bowbowのゆううつ~Returns

双極性障害Ⅱ型(躁うつ病)サバイバー&共生模索中のbowbowの日常。

精神科医と臨床心理士(カウンセラー)の微妙な関係。

2011-05-24 11:57:55 | 双極性障害・躁うつ病

カウンセリングが一般に受け入れられるようになったのは、不登校等で各学校にカウンセラーが配置されるようになってからだと思う。

以前の記事で特殊法人資格で準国家資格といっていいと思う臨床心理士(≒カウンセラー)によるカウンセリングや認知行動療法には健保適応がなされないことを書いた。

本来ならば双極性障害等の精神障害に対して医者と臨床心理士が協働して、医者が診断と投薬をし、認知行動療法や心理的葛藤への対処のためのカウンセリングを臨床心理士が行うというのが理想である。

けれど精神科専門の大型病院でさえ、臨床心理士は心理テスト等しか関わらないケースが多い。

入院時の認知療法的なことにしても本来は大学院卒有資格者である臨床心理士が受け持つべきところを、福祉学科や専門学校卒の作業療法士や精神保健福祉士、あるいは看護師が受け持つケースがある(きっちりと臨床心理士がカウンセリングや認知行動療法をしている場合、クライアント合意の上での健保適応外の自由診療である)。

早い話、保健点数が臨床心理士の場合、現段階では心理テスト位しかつかず、精神科大病院でも心理療法的カウンセリングは健保適応外になる。それで入院時でも点数の付く作業療法や集団療法、精神科ソーシャルワーカー(精神保健福祉士)に臨床心理士的な領域の仕事も任せることになる。コストの問題でもある。

また臨床心理士はクライアントの心理的側面からアプローチするので、しばしば理系の科学的薬物的方向から特に近年アプローチする医者と立場がぶつかることがある。医者の立場からするとカウンセリングは何か「あいまい」な感じがするのだろう。だから臨床心理の領域でも「実験心理学」や「行動科学」を基にした「認知行動療法」は医者からすると受け入れやすい(例えば精神科医で認知療法大家・大野裕氏の存在など)。けれど健保点数は付きにくい。

「甘えの構造」で有名な精神科医・土居健郎先生はかつて精神科医・臨床心理士の垣根なしに研究会を行っていた。その中で薫陶を受けたのが精神科医の中井久夫先生であり、臨床心理士会の村瀬嘉代子先生だった。

河合隼雄先生がもう少し元気で生きておられれば、臨床心理士の仕事領域や医師との協働する現場ももしかしたら広がっていたのかもしれない。

イギリスやその他の国のように、心の病の初期の段階から臨床心理士が医者と協働してクライアントに関わることができたならば、たとえば双極性Ⅱ型障害の発見ももうちょっと早くなるのではないかとも思う。