・ステーキハウスの仕事の話(その1)
○4月13日(日)~私はシドニーのジョージストリートにある、ステーキハウスで週一の日曜日だけの仕事を見付け、今日から皿洗いの仕事をする事にした。時間は午後5時から9時45分までであった。この仕事はロンドンで既に経験済み、行ったその日から1人でこなした。本番の従業員がいるが、日曜日が彼の休みの日なので、私はその代わりであった。皿洗いと言っても、ほとんど皿洗い機があるのでその操作と、食器類を拭くのが主な仕事であった。
この店は月曜日から日曜日まで休まず営業していた。店の規模は4人掛けのテーブルが20程、他と比較して大きくないが、小さくもなかった。店の奥に調理室があり、その脇を通って更に奥へ行くと、私の仕事場になっていた。そこは、食器洗い場とビールやワインの貯蔵庫があり、ウェイトレスが貯蔵庫にワイン等を取りに来る他に用がない所であった。
ボスから「ビール1本程度なら自由に飲んでも構わないよ。」と言われていた。後日、慣れたあたりから、ビールを飲みながら仕事が出来た。そして時にはボトルのワインも摘み飲みした。勿論夕食は、コックに好きな料理を大盛り注文して食べていた。
この店は繁華街のメイン位置にあるので、午後6時半頃から7時半頃まで特に忙しかった。コック2人の内の1人(26歳のドイツ人)は、私がこの店の仕事の流れや要領等が不慣れな初日、私に何かとうるさかった。彼は不親切で嫌みたらしかった。
○4月20日(日)~その日の終り頃、コックのドイツ人からうるさい事を言われっ放しでなく、ついに彼に反撃に出た。そもそも白人(欧米人とやって行くのには、『彼等と対等である』と言う意識、考え方が大事であった。それには自己主張する事が大切であった。何も言わないより間違っても良い、主張する事が大事であった。何も言わなければ理解されないし、余計に彼等は付け上がり、私を下目に見る様になるのだ。
そんな訳で、「君はボスでもなければ、マネージャーでもないのだ。私に一々つまらん事を言うな。君は君の仕事をしていればそれで良いのだ。決して私の仕事に口を挟む事のないよう、忠告しておく。」と、彼にきっぱりと言った。
そうしたら、「私がボスに君の事を話したら、君は首になるよ。」と首を手で切る様なジェスチャで彼は言った。
「君がボスに言い付けたければ勝手にどうぞ。私は全く気にしていませんから。」と彼に言ってやった。
週一、しかも午後5時からの仕事、誰が喜んで来る人がいるものか。それに私は貨物駅の仕事が見付かり、気が楽になっていた。そしてこの事(私の主張)があって以来からレストランの仕事を辞めるまで、彼は私にうるさい事を言わなくなった。いや、寧ろ親切になった。
今日帰り際、ボスから6ドル25セント貰った。ついでに話すが、ここのボスはロシア人であった。「共産国家を嫌いロシア革命前後、ここオーストラリアに家族で移住して来た。」と彼は話してくれた。私は思うが、彼の両親はブルジョアジー系と考えられた。いずれにしても未だに彼の英語は、ロシア語訛りの英語であった。私もはっきり言って、日本語訛りの英語であるから、他の人の事を言えない。
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