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COP10「名古屋議定書」採択

2009-10-31 | Weblog

「日本は国内法整備」松本環境相 COP10が閉幕
海外動植物の不正取得に監視機関

2010/10/30 10:57
日本経済新聞 電子版

 生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)は30日未明、生物の利用や利益配分の枠組みを定める「名古屋議定書」と世界の生態系保全目標(愛知ターゲット)を採択して閉幕した。様々な動植物を医薬品などへ活用することに、地球温暖化防止と並ぶ国際ルールが動き出す。松本龍環境相は閉会後の記者会見で、日本政府として早期の国内法整備を表明。企業活動は新たな対応を迫られる。

 COP10は、豊かな生物資源をはぐくむ途上国とそれを商品化に役立てたい先進国との利害対立が改めて浮き彫りになった。最終日の29日朝、議長を務める松本環境相が各国に議長案を提示、30日未明になって採択にこぎ着けた。

 名古屋議定書は、自然の動植物がもたらす利益を先進国と途上国で分け合うルールを定めた。議定書発効前に入手した生物は改めて対価を払わなくてよいとし、先進国の主張を取り入れた。一方で生物がつくる成分を人工合成した「派生物」の利益還元は、途上国の主張を事実上容認した。医薬品や食品の開発に伴い、動植物の原産国へ資金拠出や技術供与などが求められる。

 各締約国は2011~20年を約束期間とする生態系保全目標でも合意。焦点だった保護区は、世界の陸地の17%(現在は約13%)、海の10%(同1.2%)に引き上げることで決着した。

 保全に必要な官民の資金を10倍にする案もあったが、具体的な数値目標は除かれた。絶滅危惧種の保護強化なども盛り込まれている。

 

名古屋議定書と生態系保全目標のポイント
■名古屋議定書
  • 議定書発効前の生物取得への利益配分は認めない
  • 先住民の薬効成分の知識にも利益配分をする
  • 学術研究は簡素な手続きで生物を取得できるようにする
  • 不正取得の審査機関の設置を義務化

■生態系保全目標(愛知ターゲット)

  • 2020年までに少なくとも陸の17%(現在は約13%)、海の10%(同1.2%)に保護区
  • 生息地の損失速度を半減
  • 農業や水産業を持続的に管理
  • 絶滅危惧種を保護し、状態を改善
 松本環境相は閉幕後の会見で、国内法の整備に言及。関連法案には、企業や大学などが海外の生物を不正取得していないかを監視する機関の創設などが盛り込まれる見通し。外国産の動植物を製品に生かす企業や機関に対し、原産国の同意書を提出するよう求める。企業や機関側にも、原材料の国内持ち込みに厳格な管理を課すことになる。

 

 一方、国内の動植物を海外企業が利用することも想定。受け付け窓口や手続きを定める方針だ。

 また会見では「議長国として議長として大きな成果を得た」とも語り、COP10は成功したとの認識を示した。

 COP10は当初、29日夕までにすべての案件を採択し閉幕する予定だったが、各国は会期を延長して合意を目指した。地球温暖化防止に関する「京都議定書」に続き、日本が主導的な役割を果たして新たな議定書が策定された。次回のCOP11は12年にインドで開かれる。

◆生物多様性条約[ Convention on Biological Diversity ]
地球上の多種多様な動植物種を保護する条約。地球上には、確認されているだけでも、140万種の動植物がいるが、年間4万種が絶滅している。1992年の地球サミットを機に採択され、94年11月に生物多様性条約第1回締約国会議をバハマで開いた。生態系保全のための技術移転の進め方や資金調達問題などについて議論する。日本はこの条約に基づいて生物多様性国家戦略を95年10月に策定、2002年春には新生物多様性国家戦略を作った。

◆地球温暖化[ global warming ]
二酸化炭素(CO2)などの温暖化ガスにより、地球の平均気温が上昇する現象。フロンによるオゾン層破壊と並んで地球環境問題の主要テーマ。国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は、過去100年間で世界の平均気温が0.74℃上昇し、現在のペースで温暖化ガスが増えると、今世紀末には20世紀末に比べて2.4~6.4℃気温が上昇すると予測。気温上昇による植生や気候の変化によって農作物に被害が出る恐れがあると推測している。また、海水が温められて膨張したり南極や北極圏の氷が溶けたりして海水面が上昇する可能性もある。

◆京都議定書[ Kyoto Protocol ]
1997年12月に京都で開かれた気候変動枠組み条約締約国会議で採択された議定書。二酸化炭素(CO2)など6種類の温暖化ガスについて先進国の排出削減目標を定めた。2008~12年の間に、90年比で日本は6%、米国は7%、欧州連合(EU)は8%削減しなければならない。01年3月、国内経済に悪影響を与えるとして米国が離脱した。その後、日、欧、ロシア、途上国などで協議して同年11月には運用ルールが確定。02年6月には日本政府が批准した。ロシアが04年に批准、05年2月16日に発効した。