*イギリスではひまわりはこの季節に満開なので、秋の気配を感じる花とされています。アートセラピールームでは患者さんのそれぞれの個性が輝く、たくさんのひまわりの絵を、黒板に張り巡らし、さながらひまわり畑にいるよう。友達に連れて行ってもらった津南のひまわり畑を思い出します。
第七十二話 へんなピアノ調律師たち
さてさて、いいかげんな弁護士や住宅ローンの会社に苦情申し立てをして、どうにか手続きを済ませ、やっとのことで、新しく買った自分の家に引越ししました。おかげで弁護士たちに論争で勝つことができる自分の能力を新発見。9月末からロンドン大学のキングスカレッジで法律を勉強することになっている娘のなずなにかわって私が法律家になろうか、というくらいです。
イギリスでの定住権を得て、フルタイムの仕事につき、森に面している広い庭のある家を買う、というように、着々と101 wishes がかなっていくのはうれしいことですが、お金がないときでもそれなりに願いはかなっていたのを思いだします。現在のピアノは、なずなが、偉いピアノの先生のうちで演奏をして、ファンドをゲットしたお金で「イーベイ」(インタネットオークション)したものですが、お金があれば簡単に済んでしまうことが、お金が無いためにいろいろなストーリーを生んでくれることもあります。
その一:
何年も前、おおやさんのオードリーの家を出て、自分たちだけで借家を借りるとき、さあピアノが無くて困ったわねえ、となずなと話していたら、ピアノを一年預かってほしいという人が現れました。それははるばるロンドンからやってきた、ぴかぴかのピアノで、ありがたく里親をさせていただきましたが、おかげで、水がかかるなどの、万が一を想定して、ホームパーティなどはできませんでした。
調律師さんも派遣され、やって来たのはジュ―ドという女の人で、携帯の着信音はビートルズの「ヘイジュ―ド」。話をしているうちに、「今晩ヒンドゥーのお寺でチャンティングがあるけど一緒に行く?」と誘われ、なずなも連れて行ってみました。
帰り道、聖地といわれるグラストンベリーの郊外でジュ―ドの車がエンコ、真夜中の月の下、同乗の5人で歌を歌ってサービスが来るのを待っていたのはおかしかったなあ。
その二:
次のピアノは、半ば捨てられるようにしてわが家にやってきました。その傷だらけのピアノは、素人が運んだので最初わが家に入りたがらずに、玄関のポーチの壁をめちゃくちゃにしてくれたのです。前の持ち主はもうぜんぜん弾いていなくて、タバコのヤニが染み付いていました。
ところが、「変な人だが、どんなピアノも直してしまう」、との噂の調律師を頼んでみると、キーキーいうペダルも、音の出ない鍵盤もちゃんと直してくれました。
この調律師は、以前勤めていた大きなピアノの会社とけんかして、その会社の建物に自分のバンを突っ込んで、破壊行為をしたのだそうです。
ともあれ、このおんぼろピアノも、川の流れる音のような、アイナウディーという現代のピアノ作曲者の曲を、なずながたくさん弾いてあげたので、なぐさめられたことでしょう。
(間美栄子 2010年9月1日 http://blog.goo.ne.jp/nefnefnef)
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