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絵本の楽屋   by 夏野いばら

「すーちゃんとねこ」 さのようこ:作 こぐま社

絵本は、自由だ

私の手元にあるのは、1973年初版本。ぼんやりとだが、母が読み聞かせてくれた記憶がある。

とにかく、すーちゃんの意地悪が、強烈である。帯には、こうキャッチ・コピーが書かれている。

「いじわるしたことありませんか いじわるされたことありませんか」

 ―はい、こんなひどい意地悪は、したこともなければ、見たこともありません!

小心者の私は、自分が母親になったとき、娘たちに、この本を読み聞かせてやれなかった。「こんな意地悪しても、いいの?」と問われるのが、怖かったのだ。

それでも、この絵本が大好きで、ずっと手元においてきた。ときどき、無性に会いたくなるのだ、すーちゃんの奔放さに。こんな意地悪して、いいわけがない。けど、この中には、いつも、風が吹いている。なんか、自由な風。

「絵本は、自由だ。」そう教えてくれた本。

ちなみに。本書は、かの、さのようこのデビュー作です。100万回も生きることになったねこの、0回目の姿が、この、すーちゃんにいじめられてたねこちゃん、なのかも??

半世紀もの昔、帯に「3歳から5歳向け」と銘打って、いじわるすーちゃんを世に送り出し、版を重ねる「こぐま社」に拍手を!

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