文房具をさがしに

お気に入りの文房具や日々みつけたものについて書いていきます。

リーガルパット

2020年08月10日 | アメリカの文房具
私が、アメリカの文房具で初めて使い込んだのが「リーガルパット」でした。
「黄色のレポート用紙?」
日本のレポート用紙になれているほとんどの人にとって、リーガルパットは「?」な物です。
 まず、なんで黄色なのか。赤い縦線と水色の罫線、その線もにじんでいるところがあったりと、精度があまりいいとは言えなかったりします。そして表紙がなく、一番底に分厚い厚紙が入っている。
 私も、何で使い始めたのかは覚えていないのですが、もの珍しさからだったかもしれません。



 リーガルパットは、トマス・ホリーという製紙業者が作ったものです。現在もリーガルパットの代表的メーカーであるAMPAD(アムパット)社を創業(1884年)し、紙くずを集めて安価なノートをつくり始めました。
 そんな中、営業担当者からお得意様の判事が自分で無地のノートに罫線を引いて使っているのだが、あらかじめ罫線が引かれているものが欲しいと言っていると聞き、作ったのがリーガルパットでした。
 その時、書き込み用の余白と、縦線も入れました。

 その形が似ているのでリーガルパットをレポート用紙と比較してしまうのですが、まったくレポート用紙とは異なる商品です。
 まず、レポート用紙はまとめた文章を記述するためのものです。その名の通り、レポート用の用紙なのです。
それに対し、リーガルパットはレポートを作成する前に、文章の構成を考えたりアイデアを書きなぐったり、ラフに何でも書き込んでいく使い方をします。レポート用紙というよりは罫線の入った落書き帳です。
 そういう使い方をするため、すぐ書き込めるように表紙がなく、書いたら切り離せるようにミシン目がついているのです。また、机の上だけでなく立っても使えるように背に分厚い厚紙を入れています。
 クリップボードに雑紙を挟んでおいてメモ書きをするのが一番近いのではないでしょうか。実際にそうやってクリップボードを使っている人は何人もみたことがあるので、是非リーガルパットを試してもらいたいです。

 リーガルパットのような商品がアメリカで定番となったのは、おそらく、タイプライターの文化があったからだと思われます。正式文章を作るまでにリーガルパットのようなものを使い考えをまとめ、それをタイプライターで清書する。それと比べ、日本は漢字を使用するのでワープロが誕生するまで手書きでレポート用紙のようなものに清書するという違いです。ただ、日本でも考えをまとめるためのものが使われていたと思うので、それは雑紙を使っていたのではないでしょうか。アメリカは日本に比べ資源が豊富だったので大量に紙を消費できたのでしょう。

 最後に、リーガルパット最大の謎である、黄色い紙についてです。
 所説ありますが、黄色い用紙だと白い紙の中にまぎれても探しやすいからとか、元のノートが雑紙を集めて作った紙から作っていたので色をそろえるために白ではなく黄色で染めた、黄色い色は目に優しいからなどです。
 今売られている商品を見てみると、黄色のものが定番ですが、様々な紙の色のものがあります。白はもちろん水色、グレー、ピンク、グリーンなど。
 個人的な意見ですが、おそらく雑紙の色を合わせるのに染めたのが最初で、使ってみたら黄色で色々良かったのか、あるいは売るために理屈をつけたのではないでしょうか。
 
 何にせよ、リーガルパットは非常にアメリカらしい文房具です。ノートとかレポート用紙とは違い、雑紙の束だと思って使うとこんなに使い勝手のよいものはないので、是非試して欲しいです。

アメリカの文房具

2020年08月10日 | アメリカの文房具
 アメリカという国は、日本人からすると一番なじみのある国といって間違いないと思う。
 旅行に行く人は多いし、身近な所でも実はアメリカから入ってきたという商品やサービスにあふれている。衣料品、食料品、日用品などをはじめ、スマートフォンやら飛行機までアメリカのメーカーのものだらけだ。
 そんな中で、自動車と電化製品、そして文房具は日本の中ではマイナーな存在に甘んじている。なぜかといえば、日本メーカーがたくさん存在し強い分野だからだ。
 アメリカの文房具というと、どんな印象をもっているだろうか。というより、使ったことがないのでわからない人が大半なのではないかと思う。
 少し前までは、PLAZAとかで種類は少ないけれどもアメリカのペンやノートを買えたのだが、いわゆる文房具ブームがおきてからは日本の文房具メーカーが山のように新商品を開発するせいもあって全く姿を見ることがなくなってしまった。ちょっとおしゃれ系の店では、ヨーロッパの洗練された文房具が幅を利かせている。
 唯一、アメリカらしい文房具で日本で買えるのが「リーガルパット」だろう。あの黄色い紙のレポート用紙だ。ダイソーでも売っているのには驚いたが、それでも、どこでも置いているわけではない。



 日本の製品は品質が高く、細部にこだわった作りのものが多い。
 ノートを例にあげると、まず紙の質が良い。なめらかな下記心地はあたりまえで、ボールペンで書きやすいとか、シャーペンで書きやすいなど言われないとわからないものまである。罫線の種類や質にもこだわり、縦にドットが入ったノートが当たり前。用途ごとや、教科ごとに専用の罫線のノートまである。
 それに対して、アメリカのノートはまず紙質にはあまりこだわっていないように見える。日本の紙に比べてざらついているものが多く、中には変色しているものもあったりする。罫線について言えば、線の太さはまちまちで染みたような線のこともある。
 そんなことを聞くと、ほとんどの日本人は「そんな質の悪い製品はいらない」と言うと思う。私も最初はそう思っていた口なのだが、使ってみないとわからないこともある。
 使って分かったことは、「これで十分」という一言につきる。
 パソコンで資料を作るのが当たり前の中、ノートに綺麗にまとめるなんてことは社会人ではほとんどない。どちらかというと、仕事で必要な内容をメモしていく使い方が多いように思う。使ったノートも直近のものしか見直さない。
 メモ中心の使い方から冷静に見ると、日本メーカーのノートは品質が高すぎるように感じでしまう。実際にちょっとメモに使うのに、あまりに綺麗な紙だと使うのがもったいないと思ってしまうのは私だけだろうか。

 そう思っていた中、とても便利に使えたのが、先ほど話をした「リーガルパット」だった。黄色いレポート用紙と書いたが、根本的に用途が異なる商品になる。日本でいうレポート用紙は、その名の示す通り、まとまった内容を記述し、提出あるいは保存するためのものだ。それに対し、リーガルパットは、大きなメモ帳といった使い方が正しく、用が済んだら捨ててもいい。思いついたことや、調べたりしたことをざっくばらんに書いていき、頭の中を整理したり、きちんとした資料を作成する前にガイドラインを整理するような場合にとても役に立つ。

 細かい所に気をつかい、次々に改良していく日本の文房具は間違いなく素晴らしいが、そこにはない「これで十分」と言って同じものをずっと使い続けていくアメリカの文房具について紹介していこうと思う。