小麦句会 on blog

俳句「麦の会」の句会のひとつです。 ネット句会を月二回行っています。 この句会は誰でも参加できます。

544回小麦句会結果(1)

2025年03月08日 11時24分56秒 | 1日句会

春は来る。
三寒四温はきっとある。
一気に梅が咲いたと思ったら、また寒波。
この寒波が明ければまた次の花たちが一気に咲きだすんだろう。


★結果発表★(2回に分けて)


春の山マストのペンキが剥げて来て    ちせい

春雪の嶺から木霊帆にはらむ    宙虫
◯(仙翁)木霊をはらむ、面白いですね。
◯ (アゼリア)木霊帆にはらむの措辞に惹かれました。

春北風や舟のひしめく舟だまり   アネモネ

選外)(卯平)けして悪い句ではない。ただ類似感がある。中七下五を支える季語の上五「春北風」が絶対かどうか。

雀の子早う跳ばねば滑り落つ    幹夫
〇(春生)写生のしっかりした句で、作者のやさしさが出ました。
〇(ちせい)観察眼と雀の子に対する愛情があると思いました。

春うらら海は渡れぬ雀どち    餡子
〇(瞳人)渡れる鳥は、どこか、よそよそしいですね、そこが雀どものかわゆいところ
〇(春生)未知の世界へのあこがれが捉えられました。

蒼天に吸われゆく雲百千鳥    珠子
◯(楊子)「吸われゆく」が動きがあっていいです。
◯(あちゃこ)何故か春には空に目がゆく。春らしい感覚の一句。
◯(まきえっと)「吸われゆく」が言い当てています。

東風うけてサントロペまで航くそうな    瞳人
◎(餡子)良いなあ。フランスは遠し。私は来週「東風うけて九州まで行ってきます」。
◯(アダー女)東風に誘われてロシアのあのサンクトロペテルブルグまでその小さな船でいくんですか?でもロシアの中でも美しい港町。行ったことあるはずなのに、記憶の彼方です。エルミタージュ美術館には確実に行った記憶が・・・発想の自由な想像が見事です。
◯ (アゼリア) 航くーがよくわかりませんでしたが、サントロペに旅情をそそられました。

瓦屋根のゆりかご数多雀の子    仙翁
◎(泉)「ゆりかご」という表現が良いと思います。
◯(アダー女)瓦屋根は暖まると小雀にとって最高の居心地良き場所でしょうね。

うららかや若気の至りで美容外科    泉
〇(カンナ)季語がついていないのが良いです。中七の字余りも自由で良いと思います。
◯(藤三彩)さて何の処置でしょう?
◯(餡子)若いときには全く気になりませんでしたが、今や整形したいところばかり・・・。うららかな気分にはなかなかなれませぬ。

通院の父の散髪初桜    楊子
〇(瞳人)もう、通院ともおさらば、ほどほどに、よくなればそれでいいじゃあないですか。
〇(春生)子が親を思う心が出ました。
〇(アネモネ)お父さんスッキリしますね!
◯(仙翁)通院途中で散髪でしょうか。
◯(あちゃこ)散髪にお付き合い?穏やかな日が伝わります。
◯(卯平)敢えて「通院の父」と言っているのがこの句の眼目。病気の事ばかりに意識が向いている父が、散髪に行って気分転換をしている景を読み手であるこの父の子として安心したのだろう。初桜に父の回復を祈っている子としての気持ちを委ねている。

囀りや診療所もう起きてをり    アゼリア
◯(珠子)夜明けが早くなり囀もにぎやか。診療所にはもうお掃除らしき人影が。びっくりするほど早くから並ぶ方を見かけますからね。 
◯(幹夫)健康な朝の始まりです。
◯(餡子)出勤前の勤め人のために早朝からやっている駅前の診療所がありました。爽やかな囀りに心も救われます。
◯(仙翁)診療所がおきているは、面白い。
〇(ちせい)鳥の早起きと重なったのかもしれません。
◯(宙虫)朝の明るさが伝わっていい。

寒雀絶滅危惧種お前もか    カンナ
◯(アダー女)そう言えば、最近雀の姿を見かけなくなりました。調べて見たらこんなに絶滅危惧種の動物が多いのにびっくり!そのうち我ら人間も・・・

日だまりにふくら雀の五羽十羽   アネモネ
◯(めたもん)何の変哲もない一日、それが一番。「日々是好日」という言葉を思い出させてくれる句です。

春潮の香り漂ふ宿場町    春生
◯(楊子)潮の香りにも季節があることに気づかされます。
◯(あちゃこ)故郷を思い出します。東海道の宿場町の名残り。
◯(アゼリア) 宿場町に町の歴史を想像しました。

下萌やウッドデッキに鳩くくと    道人
◎(アネモネ)「鳩くくと」が上手い!早春の感じがなかなか。
〇(カンナ)下五が上手いと思います。 

春陽指し吾が海与える網の糧    藤三彩

春が来た瓦の温み鳥笑う    アダー女
〇(瞳人)そういう笑みか、分かったよ、おいらも笑まうふて背を伸ばそ

天国は知らないけれど春の海    あき子
◯(藤三彩)宮城道雄の「春の海」を聴きながら眠りにつく・・ってわけでもないか
◯(楊子)天国とはこんなところだろうなあと春の海をひねもす見ていたい。
〇(カンナ)口語俳句と季語がぴったりですね。
〇(珠子)天国と春の海との間に省略されたものは正直よくわからないのですが、それがなぜか魅力的で惹かれました。 
◎(幹夫)「春の海ひねもすのたりのたりかな(与謝蕪村)」では、波が一日中ゆっくりゆっくり寄せ返す春の海だと詠まれる。天国とはそんなものなのかもしれない。
◯(アダー女)「ひねもすのたりのたりかな」確かにぼ〜っと見ていると長閑な春の海は見たことない天国のような気がしてきます。
◯(泉)春の海は正に「天国」でしょう。
◯(卯平)「地獄は知らねど」ではない。天国と言えどもけして「春の海」など穏やかではないのだ、と言う詠み手。「天国は知らねどこの世春の海」なども考えられるだろうか。「知らないけれど」が少々説明的では。
〇(ちせい)上5中7の感慨と季語がマッチしていると思いました。

花菫やさしき母を演じる日    あちゃこ
〇(珠子)哀しいことに母は死ぬまで母なのですよね。演じるのは下手と自覚しているのですが、それでも。
◯(藤三彩)母はやさしくあって欲しいと願う。実際はそうでもないか
◎(アダー女)菫の花を見ていると誰もが優しい気持ちになる。パンジーとは違い自然に道端に咲いている可憐で逞しい菫を見つけるとなにか良いことがおきそうな・・・自分の気持ちも穏やかになっていくのを感じます。うん、確かに・・・
◯(道人)「日」は曖昧だが「母を演じる」の発想が独特。
◯(めたもん)「この世は舞台、人はみな役者」とはよく言ったものです。花菫に託された想いが様々に想像されますね。
◎(卯平)母親として矜持がここにある。母は「母を演じ」、父は「父を演じ」、更に子は「子を演じ」ているひと日。例えば別れた夫婦が久しぶりに子を交えているひと日の景とも言えよう。「家族」の一員としての母として、花菫に託した揚句に何処かに哀愁を感じる。
◯(まきえっと)きっと元々優しいのだと思います。
◯(宙虫)みんなその場その場での演じなければならない役柄を持っているんだな。

つづく


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