「日本は国内法整備」松本環境相 COP10が閉幕
海外動植物の不正取得に監視機関
- 2010/10/30 10:57
- 日本経済新聞 電子版
生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)は30日未明、生物の利用や利益配分の枠組みを定める「名古屋議定書」と世界の生態系保全目標(愛知ターゲット)を採択して閉幕した。様々な動植物を医薬品などへ活用することに、地球温暖化防止と並ぶ国際ルールが動き出す。松本龍環境相は閉会後の記者会見で、日本政府として早期の国内法整備を表明。企業活動は新たな対応を迫られる。
COP10は、豊かな生物資源をはぐくむ途上国とそれを商品化に役立てたい先進国との利害対立が改めて浮き彫りになった。最終日の29日朝、議長を務める松本環境相が各国に議長案を提示、30日未明になって採択にこぎ着けた。
名古屋議定書は、自然の動植物がもたらす利益を先進国と途上国で分け合うルールを定めた。議定書発効前に入手した生物は改めて対価を払わなくてよいとし、先進国の主張を取り入れた。一方で生物がつくる成分を人工合成した「派生物」の利益還元は、途上国の主張を事実上容認した。医薬品や食品の開発に伴い、動植物の原産国へ資金拠出や技術供与などが求められる。
各締約国は2011~20年を約束期間とする生態系保全目標でも合意。焦点だった保護区は、世界の陸地の17%(現在は約13%)、海の10%(同1.2%)に引き上げることで決着した。
保全に必要な官民の資金を10倍にする案もあったが、具体的な数値目標は除かれた。絶滅危惧種の保護強化なども盛り込まれている。
■名古屋議定書
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■生態系保全目標(愛知ターゲット)
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一方、国内の動植物を海外企業が利用することも想定。受け付け窓口や手続きを定める方針だ。
また会見では「議長国として議長として大きな成果を得た」とも語り、COP10は成功したとの認識を示した。
COP10は当初、29日夕までにすべての案件を採択し閉幕する予定だったが、各国は会期を延長して合意を目指した。地球温暖化防止に関する「京都議定書」に続き、日本が主導的な役割を果たして新たな議定書が策定された。次回のCOP11は12年にインドで開かれる。
◆生物多様性条約[ Convention on Biological Diversity ] ◆地球温暖化[ global warming ] ◆京都議定書[ Kyoto Protocol ] |