ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

チロ基金の活動「ビタペクト2(セルロース)&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第133回」

2012-05-08 |   ビタペクト配布活動
 5月7日にビタペクトTと「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピー無料配布運動として、SOS子ども村への第133回目の配布を実施いたしましたので、ご報告いたします。

 まだ製造が再開されず、今回も子どもたちにビタペクトTを渡すことができませんでした。代わりにペクチン配合セルロースを配布しました。
 以前のこの活動でもセルロースをビタペクトTの代わりに子どもたちに渡したことがあります。
 詳しくはこちらの記事をご覧ください。

133回目に当たるチロ基金の活動「ビタペクト2無料配布」について。

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/c5c13bdc865c7071c69c29024464ff6d


チロ基金の活動「ビタペクト2(セルロース)『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第123回」

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/b70d590afa565bd909875ae3aae13527


 ペクチン配合セルロースについてはこちらです。
ペクチン配合セルロースについて (1)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/43f810eddd1efc451f5171ef3cd35a7a


ペクチン配合セルロースについて (2)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/5d48a74eef693b9246d188dfa277d076


ペクチン配合セルロースについて (3)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/33089b7659d42b742cf36a33deba21ad



 ビタペクトTを製造しているベルラド研究所側の事情により、現在ビタペクトTの製造が休止しています。さらに現在のところ在庫もありません。
 しかしチロ基金としては子どもたちに何もあげないよりは、ペクチン配合セルロースを渡すほうがいいと考え、今回はビタペクトTの代わりに「ペクチン入りセルロース・ツルコケモモ」(250グラム入り)7個をSOS子ども村にて保養滞在している家族に渡しましたのでご報告いたします。
 これでチロ基金が今までに子どもたちに渡したペクチン入りセルロースは合計20個になりました。
 ペクチン入りセルロースは250グラム入りで、ビタペクトTは152グラム入りです。そのためペクチン入りセルロースを子どもたちにあげるときには1個で2人分として渡しています。

 また「放射能と栄養」のコピーを10部渡しました。これで今までに配布した「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピーは1720部となりました。
  
 今回で通算143回目の配布となりました。延べ人数ですが、1720家族分の「放射能と栄養」のコピーを配布したことになります。

(これまでのビタペクト2配布運動について、詳細はこちらをご覧ください。)

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/bitapekt/index.html


http://blog.goo.ne.jp/nbjc/c/e1e67d76a4796f3c95377bb7bdabd215


(またこの活動報告を読むにあたり、「チロ基金の活動『ビタペクト2無料配布』について追加のご説明」も併せてご覧ください。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/67c3b73ea2f30e880c3d4eb8bedded13


(ビタペクト2とビタペクトTについてはこちらをご覧ください。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/5cab63b65562dd2f64a820a7e4298a0b


(「チェルノブイリ:放射能と栄養」について詳細はこちらをご覧ください。)

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/chel/index.html


(SOS子ども村についてはこちらをご覧ください。) 

http://belapakoi.s1.xrea.com/jp/no2/2001/soschild.html


(WBCによる測定、ビタペクトTを開発、製造、販売しているベルラド放射能安全研究所の公式サイトはこちらです。)

http://www.belrad-institute.org/


(ベルラド研究所について日本語でご紹介している記事はこちらです。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/c382ef7eca8660531e895c8a646e7f2a



 今回は2家族がゴメリ市(チェルノブイリ原発から約140キロ)から来ていました。


(家族A)
 
 この家族は家庭タイプ孤児院の家族で、2011年11月にも保養滞在していたのですが、体内放射能値が少なく、ビタペクトTを渡していません。
 そのときのようすはこちらの過去ログをご覧ください。

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/2f1ea254e73fafdbe29c79bb6b9fca45


 それぞれの体重1キロあたりの放射能測定結果はこのとおりです。2回目の滞在になった子どもの場合、2011年の結果と2012年の結果の両方を示しています。○印の子どもにはセルロースを渡しました。
 
母親(事故発生時14歳)4ベクレル → 6ベクレル
女子(14歳) 28ベクレル ○
男子(14歳) 16ベクレル
男子(14歳)261ベクレル ○
女子(13歳) 24ベクレル ○
女子(11歳) 23ベクレル ○
女子 (9歳) 27ベクレル ○ 
女子 (8歳) 14ベクレル → 23ベクレル ○
女子 (6歳) 0ベクレル → 22ベクレル ○
女子 (5歳) 0ベクレル → 34ベクレル ○

 このうち6歳と5歳の女の子が現在この家族の養女になっており、他の子どもは地元の教会関係の信者さんたちの子どもを引率して来たものです。
 13歳と9歳の女の子は姉妹、16ベクレルだった14歳の男の子と11歳の女の子も兄妹です。
 それから少し複雑なのですが、8歳の女の子の測定結果をこの家族Aのほうに載せましたが、現在この女の子は家族Bの養女となっています。

