小麦句会 on blog

俳句「麦の会」の句会のひとつです。 ネット句会を月二回行っています。 この句会は誰でも参加できます。

第544回小麦句会結果(2)

2025年03月08日 11時42分28秒 | 1日句会
つづき

帆柱の捉える光春うらら    まきえっと
〇(幹夫)春の陽気、港には船舶が停留する。
◯(道人)中七の措辞が中々。季語も佳い。
〇(仙翁)光を捉える、いいですね。
〇(めたもん)光を「帆柱の捉える」と詠んだところが上手いと思います。
〇(あちゃこ)マストに焦点化したところがいいですね。

船出待つ此処は内海春逝けり    卯平

瓦葺く紺の地下足袋鳥帰る    めたもん
〇(珠子)次々に建つ新築の家を見上げながら、地下足袋とニッカポッカの若者を見かけなくなったなあと思っていたところでした。「鳥帰る」という季語の包容力を改めて感じました。  
◎(春生)視野を瓦職人に広げたところが手柄。
〇(アネモネ)職人のきびきびと働く景がみえてきます。
〇(餡子)瓦職人も減っているとのこと。今は疑似瓦のシートのような物で、屋根を瓦風に出来るとか。屋根の上で一服の職人さん、帰る鳥への思いも一入でしょう。
◯(道人)景がいい。瓦職人と北へ帰って行く鳥との会話も聞こえて来るようだ。
〇(泉)瓦職人は少なくなった事でしょうね。
〇(卯平)一般的な俳句構成ではあるが景はよく見える。一つひとつの句材も計算して配置されかなり精巧だ。「鳥帰る」の季語も手だれた配置。それ以上、それ以下でもない。
〇(まきえっと)「地下足袋」と「鳥帰る」がいいかなと思います。
◎ (アゼリア) お仕事に励みながら季節の移り変りを肌で感じているのですね。
〇(あちゃこ)景がくっきり。季語も効いています。
〇(ちせい)来る鳥が有れば去る鳥がいます。瓦と鳥は相性がいいですね。
◎(宙虫)季語がおおきな景へ導いてくれる。

春泥の道の照りたる先に海    春生
〇(アネモネ)下五の「先に海」で景が大きくなりました。
◎(仙翁)水溜まりと海の光が見えますね。
◎(めたもん)ぬかるんだ道も、道の向こうの海も、光っている春。景が確かで揺るぎがない句。  

蟻穴を出づ戦争はやめなさい    珠子
〇(藤三彩)寒い地下道から春日射す地上へと・・・さてどこの戦のことか?
◎(瞳人)あはは、アリにまで言われて、どうするプーチン、ゼレ・トラの口げんかも、蟻が嗤ってる
◎(楊子)こんなにも自然は脈々と季節のなかで息づいていることを思うと、戦争がくだらなく思えてきます。
〇(カンナ)7音の文語、10音の口語の取り合わせが面白いと思います。
〇(幹夫)折角地上に出たと思ったら、くだらない人間同士の争い。
◎(道人)地上に出た途端の蛇の声なき声に俳諧味あり。戦争の絶えない今の地球を風刺したテーマに共感。
〇(泉)トランプ大統領が出てきて、てんやわんやの大騒ぎです。
◎(ちせい)説教臭いかもしれませんが、俳句としてはよくできていると思います。
〇(宙虫)やめなさいが効いてます。本当に蟻にとっては迷惑でしかない。

遊蝶花えくぼの如くとびとびに    あき子
〇(卯平)上五の「遊蝶花」に惑わされて取らざるを得ない。中七下五はなるほどとは思うが。

よなぼこり漁協の人事異動なし    楊子
〇(餡子)人事異動が無くて良かったのか、有った方が良かったのか、分かりませんが、今年度もよろしく。漁協が効いています。
〇(卯平)大変実感のこもった句。一つの港に漁業組合は幾つもあると言う事は、大きな漁港なのであろう。県漁連であれば「人事異動」があるようだ。農協も一緒であるが。しかし、この漁協あまり盛況ではないようだ。よなぼこりと嘆いている詠み手はもしかするとこの仕事に意欲がないのか。虚か実か。しかし面白い物語の句。
〇(まきえっと)「漁協の人事」への視点。素晴らしい。
◯ (アゼリア) ここにもドラマがありそうです。
◎(珠子)「漁港の人事異動」には、ガッツリやられました。「よなぼこり」も「なし」もすべてがぴたり。動かない。
〇(幹夫)大陸からの黄砂は毎年の景。それ以外、漁村の様子は変わらない。
◯(道人)黄砂と漁協の人事異動に脈絡はないのに、この句を読むと何となく繋がっているようにも思えて来るから不思議だ。
〇(泉)とぼけた感じが良いと思います。
〇(宙虫)漁協も大小さまざま。季語との取り合わせの妙。

