小麦句会 on blog

俳句「麦の会」の句会のひとつです。 ネット句会を月二回行っています。 この句会は誰でも参加できます。

第527回小麦句会結果発表

2024年06月23日 23時59分00秒 | 15日句会

ようこそ、北杜青さん。
今日6月23日は、沖縄戦の犠牲者らを悼む「慰霊の日」。いまから79年前、日米最後の地上戦の場で、米軍は「ありったけの地獄をあつめた」戦場と呼んだそうです。爆弾の降り注ぐさまは「鉄の暴風」と形容。

兼題:水
水打つてむかしの頃になりにけり  幹夫
◯(吾郎)直球

水郷のあやめ祭りや嫁入り舟  泉

ペットボトルの水とくとくと夏点前  楊子

水面は軽鳧の子乗るか判明す  吾郎

水鉄砲苛める野良猫がいない  カンナ
〇(瞳人)ほんとに、昔は、いい標的がいたんだけどね
○(あちゃこ)思春期の複雑な心情が垣間見える。野良猫は少なくなりました。

腹掛の法被男はラムネ水  瞳人       
○(卯平)夏祭を具体的に詠んでいる。「男の」だと下五に景が集中するのでは。「男は」では説明的では。
〇(春生)昭和の風景ですね。力強い。 

六月のミスターごくり大水筒  藤三彩
◎(泉)「六月のミスター」つまり、大谷選手ですね。
◎(瞳人)6月のミスターと言えば、そりゃあ、天覧サヨナラホームラン、それですけど、その前に水飲んだ? そうか

父の日のいずれ干上がる水たまり  宙虫
◯(吾郎)干上がる──かぁ〜〜〜、父性あり
◎(あき子)どんな水たまりもいずれ干上がるけど、父の日との取り合わせが切ない。
◎(あちゃこ)中七がいい。リアルな景に作者自身の身上を上手く投影させていると思いました。
〇(まきえっと)水たまりはいずれ干上がりますね。取り合せがいいです。

泥水の輪つかケンケン行々子  卯平
〇(北杜青)輪つかが分かりませんでしたが、リズムで採らせていただきました。

夕風の田水の波に山動かず  仙翁
〇(楊子)ほんとは波がたてばうごくかもしれませんが、「動かず」と言い切ったところが句を強くしています。
〇(春生)堂々と構えていますね。 

先の世は花魁でした水中花  道人
〇(アネモネ)いいですねえ。そうでしたか(笑)
◎(珠子)この発想には驚くばかりです。しかもすっとん!と納得できました。この先は、水中花を見たら必ず花魁を思うことでしょう。
○(泉)何だか、ありそうな話です。
〇(瞳人)ははあ、それで愛の水中花という歌、わかったような気がします
〇(カンナ)季語が適っていると思います。
○(卯平)詠み手の願望だろう。水中花の人工性と花魁との対比。
〇(あき子)ああ・・と、納得しました。
○(餡子)水中花を見ていると、そうかも知れないと感じました。作者の祖先がそうであったかもしれませんが、水中花のイメージって言い得て妙。   

湧水に浮かぶいにしえ青葉騒  あちゃこ
◎(吾郎)新しきもの古きものの巧みな取り合わせ
〇(ちせい)歴史を身近に感じたのだと思います。

城垣の水を叩いて糸とんぼ  アネモネ
〇(楊子)よくある風景をうまく表現しました。大きな城垣と小さな糸とんぼの取り合わせがうまいです。
○(幹夫)テンポ佳く、景が目に浮かぶ。
〇(めたもん)静かな城跡。その静けさを際立たせるように、水面に糸とんぼが叩く波紋が広がります。いいですね。 

水曜のジャズの気怠さ濃紫陽花  餡子
〇(楊子)あまりにも全体に流れる雰囲気がぴったりとし過ぎていますが、お洒落な句となっています。
◯(道人)週の半ばは何をしても気怠い。梅雨時のジャズの音ならば。「水曜」の「水」が効いている。
〇(北杜青)水曜が良かったと思います。
◎(宙虫)全ての言葉がぴたりとおさまって、梅雨時期の水曜の気分が伝わる。
◯ (アゼリア)週中は疲れが出てきますよね。濃紫陽花の季語が効いていると思います。

事件簿の迷子のチラシ氷水  あき子
○(宙虫)真夏、胸を痛める事件事故が増える季節。関わる人々の姿を想像。

水鉄砲逃げろ正義の味方から  めたもん
◎(幹夫)楽しき一時だ!
〇(あき子)悪役を引き受けてるお父さんに、正義の味方は圧倒的に強い。子どもへの成親の思いが伝わってきます。
〇(ちせい)ちょっと皮肉な言い方ですね。

梅雨に入る仏足石の水浸し  春生
〇(あき子)仏様もしばしの辛抱の梅雨入り。
◎ (アゼリア)混迷の日本を示唆しているような?

