おはようございます。
お待たせいたしました。
第416回の告知もされております。
兼題:切
吐き歩き異端献体切る秋は 吾郎
切りもなく蟹が駄句吐く夜長かな 瞳人
○(あちゃこ)蟹をもってきたところが何とも愉快です。我がことのようで共感しました。
(選外)(幹夫)蟹の横ばいですね。
切岸に月横たわる飯田線 道人
◎(ルカ) 地名が風景を喚起させます。
◎(アゼリア)中国かと思ったら飯田線沿線の景色なのですね。絶景でしょうね。
◎(吾郎) これはもう飯田線の圧勝、実際に行ったこともないし、知らないとろなのに景色が浮かぶ。
〇(珠子) 飯田線が効いているように思います。
秋の空夫の爪切る音高し 楊子
○(アネモネ)いかにもいかにも。音高しに得心です。
○(ちせい)季語は「秋の空」。爪切る音と秋の空の交響楽。
〇(宙虫)年をとるとだんだん爪が固くなって、音もでかくなる。こんな風にさわやかな爪切りをしたい。
○(吾郎)庭、縁側、昭和の日曜日
新涼やペリー驚く江戸切子 泉
〇(藤三彩)新酒に切子の光が入ると新世界のよう。芝公園にペルり提督像がある。意外と若いお顔。石灯籠のお礼として生地から昭和28年の日本開国100年祭に贈られたそう。
切なくて蟹は秋思の泡を吹く アネモネ
〇(藤三彩)カニがぶつぶつ泡を吹くのは普通に見えるが、擬人化して愁思を吹かせてしまう。
◯(アゼリア)もうじき蟹の美味しい季節になりますね。もしかしてそれが原因かななんて想像しています。
○(吾郎)そうかそうっだたのか! 納得してしまった
〇(まきえっと)そうなんですね。どんな愁思なんだろう。
秋鯖の切身に十字拝むトライ 藤三彩
(選外)(幹夫)4年前の五郎丸歩から今回は田村優へ引き継がれたコンバージョンキック、ルーティンは各々。桜の勇士(BRAVE BLOSSOMS)世界ラグビーベスト8は天晴れ!秋鯖の切身とは面白い。
切り詰めて了えし一生墓洗う 敏
◎(幹夫)弔いの一句に共感。
○(泉)一般庶民の一生ですね。感慨深いものがあります。
消え去った稲刈鎌で切った傷 多実生
◎(藤三彩)田畑を代々守るというのは困難な時代。放置された稲畑は背板泡立ち草など入り痛々しい。手に遺る傷が心の痛みのようにも。
秋霖や一筆箋に指を切る 珠子
〇(楊子)さよならの一行。
○(仙翁)よくあります。一筆箋がいいですね。
○(ルカ)季語がいいと思います。
江ノ電の小さき踏切秋の海 アゼリア
○(アネモネ)踏切の音が聞こえてその先の青い海が見えてきます。
○(幹夫)江ノ電には海の潮風、一景が詠まれる。
〇(瞳人)秋の海を見せる舞台装置、ぴたり来ますね
○(泉)映画で見たような風景ですね。
〇(まきえっと)小さな踏切がいいですね。目に浮かびます。
どうしても切れぬ縁あり牛膝 ルカ
〇牛膝(ごしつ)はイノコズチのこと。実と言うのか衣類にやたらとくっつく別名”ドロボウグサ”とも。縁とは諦めかもしれない。
○(ちせい)季語は「牛膝」。苦悩を平準化する植物なのかもしれません。
〇 (多実生) 幾つも有りそう。季語も良いです。
〇(道人)人の縁とは本当に人智を超えた世界。「牛膝」との取合せの妙。
○(敏)切れない縁と牛膝との自然な距離感が良いと思いました。
秋の蚊の飛び立つ時の切迫感 ちせい
秋日差天神さまの切通し 幹夫
○(あちゃこ)何とも秋らしい。爽やかな空間。
ぼろぼろに朽ちる切り株暮るる秋 仙翁
◎ (多実生) 五歳位の時、生家の斜め裏の土手斜面にあった杉の巨木が雷で割れ、三名で三日位を要して伐り倒されました。暫く、切り株が遊び場でした。
コスモスを切ってさみしい空の町 宙虫
〇(楊子)乱れ咲くからさびしいコスモス。
○(ルカ)そんな気持ちになるのは秋の空。
○(吾郎)既視感満載なのに心惹かれるのはなぜだろ、あ、空か
〇(道人)コスモスを切る、とはどういう心持ちなのだろう。実際に切らないにしても、風に揺らぐコスモスが消えて仰ぎ見る空はさぞ寂しいに違いない。
