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『桃李(とうり)言わざれども下(した)自(おの)ずから蹊(けい)を成す』
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桃や李(すもも)は何も言わないが、花の美しさに惹(ひ)かれて多くの人が集まってくるから、木の下には自然と道ができる。徳望のある人のところには、自(みずか)ら求めなくても、その徳を慕(した)って人が自然と集まって来ることの喩え。
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出典:「史記-李将軍(李広)列伝・賛」「諺曰、桃李不言、下自成蹊、此言雖小、可以諭大也」
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<松下幸之助一日一話> PHP研究所編
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部下に使われる
一般に、形の上では指導者が人を使って仕事をしているようにみえるが、見方によっては指導者の方が使われているのだとも言える。だから、口では「ああせいこうせい」と命令しても心の奥底では、「頼みます」「お願いします」さらには「祈ります」といった気持を持つことが大事だと思う。そういうものを持たずして、ただ命令しさえすれば人は動くと思ったら大変なまちがいである。指導者は一面部下に使われるという心持を持たねばならないのである。こうした心境があって、はじめて部下に信頼される大将になり得るのである。特に大きな組織、集団の指導者ほど、この心がまえに徹することが必要だと言えよう。