南房総館山・なぎさの自然詩

根本海岸のシロチドリ


シロチドリが生活する海岸で今年も整備が始まりました。
千葉県南房総市根本海水浴場と根本マリンキャンプ場開設の為の公共工事です。
小さなシロチドリには大きな重機はどのように見えているのでしょうか。


6/25の根本海岸の様子です。
砂浜には重機の痕跡がありました。
適度に植物が生えていたので、シロチドリにとって隠れ処となっていた場所でした。
この場所は今年確認したシロチドリのヒナ5羽の内、無事に成長出来た1羽のヒナがよくいたところです。
前日の6/24にそのヒナがこの場所で昼寝している姿を見ていました。
重機の跡を見ると、ヒナの安否が気になります。


6/26には大規模な砂の移動をしていました。
以前の海岸とは比べものにならないほど砂浜が変化しています。
重機の通った跡の盛り土の上にはシロチドリのメスがぼんやりと立ち尽くしていました。


よく見るとそのメスのお尻の羽毛が垂れ下がっています。
このような姿を見るのは初めての事で、シロチドリに何があったのでしょうか。


6/27には更に砂浜の広範囲で砂を移動しています。


まるで畑の様な風景の中にシロチドリがいて、とても違和感のある海岸です。

海岸入り口から西側の砂浜がすっかり変わってしまいました。
オガミネから東側は原形が少し残されていますが、このイルカ岩が唯一、ここが根本海岸だと教えてくれます。


その東側の砂浜にメスのシロチドリがうずくまっているのが見えました。 
このメスは羽がとても汚れて、酷く疲れているような感じがします。
私が少し動いたら、メスは警戒してその場所から移動しました。
メスがいた場所に行って見ると、そこには何も無く、波打ち際まで戻ろうとした時に卵を見つけました。

殻が割れて中身が見えています。
何かに突かれた様な跡があり、別の鳥の嘴で割られたのかもしれません。
これは想像なのですが、卵はこのメスが産んだもので、外敵から卵を守る為に偽傷行為をしていたので羽が汚れたのかもしれません。
昨日(6/26)見たお尻の羽毛が垂れ下がっていたメスと同一なのかもしれません。
重機が移動する中、どこで卵を産んだらいいのか、メスはとても混乱していたのではないでしょうか。
その後卵を産んだものの、次は外敵に襲われ、必死に抵抗したけれど卵を奪われてしまったのかもしれません。
そんなシロチドリの事を想像したら、切なくて悲しい気持ちになりました。
約一ヶ月間の海水浴場とキャンプ場の為にどれだけのシロチドリが犠牲になっているのでしょうか。
このメスは海岸整備がされなければ、安心して卵を産む事が出来たはずです。
絶滅危惧種のシロチドリの繁殖地である根本海岸で、大規模な海岸改変する事に疑問を感じています。
海浜植物の茂る砂丘を分断し、車の通れる道を海岸に作る必要はあるのでしょうか。
シロチドリの住み家を奪う事をせず、自然のままの海岸ではどうして駄目なのでしょうか。
海岸整備事業が終わるのが7/10です。
それまではシロチドリが心安まる日がありません。
そして7/20からは海水浴場とキャンプ場開設となり、昼夜問わず人間がいる海岸となります。















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