神の手の医師の温顔初燕    アゼリア
〇(春生)こんなお医者さん、大切ですね。
◯(道人)片田舎の村夫子然とした名医の顔や立居振る舞いが見えるようだ。

春の海夢見る世界旅行かな    泉
〇(春生)春の訪れの心境が詠われています。
〇(瞳人)もう、行ったところを思い出す愉しみばかりに、なってしまいました。
〇(カンナ)季語が中七、下五とぴったりですね。

鳥族から戸籍を抜いて春時雨    宙虫

帰らなむ馬雪形の山麓へ    道人
〇(アネモネ)農事を知らせる雪形が巧みに詠まれています。

パンジーパンジー三色菫咲く    幹夫

猫の子のまれにも見えぬ哀しさよ    瞳人

大漁の後の腰痛鰆東風    餡子
〇(楊子)ニュースなどで威勢のいい漁が映されますが、そうかその夜は腰にくるのだなあとおかしみがあります。
〇(藤三彩)人に言われぬことのあり。養生してください。
〇(アネモネ)腰痛大変。十分なご休養を!
〇(泉)腰痛ですか。歳のせいでしょうか。
〇(まきえっと)すごく現実的ですきです。
〇(宙虫)肉体労働につきもの。漁業に限らず、仕事のクライマックスのあとはどっと来ます!

黄と紫パンジー互いに求め合い    アダー女

子雀の疑問小さきや首傾ぐ    めたもん
〇(瞳人)地球はこんなに大きいかと、地表の雀ども、よく、背伸びしています。
〇(アダー女)なんて可愛い仕草なんでしょう!「あれ?」と思うその疑問もきっと大したことでない小さなものなんでしょうね。

雀群れ春風を吐く鬼瓦    まきえっと
〇(楊子)「吐く」がいいかどうかはわかりませんが、かわいい雀の群れと鬼瓦の対比がうまいです。
〇(めたもん)「春風を吐く鬼瓦」という詠みがいいですね。口を尖らせた鬼瓦の顔が浮かんできます。    
◎(あちゃこ)鬼瓦が春風を吐くという発想に惹かれました。

パンジーや堕胎を迷ふ女学生    卯平
◎(カンナ)取り合わせに意表を突かれました。 

パンジーの影は鶏冠に見えて来て    ちせい

山里に寂びゆく御堂雀の子    あちゃこ
〇(めたもん)子供の頃、遊び場にしていた小さなお寺さんの御堂。季語「雀の子」が郷愁を誘います。
◯ (アゼリア)町が寂れると動物や植物は不思議と生き生きしてきますね。

春愁や外科医の記す花の路    藤三彩

山道に残雪遥か海に船    仙翁
〇(ちせい)遠方の残雪。海の船。歩行中だったのかもしれません。

昭和っぽい電話番号春の雲    カンナ
◎(藤三彩)最初の地区割り番号がいかにも昭和。携帯ではそうはいかない。
〇(珠子)電話番号だけでなく、町そのものが昭和そのままの、ゆったりした景と春の雲がマッチ。 
〇(幹夫)ダイヤル式の黒色の固定電話から数度の変遷を重ねて、今は携帯電話が主体。「昭和っぽい電話番号」って、冒頭に市外局番はあるとは思うけど、よく分からない。分からないから面白い。ふわふわ浮かぶ春の雲ともよく分からないから、面白い。
〇(餡子)昭和生れの昭和育ち。濃い昭和、薄い平成、混沌の令和。
◎(まきえっと)なるほど昭和っぽいと表現すればよかったのか。



今月の写真
一枚目・・・熊本港から阿蘇方面を望む。


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