さっきの記事はなんだったのか、と思うくらい原点に帰ってきましたね。
一応、KOHをかけてどれくらい変色しなかったかというと、このくらいです↓。


矢印のところにかけた。要は変色しなかったということです(^_^;)。
では日本の図鑑のハラタケ属を確認していきましょう。
原色新菌類図鑑を見ると、
ハラタケ属の肉がピンクにならず、黄変するものはすべて手で触れる(擦る)と変色する、となっている。
すでに一部黄色になっているものの、傘を擦ってみたが黄色にはならなかった。
つまり、この黄変は擦って変色したものではないということになる。
この段階でこの新菌類図鑑に載っているものは全て違うということになった。
北陸のきのこ図鑑で新菌類図鑑になかったものを確認してみると、
ハラタケモドキ、ヒメモリノカサ、ケモノハラタケなどがある。
ハラタケモドキは柄の基部を傷つけると黄変、残りの2つは変色性がない。
さて、このキノコはどうだったかな。
KOHをかけても半分に割っても擦っても黄変しなかった。
がしかし、預かった時にはレモン色の染みが傘の縁に広範囲にひろがっていたのだ!
まあ、いい(よくない)。次は検証キノコ新図鑑を調べてみる。
上記2つの図鑑に載っていなくて変色性のないものに、チャウロコハラタケ(Agaricus impudicus)があった。
ハラタケモドキに似るが、このキノコは変色性がない。
あと、縁シスチジアがハラタケモドキになくてチャウロコハラタケにはある。
そこで顕微鏡の登場だ!

ひだを薄くスライスして検鏡してみた。
まず40倍で確認してみる。長い菌糸はひだの実質と言われる菌糸のようだ。
その周りの縁部に丸い細かい形をした菌糸がついている。
次はここに縁シスチジアがあるかどうかを確認する。

矢印が縁シスチジアだと思われる。
うん、ある。
上記のキノコの中で縁シスチジアがあるのはヒメモリノカサとチャウロコハラタケだ。
記載をもう一度見ると、ヒメモリノカサは傘のサイズが1.5cm~2.5cmだ。
預かったキノコは10cmを超える、到底合わない。
残ったのはチャウロコハラタケだ。
これか・・・しかしこの傘のレモン色が気になる。
このレモン色が、ハラタケ属の傘や柄を擦って黄変する時の黄色にそっくりな色なのだ。

これよ、この黄色!
もしこのレモン色が擦って出来たものならばハラタケモドキの可能性も・・・いやいや
ハラタケモドキにはそもそも縁シスチジアがない。
縁シスチジアがあって、肉に変色性がなく、擦った時だけ黄色になる・・・
海外(ヨーロッパなど)にはそういうキノコが複数あったが、
国ごとにそっくりなキノコに別名がついてて混乱してる。Agaricusはきっとこれからの分野なんだろう・・・
今のところ、レモン色に目をつぶったとしたらチャウロコハラタケということになる。
このチャウロコハラタケというキノコに『時間が経つと傘の縁にレモン色のシミが広がるという性質がある』
という新しい発見をした可能性も十分にある。
Iさんのおかげで非常にたくさんの文献も読んだし、すごく勉強になった。
Iさんに顕微鏡を買って観察するねんっ!というと、私のことを変態扱いしていたが、
これを読んで、そのIさんに顕微鏡を買おうかな、と思わせたら私も大したものなのだが・・・
シロートでも変態でも、こんなに自分でいろいろ調べられるんだよ。
みなさんも、ぜひヽ(´▽`)/!
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