緑陰に金管の水抜いてをり  北杜青
◎(藤三彩)オーストラリアのディジュリドゥを吹いている人を見かけました。
◎(餡子)金管楽器の練習は、場所を選ぶことでしょう。広い野原でしょうか?人の居ない公園でしょうか?どこぞの土手でしょうか?練習を一休みして、木の影でマウスピースを外し振っている様子が目に浮かびます。 
◎(まきえっと)季語の「緑蔭」がいいですね。金管楽器を吹いている人がとても爽やかに感じます。

七曜の始まり水母裏返る  珠子
〇(アネモネ)この発想の奇抜さ、なかなかです。
◎(めたもん)「七曜の始まり」も「水母裏返る」もなかなか出てこない措辞。一週間が動き出す時の気分が「水母裏返る」から滲みます。 
○(宙虫)水母がなんともユーモラス。やる気なくなりそう。
〇(まきえっと)週明けは憂うつなんでしょうか?

オルゴールの水色のワルツ遠花火  アゼリア

使い切るたっぷりの水梅雨兆す  まきえっと
◯(道人)空梅雨でもない限り、梅雨時の水は気にせずに思う存分使っている感じ。
○(餡子)能登半島地震で被災した珠洲の知人のお宅は5月になってやっと水道が来たとか。大変だったでしょう。きっとこの句のような感じかなあと思いました。

水を飲む家の扇風機を浴びて  ちせい

テーマ:食べ物
食べただけ増える体重山笑う  カンナ
◎(アネモネ)自分のこと言われているようでとほほです。
○(幹夫)もっともだ!

冷房の微風甘めの卵焼き  珠子
〇(あき子)微風を受けながらの甘めの卵焼きに、癒されます。
〇(春生)おいしそう。快適です。 
〇(仙翁)取り合わせ、何となく面白いですね。
○(あちゃこ)取り合わせが楽しい。心地良さと小さな幸せ。
〇(ちせい)心境の変化でしょうか。
〇(まきえっと)取り合せがいいですね。微風に乗って卵焼きの甘い香りが・・・

雷もヤバそう蕎麦屋盛り並か  吾郎
○(泉)リズム感の良い回文俳句だと思います。
〇(瞳人)仲蔵は、時雨に駆け込んだ、濡れねずみの旗本素浪人? を見て、はったと膝を打った。こちら、雷除けならば、もりの並みあたりか、天ざるじゃあ、ちと値が張るか
○(藤三彩)そう雷は怖いです。で並盛との取り合わせが不思議な回文。
〇(カンナ)面白い回文。
◯(道人)浅草辺りの蕎麦屋で雷に遭遇したような風情。俳味と回文句の相性の良さを実感した句。
〇(仙翁)出前の人の心配事のようで、面白い。
◯ (アゼリア)早く食べて店を出た方が良いのか、様子を見たほうが良いのか迷いますね。
○(まきえっと)雷が去ってゆっくりとではどうでしょうか

友情は深いむらさき水饅頭  宙虫
〇(めたもん)「友情」と「水饅頭」を仲立ちする「深いむらさき」に思いがこもります。

父の日の素麺の帯揃ひけり  北杜青
◎(楊子)何でもないキッチンの情景かもしれませんが、茹でる前の素麺の帯がきっちりと揃っていることと、「父の日」が糸一本でつながっています。お父さんの性格まで想像できます。
〇(珠子)木の箱に入った上等な素麺の帯でしょうか。父の日の頃から冷たい素麵が欲しくなります。
◯ (アゼリア)お父様は几帳面で礼儀正しい方のようですね。
〇(まきえっと)父は計量カップとストップウォッチを持ってお蕎麦を茹でていました。

薄暑光笹の香包んだ麩饅頭  藤三彩

投稿の「いいね」気になる心太      めたもん
〇(北杜青)新しい句材と季語の取合せに実景の手触りがある句だと思います。
(選外)(道人)語呂も句意も軽快。

西瓜食べ同窓会を閉めにけり  春生
〇(瞳人)同窓会といっても、なかにはワル酔いするのがいますから、これが一番です
○(卯平)同窓会と言っても十年ぶり開く同窓会もあれば、毎年開く同窓会もあるだろう。この同窓会は後者。西瓜を一緒に食べるくらいしか二次会はないのだろう。逆に数十年ぶりの同窓会の二次会が西瓜を食べる事であると言う景も面白い。どちらを鑑賞するか。面白い。 
"○(あちゃこ)最後のデザートは西瓜。
よくある景を描写したに過ぎないのですが、切れ字けりで心情が伝わります。閉めは締めですかね?"