無為の日を切り取る写真虫しぐれ あちゃこ
○(仙翁)どういった写真でしょうね。
○(吾郎)お互いに生きてるわけで
○(敏)作為のある写真よりも、ありのままの日常を捉えた写真の方に心が奪われることがあります。虫の音は適度なBGMでしょう。
(選外)往時茫々。「古写真を見ながら無為に過ごした往時を振り返る、窓の外には虫時雨」という構図でしょうか。寂し過ぎる。
切り絵師の操る鋏星月夜 まきえっと
〇(楊子)黒い紙と星月夜のイメージがいいです。
◯(アゼリア)寄席の合間に切り絵師が出たりしますが、見応えがあります。
〇(瞳人)はさみも光り鮮やかに姿が浮かびます
(選外)(道人)知人に切り絵の大会にも出ている趣味人がいて、その鋏の捌き方の見事なこと!なぜかその芸は夜にしか見たことがない。
テーマ:数字を使って
4三振眼瞼くつきり空澄みて 瞳人
○(幹夫)ミスタージャイアンツ長嶋茂雄の初陣は4三振!今月6日訃報享年86歳、400勝投手金田正一に合掌。
十代のやり過ぎ台風十九号 藤三彩
さらされていてもD51紅葉狩り 敏
〇(藤三彩)各地で動く機関車には人が集まる。公園にも晒されてる動かない蒸気機関車がある。ふるさと納税で修繕するので寄付をと言う。
水底に届かぬ梯子小望月 まきえっと
◎(楊子)心象句として読みました。届きそうで届かぬ思いが水、梯子、月という措辞でかなしくつながっている。
〇(道人)月光を天から降りて来る梯子と捉えた繊細な句。十五夜であれば水底に届いたであろう。
秋天の浅草八方駆ける俥夫 あちゃこ
○(アネモネ)日焼した健康的な車夫の若者たちがさわやかです。
◯(アゼリア)浅草や鎌倉など観光地に良く人力車を見かけます。若くてイケメンで英語でも対応していますよね。乗ったことはありませんが、ゆっくり観光できそうです。
○(幹夫)颯爽と時代屋!
○(泉)この時期、人力車は多忙ですね。
〇(まきえっと)去年初めて乗ってみましたが、見える景色がいいですね。八方駆けるがいいです。
黄落や中二階からくる返事 楊子
〇(宙虫)中二階に魅かれる。黄落もいい感じ。
今年米五俵に台車ままならぬ アネモネ
○(ルカ)豊作、実りの秋。
四百五十グラムのチャーハン秋深む ちせい
○(ルカ)グラムが生きてます。
○(泉)四百五十グラム?ユーモラスな俳句だと思います。
主婦歴は句歴の五倍茸飯 アゼリア
◎(アネモネ)なるほどなるほど。五倍茸飯がいいですね。
◎(ちせい)季語は「茸飯」。主婦業に対する矜持が感じられます。
〇 (多実生) 主婦歴と句歴の比較が面白い。
○(敏)作者のお年を色々数えあげさせていただきました。
〇(珠子)いい主婦をされているのでしょう。茸飯食べたくなりました。私は二倍ほど。
○(あちゃこ)自慢の一品のキノコ飯なのでしょう。二つの歴史を並べたところが調べをつくっています。
秋夕焼聞こえて来そう数え唄 多実生
○(仙翁)夕焼け、辺りの情景が見えるようです。
十月やブラッドベリを読み返す ルカ
○(吾郎)ブラッドベリには10月がよく似合う。それにしても、改めて感じる邦題のセンスの良さ
数えきれない恋の残骸青い月 宙虫
千ほどの稲束を干す茜雲 仙翁
◯(アゼリア)ご苦労様です。お陰様で今日美味しい新米をいただきました。
○(ちせい)季語は「稲束」。時間の経過などが感じられました。
〇 (多実生) 懐かしい光景です。今は、機機で直ちに収穫し後で乾燥の様です。
◎(道人)経済合理主義では忘れられつつある昔ながらの稲刈り・天日干し。夕日に輝く稲架が美しい。
〇(珠子)千束の収穫量となると…?自宅で食べる分ぐらい?手作業の米はゼッタイおいしいですから。茜雲に収穫の喜びが感じられます。
大野分律儀なバスに客二人 道人
〇(楊子)かわりなく時間通りにくるバスに焦点をあてたところが面白い。
◯(アゼリア)地方の暮らしは律儀なバスに助けられていますが、あまり律儀すぎて立ち往生しませんようにお願いいたします。
