10月28日、ストライキが各地で行われています。
ミンスクの有名企業アトランタ(冷蔵庫製造)の従業員もストライキに入りました。
従業員の1人は、白赤白の旗を持って工場の煙突に上り、大統領の辞任を求めました。その後、この従業員は精神病院に連れて行かれました。
ストライキに入った工場の従業員が次々と解雇されています。しかし、支援団体から生活費がもらえます。
ストライキに入った企業名をプラカードに書いて「ありがとう!」の言葉を添えて、街角に立つ人間の鎖が朝からできています。
最近、ベラルーシの鉄道線路各地で置石がされているのが発見されています。幸い事故には至っていません。
内務省は厳重に処罰すると言っていましたが、今日26歳女性が線路線路への置石とミンスク市内の警察署への投石の疑いで逮捕されました。
ストライキのため工場内のいくつかの部門が操業していない工場グロドノアゾトでも、ストライキ参加者の解雇が続いています。しかし、コロナウイルスの集団感染も発生していて、(春にも集団感染が起こったことでニュースになっていましたが)秋になってまた集団感染が始まりました。先週は70人しか感染していなかったのに、今週に入って497人が感染しました。従業員数は約7500人の大企業です。
ストライキをしなくても完全な操業ができないと思います。
ストライキをする→工場の操業ができない。
ストライキに参加した従業員はクビ→人員不足で操業ができない。
ストライキはせずまじめに出勤してきたら、コロナウイルスに感染する→操業できない。
・・・という状態です。
内務省からまた不特定多数の人のスマホにSMSが送られています。また「デモやストライキに参加するのは犯罪です、の警告だろう。」と思ってよく読んだら、
「あなたが留置所にいたときにかかった経費を支払ってください。」「あなたの家を家宅捜索したときにかかった経費を払ってください。」という請求書でした。
「いや、私、逮捕されたこともないし、自宅も家宅捜索されたことないんですけど・・・。」
とみんなびっくり。私はこのニュースを聞いたとき、新手の詐欺商法では?と疑ったのですが、その後のマスコミの取材によると、本当に内務省がこんなSMSを送っていたことが判明して二度びっくり。
警告代わりという意味合いもあるのでしょうが、身柄拘束されたこともない人にまで経費の請求をしてはいけないでしょう・・・というより、留置所の「宿泊代」払え、これは自己負担だ、家宅捜索の費用は家主が負担せよ、というのは、警察としておかしくないですか? 私たちの税金は? 警察に割り振られている国家予算は?どうなっているの?と思いました。
昨日、大統領が「デモに参加した学生は退学処分にせよ。」と発言したのを受けて、多くの大学で、それに反対するデモが起きています。学生の側に立つ教員もいます。
ベラルーシ医大の場合。昨日のうちに学長が、「このように大統領も言っているわけだし、学生はデモに参加しないように。本当に退学処分にしますよ。」と釘を刺す発言をし、さらに退学処分にする学生名を数名挙げました。
学生の多くが反発。本当に誰かを退学にしたら、それに反対するデモをすると声が上がりました。
全ての学生のうち30%ぐらいがデモに参加しているそうです。本当にこの30%の学生を退学にしたら医大はどうなるのでしょうか? 崩壊です。大学もそうですが、未来のベラルーシの医療が崩壊します。
今日、本当に18名の学生が退学処分になりました。(30人以上という情報もあります。)
退学になった学生によると、1人ずつ学長室に呼び出され、「10分間精神的な圧迫を言葉で与えられる」そうです。その後、退学処分だと言われます。正式な書類は渡されません。反論したい者は保護者を呼んでくるように、と言われたので、実際にある男子学生が両親に電話すると、お母さんが大学に来ました。すると、「やっぱり月曜日に来てください。」と追い返されました。
ちなみに大学生は18歳以上なら成人年齢なので保護者の意見などあってもなくても関係がありません。
ちなみにある2年生の女子学生は、退学の理由をデモ集会に出ていて、20日間出席がなかったから、と言われたそうですが、この学生は毎日休まず出席していたと主張しました。しかし大学側の理由を覆すことはできませんでした。
医学生の多くが怒って、学長室に押しかけようとしましたが、学長が出てきたので、
「退学処分になった学生はみんな授業に毎日出席していた。処分を取り消してください!」
と訴えました。その中には学生だけではなく教員の姿もありました。
この女子学生の退学処分取り消しを求める署名運動が始まり100人の署名が集まりました。(救急隊員として働いていて、医大に入学。献血にも積極的な学生だそうです。)
午後7時、学長室などは鍵がかけられたので、学生たちは外に出て、大学前でデモ集会を始めました。ベラルーシ医大とは関係がないけれど学生の退学処分に反対する市民も集まりました。
午後7時半ごろすると護送車らしき車が医大の前に来たのですが、学生たちは人間の鎖を作りました。治安部隊も現れましたが、「解散! 家に帰れ!」などと言うだけで、身柄拘束はありませんでした。
デモ参加者は「学生が何をしたって言うの!」などと治安部隊に問いかけています。
マスコミからの取材に学長は明日答えますと返事しました。
すでに政治思想を理由に退学処分になった学生を救済する仕組みが整っています。ここを通じて受け入れていくれる外国の大学へ入学できます。ベラルーシ医大の学生の多くは、退学になったら、ポーランドにある医大へ編入することを希望しています。
こうしてベラルーシの医療現場は人手不足に陥り、助かるはずの命も助からなくなるケースが出てきます。逆にポーランドでは優秀なベラルーシ人の医療従事者が数多くやってくるので、特にコロナ禍の今ではどんどん受け入れることでしょう。
ちなみにベラルーシ医大の教員はすでに4人が自ら望んで退職しています。医者なので比較的簡単に再就職できます。世界中今はどこも医療従事者不足ですから。
心臓外科医で26日にデモ集会に参加した医師も多数、今日解雇されました。
あちこちの高校で授業のボイコット、そんな生徒を支持する教職員が現れています。せっかく入学してもデモ集会で自分の本心を言ったら、退学になるような大学、誰が進学したいと思うでしょうか?