南房総館山・なぎさの自然詩

海水浴場で繁殖するシロチドリ


3月頃から繁殖の為に南房総の海岸へやって来るシロチドリ。
砂浜にくぼみを作って直に卵を産み、親鳥が抱卵します。
その為に夏に海水浴場となる海岸を子育ての場所として選んだ時、様々な問題があります。


6月に入ると海水浴場の為の海岸整備が始まるのです。
繁殖シーズン真っ只中の工事なので、砂浜に産み付けられた卵を重機が潰してしまう可能性があります。
孵化したヒナの場合には、危険を察知すると砂浜でジッと動かなくなる習性があり、ヒナの特殊な行動が仇となってしまうのです。
今年も海岸に重機が入り、砂浜の様子がすっかり変わってしまいました。


重機の作った砂山の上で辺りを覗う親鳥がいました。
卵やヒナが無事なのかと思いましたが、その日には安否を確認できませんでした。


数日後に海岸へ行き、ヒナ2羽を見つけました。
砂浜でウトウトしているのが本当に可愛くて、重機に潰されずに済んだことが分かって安心しました。


そしてこの海岸でしか見られないとても珍しいシロバナハマヒルガオも、今のところ重機に踏み潰されずに残っていました。

千葉県では絶滅危惧Ⅰ類となっているシロチドリですが、環境省でも絶滅危惧Ⅱ類の扱いなので、全国的にみても生息数が減ってきている鳥のようです。
そのシロチドリが営巣し子育てする海岸を重機を使い整備しているのは、公共事業なので千葉県ですし、行政である館山市、南房総市です。
これは絶滅に瀕しているかもしれない生物を保護する対応にはみえないのです。
しかも整備する理由が海水浴場となる海岸だからで、人の活動の為にそこで暮らす動植物を殺してしまうのはとても悲しくてやりきれない気持ちです。
せめて卵が孵化するまでは海岸整備をしないのが望ましいですし、海浜植物のある砂丘の破壊も止めてほしいと思います。
それと重機を使った海岸清掃は、漂着物全てを取り除き砂だけにしてしまうのです。
たくさんの漂着物にはそれぞれ役割があって、例えば海藻にはそれを餌とする小さな生き物達がいて、海鳥はその小さな生き物を餌としています。
海岸から海藻が全て無くなってしまうと小さな生き物がいなくなり、次に海鳥がいなくなって、最後に残るのは砂山だけの生命感のない海岸になります。
そうならない為にも海岸は重機の乗り入れをせず、あまり人の手を加えず自然のままが一番だと思います。


















名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「シロチドリ」カテゴリーもっと見る