感深まる。

 

暮れ六つを過ぎたる頃や黄落す  敏

◎(仙翁)暮れ六つとは、風流な、時代を感じます。

○(卯平)夕暮れの中に浮かぶ黄落。綺麗な景である。

◯ (アゼリア) 薄暗くなると銀杏の黄色が余計鮮やかに見えます。

 

初鴨や給水塔に朝日さし   アネモネ

○(春生)取り合わせが効果的。   

〇給水塔のあるマンションが、何となく昭和ですね。観察眼の行き届いた句です。

◯ (アゼリア) 初鴨の季節になったのですね。近くの沼に行ってみます。

 

水の秋鵜の首掴む双眼鏡  珠子

 

晴れの日の希少ギネスな唐辛子   藤三彩

 

折り返しは銀杏黄葉や肥後マラソン    アゼリア

○(餡子)別府マラソンは有名ですが、肥後マラソンも当然あるでしょうね。紅葉の街並みをはしるのでしょうか。

〇(多実生) マラソンの風景観察に魅かれました。

〇(瞳人)そういうコースなのですね

 

(選外)(藤三彩)「熊本城マラソン」は2月開催。「肥後マラソン」の実態はわからないが俳句上の造語かも。

 

落葉降るアントン・カラス彼方から   瞳人

○(餡子)アントン・カラス・・・第三の男、夜霧のしのび逢い、日曜日はだめよ、マルセリ―ノの歌・・・懐かしいなあ。映画も見ました。落葉とよく合います。

◎(敏)降りそそぐ落葉に、かのチターの名曲を想い重ねたことでしょう。「第三の男」が、映画とは反対に彼方から近付いて来るような、そんな錯覚さえ起こります。

 

秋の川釣りで頭をリラックス  泉

 

秋の川小さな嘘を聞き流す   幹夫

◎(春生)人生の機微を見事に捉えている。   

◯(道人)秋晴れの川をボーっと眺めている夫婦の会話?他愛もない会話だけれど何となく物憂い感じ。

〇(仙翁)小さな嘘は、にこやかに忘れましょう。

○(ルカ)流すと川は、少し気になりますが、秋の川にふさわしいかも。

○(卯平)季語と叙のアンバランスをどう評価するかであろうか。下五からすれば上五の位置は面白いと思う。

 

通い路や葉も実も紅のハナミズキ   道人

◯(アネモネ)街路樹の花水木がまさにそう。実の赤とても素敵です。

 

青空を独り占めして紅葉描く   仙翁

○(春生)こんな生活のゆとりが欲しいですね。   

◎(ちせい)季語は「紅葉」。壮大な青空に卑小な我。そのコントラストに季語の「紅葉」。季語が活きました。

〇(まきえっと)人気ない様子が独り占め感を高めています。

〇(宙虫)素直な一直線なところが好感。

木の実降る道路の割れ目切れ目かな  ちせい

◯(アネモネ)いやあ観察の細やかさに脱帽です。

 

階段の途切れし先に秋の川   ルカ

 

天空の城のまぼろし紅葉狩る  敏

〇(仙翁)あちらこちらに天空の城がありますね。

〇(多実生) 画面でしか見た事はありませんが、素晴らしい光景です。

 

鉄橋を電車の通る富士の雪   春生

 

街中で突如紅葉に出合わせり  多実生

 

影の縁踏んで弾みを付ける秋    まきえっと

◯(道人)雲一片もない秋晴れの日。「影の縁」を踏むと秋光の世界。身も心も解放感が満ちてくるでしょう。

◯(ルカ)なんの弾みをつけるのでしょうか。

 

車を捨て歩こう秋麗の町だもの  餡子

◎(泉)本当に、この秋麗の町を車で走るのは、どうかしている。歩く方が、はるかに楽しい。

〇(藤三彩)秋麗の風を受けてゆく自転車でもよさそう

〇(瞳人)ほんとに

○(幹夫)健康的に闊歩の秋麗の秋だ。

◎(宙虫)ゆったりとしたリズムにきっぱりとした決意。町はきっと歩く人にはやさしいことだろう。

 

秋猫の目となり朝の街をゆく  宙虫

◯(道人)秋猫の目、が中々です。

〇(仙翁)猫の目になってみたいですね。面白い。

◎(藤三彩)猫の気分になって朝コーヒーから縄張りの平穏を確かめにゆく日常。

◎(ルカ)秋猫。造語ですが、色々想像が膨らみます。

○(幹夫)秋の猫の目ってどんな感じ?

◯ (アゼリア) 猫の目になったら景色も変わって見えるのでしょうね。

 

 

それでは次回の句会まで・・・・。

たくさんの参加をお待ちしています。

 

 



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1 コメント

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ご苦労様でした ()
2018-11-09 11:42:43
宙虫さん、句会当番のお役目ご苦労様でした。今後とも、よろしくお願いいたします。

広島は、なかなか寒くなりません。今年は暖冬だと聞きますが・・・?それにしても、今年も広島カープは日本一を逃しました。ソフトバンクは圧倒的に強かった。これが、パ・リーグでは二位のチームですからね・・・。実力のパとは、良く言ったものです。
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