〇(瞳人)客も律儀にて
十三夜無月寝しなの本ひらく 珠子
○(敏)十三夜の月見を楽しみにしていたのに無月とは。床について本を読みだしたといったところでしょうか。
背番号三の打球や猪走る 泉
鵙の贄より一滴の昨夜(よべ)の雨 幹夫
◎(珠子)格調が高い。大事にしてゆきたい日本の景のひとつ。一雨ごとに寒くなっていきますね。
鶲迷ダンサー三代目来た日 吾郎
〇(道人)「迷ダンサー」か「名ダンサー」か。矢張り迷えるダンサーの方が好きです。
雑詠
秋鯵を開けば予定が白くなる 宙虫
恐竜の卵の外の大花野 まきえっと
◎(仙翁)とても面白い。
〇(宙虫)花野が生きて。絶滅した恐竜との対比がおもしろい。
たこ焼きのソースの粘り蛇穴に ちせい
〇(宙虫)しつこいお好みソースのべたつき。におい、湯気、いろんなものが見える。
右左分かれる道や秋茜 敏
噛み締むるグレタの言葉大台風 アゼリア
空港につづくアオアシシギの潟 アネモネ
○(ちせい)季語は「鴫」。自然開発の業を思います。
〇(珠子)シンプルですがぴしっと決まっていて心地よい。潟の鳥の姿が見えるようです。近代的な空港は鳥や魚の楽園を奪って作ったもの。
雑踏に置いてきぼりよ鳥渡る あちゃこ
秋水の閉じ込めている石の声 ルカ
〇(楊子)石の貌という句はあるが声は見つけ。
○(仙翁)石の声が水音に消される、面白いですね。
○(泉)石の声?どの様な声なのか、不思議に思いました。
◎(あちゃこ)石を通して被災の人々の嘆きや苦しみが伝わってきます。
星流る机上にペンの走る音 楊子
〇 (多実生) ペンの音が静かさを語っています。
〇(宙虫)たった一行かもしれないが、さらさらとペンが止まらない。うらやましい。
〇(まきえっと)星の流れる音も聞こえてきそうです。
待宵に罷りし寅又罷り出づ 瞳人
台風刻々水槽を突く金魚 珠子
○(ルカ)金魚を見つめて待つ台風。
◎(宙虫)金魚なりの緊張感がおもしろい。台風はやはりこわい自然災害。
◎(敏)動物には、人には感じ取れないような、センサーがあるのでしょう。台風の接近を感じ取った金魚の動作を見て取った、作者の鋭敏な感性が一句となったようです。
◎(まきえっと)動物の自然への敏感さを感じます。つくづく人間は鈍感だなぁ。
猪吊られ地を擦りをりし鼻の先 幹夫
○(アネモネ)獣臭さが伝わってきます。
○(あちゃこ)実景でしょうか?哀れが募ります。
秋蝶の孤独当て所のなき旅路 仙翁
○(幹夫)秋蝶の孤独感に共感。
投句手に此の地蜂の仔煮て喰うと 吾郎
◎(泉)見事な回文!だと思います。
○(あちゃこ)蜂の仔が中七に上手く収まり、見事としか言えません。
〇(まきえっと)栄誉がいっぱい。来年の野球が楽しみです。
父母もすでに年下星月夜 多実生
○(アネモネ)星月夜が読み手に作者のこころの在りようを過不足なく伝えてきます。
○(幹夫)季語「星月夜」が佳い。早世のご両親に合掌。
◎(瞳人)そうなると、しみじみ父、母、がこいしくなりますね
〇(道人)「すでに年下」に俳諧味とペーソスあり。
○(敏)いつの間にか泉下の両親の年を越えてしまったという感慨の作品。
〇(珠子)「親の年を越え」ではなく「すでに年下」という措辞がいいと思います。
野良猫の軒に待ちおり台風過 藤三彩
○(仙翁)同じような状況が、我が家にもあります。
〇 (多実生) 野良猫にも生きる知恵が見られます。
郵便の来ない黄昏れ火の恋し 道人
〇(藤三彩)ポストを鳴らす音は新聞かチラシ、検針票か請求書。人が遠くなる暮らしを感じます。
○(ちせい)季語は「火恋し」。心細さに恋しく思う火。
恋人の笑みが打ち消す秋思かな 泉
〇(瞳人)ああ、こころ、晴れたり、うれしやというところ
広島は朝夕が肌寒いほどになって来ました。日本シリーズは巨人の完敗に終わり、カネの力も限界でしょうか。
今日はラグビーW杯。イングランド対ニュージーランドがあります。ラグビーは面白いですが、一時的な人気に終わるか否か?ここが問題です。