 今回の測定結果ですが、チロ基金がこの活動を始めてから初めて3桁の数値が出ました。ショックです。
 今までの最高記録になってしまいました。

 お母さんにお話を伺いました。
 8歳の女子は第1度(軽度)の甲状腺肥大が見られます。
 5歳の女の子は生まれつき心臓に異常があり、また腕の関節も異常があって、腕を曲げる(手のひらを上にする)ことができません。風邪もよくひくそうです。
 14歳の261ベクレルの男の子ですが、どうして1人だけこんなに被曝しているのか、本人にきいても(当然ですが)分かりませんでした。
 測定結果を知って、引率してきたお母さんはびっくりして、この男の子のお母さんにすぐ電話したそうです。
 お母さんもショックで、どうしてこんなことになったのか分からないが、食べ物のせいだとしたら、家族全員同じぐらい被曝しているかもしれないので、自分も測定をしたい、と話していたそうです。

 この男の子は慢性胃炎を抱えており、いつも元気がなく、疲れやすいということでした。
 お母さんは「この子はおとなしい性格なんです。」と引率したお母さんに話していましたが、そうではなくて被曝のせいだとこれではっきりした、と引率したお母さんは言っていました。
 男の子の話によると、去年の夏にスイスへ保養に行っていたので、こんな結果が出ると思っていなかった、ということでした。
 兄弟が2人いるそうですが、こちらも被曝量が気になるところです。
 ゴメリ市内にも測定できるところがあるので、家族全員で測定に行くほうがいい、というSOS子ども村側のアドバイスでした。

 セルロースは1個が250グラムで2人分なのですが、この男の子には1個全部飲むように渡し、さらに他の子どもが1日小さじ1杯ずつ飲むよう指導したのに対し、この男の子には1日大さじ1杯ずつ飲むように指導しました。


(家族B) 

 お母さんと2人の実子、1人の養女(家族Aの8歳の女の子)、さらに引率してきた子ども3人の家族です。
 それぞれの体重1キロあたりの放射能測定結果はこのとおりです。○印の子どもにはセルロースを渡しました。
 
母親(事故発生時18歳)17ベクレル 
長男(13歳)32ベクレル ○
長女(12歳)31ベクレル ○
男子 (9歳)32ベクレル ○
男子 (8歳)26ベクレル ○
女子 (9歳)38ベクレル ○

 家族Aの結果が3桁だった男の子ばかり目がいってしまいますが、他の子どもたちも高い値ばかりです。(11月に0ベクレルだった子どもが翌年5月に20ベクレル代や30ベクレル代だとがっかりします。)

 この家族の子どもたちは比較的健康だそうですが、長男と長女が急に視力が落ちたとお母さんは心配していました。
 とにかくセルロースをきちんと飲むこと、そしてゴメリに帰宅後は引率してきた子どもの両親にセルロースが何なのか説明し、最後まで飲み切ること、また「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピーも渡して読むようにすることを伝えました。
 お母さんたちは
「対策方法の情報がないので、とてもありがたい。」
と話していました。
 家族Aのお母さんは、前回「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピーをもらったときに帰宅後、病院の知り合いの医師にも渡したそうです。
 少しずつでもこのように情報が一般市民の間に行き渡ってほしいです。

 画像は記念撮影の様子です。家族Aの6歳と5歳の女の子はお昼寝中で写っていません。
 セルロースの蓋の色がいろいろありますが、全てツルコケモモ入りです。
(製造している工場で同じ色の蓋の在庫がなくなったので、別の色の蓋で代用したようす・・・。こういうのが日本ではないことで、ベラルーシではあることです。)

 子どもたちには折り紙用の紙、折鶴、折り紙の作り方の、定規(これはベラルーシの出版社からの寄贈品)をプレゼントしました。お母さんにはアクリルたわしです。
 
 最後になりましたが、ペクチン配合セルロースの購入費、そして「放射能と栄養」をコピーするために必要な経費を寄付してくださった方々、折り紙や手作りのアクリルたわしなどプレゼントを寄贈してくださった方、また日本ユーラシア協会大阪府連主催のバザーなどでSOS子ども村への交通費を捻出してくださった多くの日本人の皆様に、この場を借りて深くお礼申し上げます。
 多くの方々に支えられて、この活動が続いています。
 ベラルーシの子どもたちもお母さんたちもSOS子ども村の職員の方々も皆様に大変感謝しております。本当にありがとうございました。


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 追加情報です。
 保養を終えて帰宅した後、261ベクレルだった男の子のお母さんは、自分たち家族全員の測定を希望し、地元の検査機関に尋ねて行ったそうです。
 するとすぐにお母さんを測定してくれたのですが、その結果は400ベクレル台だったそうです。ショックで家に帰ったお母さんは家族Aの引率お母さんに連絡し、それがSOS子ども村へ連絡がきました。(だから私も知っているのですが・・・。)
 SOS子ども村側は「家族全員測定して、早めに対処すること。セルロースを飲んだほうがいい。261ベクレルだった男の子も再測定するほうがいい。」とアドバイスしたそうです。
 この家族、大変気になります。何か分かりましたら再びご報告します。