水掬う箸の重さや心太  楊子
◯(吾郎)うまくすくえない──のか
◎(春生)感触の捉えた爽やかな句。   
〇(めたもん)「水掬う箸の重さ」という目の付け所が新鮮。捉えどころがない「心太」を季語としたのもいい感じです。 

冷素麺忍ぶ恋など似合わない  あき子
〇(アネモネ)ほんとほんと(笑)
○(泉)はっきりと言い切りました。
○(餡子)おやおや、どんな情景なのでしょうか? 

食べ物のアイデア無限心太  泉
○(卯平)心太と言う単純さが様々なアイデアを求めると言う景が面白い。

場末から妻の買ひ来る肥り鮎  瞳人

初鰹うからはなべて左利き  アゼリア
〇(楊子)初鰹と左利きを取り合わせた意外性に惹かれました。
〇(アネモネ)俳味たっぷりです。
◎(道人)「左利き」が面白い。初鰹と遺伝子との取合せには、何となく納得させられる。

山国は水の国なり葛ざくら  道人
〇(珠子)よく冷えた葛ざくら。瀬の音がきこえてくるようです。 
○(藤三彩)柏餅が終わり、涼味をたたえた淡泊な菓子が夏向きに
◯ (アゼリア) 冷たく冷やした葛桜美味しいでしょうね。

鯉の餌夏の濁流に飲み込まれ  ちせい

葛餅やきな粉の残る口の端  餡子
○(藤三彩)亀戸天神前にある船橋屋さんのくず餅を思い出しました。暫らく行っていないので
○(幹夫)美味しそうに詠めた。
〇(ちせい)洗顔を命じられたのかもしれません。

蛙咥え蛇水口に居座れり  仙翁

はつたいや暗算忘れかほ忘れ  卯平
〇(楊子)昔の悪童たちもみな歳を取りました。「はつたい」とはおもしろいなつかしい季語を見つけられたと思います。

パセリ噛むパセリの青に胸染めて  あちゃこ
○(宙虫)胸いっぱいにパセリが広がる。「青」が意味深・・・。

遠く雷酸っぱい飴を放り込む  まきえっと
○(泉)解釈は出来ませんが、気になる俳句です。
◯(吾郎)放り込むの心意気やよし
〇(仙翁)雷と酸っぱい飴、不思議に似合っているようで。
◎(北杜青)雷と酸っぱいが理を超えて結ばれている句だと思います。

お造りは烏賊の呼子のアオリイカ  アネモネ

うまさうな夏の夜空の金平糖  幹夫
(選外)(あき子)「うまさうな」に何があってもめげない活力を感じます。

雑詠
ご機嫌な鴉よく鳴く梅雨入りかな  めたもん
○(幹夫)今年の入梅は殊の外遅かった。カラス何故鳴くのカラスの勝手でしょ!

父の背に投げかける声夏帽子  まきえっと
〇(春生)なんと投げかけたのか、いろいろ想像します。     
○(餡子)このお父さんは、生きていらっしゃるとも取れますが、亡くなったお父さんの背中に話し掛けていらっしゃる光景を想像しました。夢の中では絶対貌は見せないんですね。

夏鴨の不動の姿田の真中  ちせい

花合歓や太公望の静かさに  春生
〇(アネモネ)太公望といえど釣りの途中ですやすやと。
〇(珠子)太公望たちは誰もが静か。それが「好き」というものなのでしょう。花合歓もほんわり静かに咲いていて。
◎(ちせい)釣りの事が念頭にあったのかもしれません。

海霧に浮かぶ落陽崎の果て  あちゃこ
◯ (アゼリア)景が大きくて良く見えます。

空梅雨や丸と四角の予定表  卯平
〇(珠子)素っ気ない句ですが、私のどこかにひっかかってきます。私の場合△ですね。書きやすいのでチェックによく使います。 
〇(カンナ)取り合わせが面白いと思います。
◯(道人)空梅雨の気持ちがよく分かる。◯と⬜︎の表記の方が面白かったかも。
○(あちゃこ)四角はやや不明ですが、意味ありげな一句。
○(幹夫)何だか面白い。
〇(北杜青)空梅雨が良く利いている句だと思います。
○(宙虫)よくある句ではあるが、四角は何か意味があるのかと好奇心となった。

繰り返せし戦地の話父の日来  アゼリア
〇(瞳人)うちの老父がまったくこの通りでした。何度、聞かされたことか、それほど、かの戦争は深く残っていたのです
◎(カンナ)上五の文語が重厚な俳句にしていると思います。
〇(あき子)戦地の話を繰り返し話す父と全く話さない父もいて、それぞれの戦争を思いました。
〇(春生)まだまだ、戦地の話ができるとは、お元気なんですね。     
(選外)(藤三彩)生還した兵士は戦地のことはあまり語りたがらないと聞きますが・・・

君子蘭整形外科医の喉仏  宙虫
○(卯平)心太と言う単純さが様々なアイデアを求めると言う景が面白い。
◎(仙翁)君紫蘭と喉仏、想像してしまいますね。

紫陽花の路地になお路地風見鶏  珠子
◯(吾郎)風見鶏がなぁ〜〜〜。「路地になお路地」は好み
○(餡子)風見鶏と言えば神戸。坂の町神戸。雰囲気が伝わります。  

灼けてゐる衛士の詰所も城垣も  アネモネ

渋滞の長い行列富士登山  泉
(選外)(藤三彩)今年から山梨の入山口は日に四千人の通行予約制になります。事前決済二千円の通行料も必要です。

乗り継ぎのホームは同じ夏燕  楊子
◎(卯平)安心して鑑賞できる。詠み手の慈愛。詠み手が落ち着いた人生を歩んでおられる様子が伺える。人生に余裕がないければこのような景への発見には至らないであろう。
〇(仙翁)この前、ガソリンスタンドにツバメの巣がありました。

甚平も当マイクロフォンも忘れられ  瞳人

川の字の昼寝の愉楽ハト麦茶  あき子
○(泉)「ハト麦茶」が面白い。

前世は鳥だったかも夕焼け雲  餡子
〇(カンナ)取り合わせが良いと思います
◯(道人)多分そうかも。私も似たようなことをよく思う。ただ鳥ではないのが残念。
○(あちゃこ)加藤登紀子の歌が浮かびました。太古の夕焼け雲の彩を想像させます。
(選外)(あき子)夕焼け雲を見上げながら、自由な鳥に懐かしさを覚えるひととき。

短夜や今年も残り半年に  カンナ
○(藤三彩)一年が早く過ぎてゆきます。年をとるとねえ

蝶二頭連れ添うてくる裏の畑  仙翁

日めくりに父の日という余白あり  道人
〇(カンナ)遠回しな詠みに想像が広がります。
〇(めたもん)「父の日」というのは母の日に比べると何となく中途半端。その辺の気分が上手く詠まれています。
(選外)(あき子)余白は何かを待っているのでしょうか、気になります。

不忍の蓮の葉立てり首都決戦  藤三彩

北式な目覚めさめざめ泣きし滝  吾郎
〇(めたもん)死に纏わる雰囲気のある回文の句。回文による意外な言葉の結びつきが不思議な世界を作り出しています。

緑蔭に入りて寝そべる象の耳  幹夫
〇(仙翁)象の耳が、面白い。
〇(北杜青)象ではなく象の耳が寝そべっているのが良かっと思います。
○(宙虫)耳に注目したのが面白い。
〇(ちせい)大きな耳に魅入られたのでしょう。

髷を結ふための長髪夏燕  北杜青
〇(珠子)「結う」ですから若いお相撲さんでしょうか。夏燕がさわやか。 
○(藤三彩)帽子の後ろに長髪を括る穴があることに気がついた。

☆☆次回をお楽しみ。



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1 コメント

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ご苦労様でした ()
2024-06-23 16:19:04
まきえっとさん、句会当番のお役目ご苦労様でした。今後とも、よろしくお願いいたします。

広島はいよいよ梅雨入りしました。雨の日が続いています。降り出すと、土砂降りになりますね。シトシト降る、という感じではありません。災害が心配です。
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