JAS法に基づく加工食品品質表示基準では、使用した原材料を全て重量順に表示するのが原則となっている。(加工品表第4条(2) ア)
例:しょうゆ(大豆、小麦、食塩、アルコール)
例:みりん(もち米、米こうじ、醸造用アルコール)
ただし、加工食品のラベルにすべてを盛り込むことは、スペース上無理な場合もあり、かえってわかりにくくなる。そうした場合に、原材料表示を簡素化することが認められている。
たとえば、しょうゆとみりんを使った加工食品に、それぞれの原材料を列記していたら大変なことになる。そこで、単に「しょうゆ、みりん」という複合原材料名の表示でよいとされている。
(現状)使用した全ての原材料を表示することにより、必要以上に表示が複雑化しており、「表示のわかりにくさ」の原因となっている。 |
さて、そこで本題に入る。
genLOC VITALITYに高い有用性が伝承されてきた天然成分が、どの程度入っているのか。2010年10月に新しくなったニュースキンのカタログには、次のように書いてある。
原材料:ジェンロックバイタリティブレンド
(冬虫夏草粉末、ザクロ抽出物、高麗人参抽出物)…2,270.00mg
これは1日6カプセル当たりの配合量で、内容総量:109.0gに対してジェンロックバイタリティブレンドは68.1gで、全体の62.5%の重量に相当する。残りがその他の添加物・カプセルとなる。これについて、先に書いているブログがあった。
市場では1gあたりの冬虫夏草は数千円で取引。 なので109gあたりに2270mgで値段も妥当かなと思ってました。 これが109gあたりに60gの3分の1が入っているとしたら、相当割引している事でしょ。。。 |
そこで冬虫夏草の原料について調べると、かなりの種類グレードがあるとわかった。2007年の取引でグラムあたり3,840円している。
http://www.tibethouse.jp/news_release/2009/090701_tochukaso.html
「冬虫夏草」金属粉塗り重量増、中国で悪徳商法 |
今の相場で、製品としていくらになるか計算してみる。ニュースキンの原価率は、ニュースキンエンタープライズの有価証券報告書から明らかになっている。
年 売上高 売上原価 原価率
2001 885,621 178,083 20.10%
2002 964,067 190,868 19.80%
2003 986,457 176,545 17.90%
2004 1,137,864 191,211 16.80%
2005 1,180,930 206,163 17.46%
2006 1,115,409 195,203 17.50%
2007 1,157,667 209,283 18.08%
2008 1,247,646 228,597 18.32%
2009 1,331,058 243,648 18.30%
(単位:千ドル)
製品ひとつ109.0gに対して原料のジェンロックバイタリティブレンドは68.1gとなる。加工食品の表示基準では、重量の多い順から表示することになっているので、ニュースキン社が法令に従うなら、冬虫夏草は最低でも1/3の22.7g以上でなければならない。これに今の相場グラムあたり7,400円をかけると、冬虫夏草の原料だけで167,980円がかかる。ちょ、ちょっと待て。原価で製品価格を20倍上回る。ディストリビューター価格にしたら1本あたり93万3千円相当の品だ。参考小売価格は、この1.43倍に設定されているので一本あたり133万4507円になる。ありえない。
では逆算してみよう。ディストリビューター価格6,300円に、公表されている原価率の平均値18%をかけると、1,134円が原価となる。原価に占める冬虫夏草の割合を最大値で計算しても、上の167,980円に対して0.67%に過ぎない。メチャメチャ低い数字だ。もし普通の取引相場の冬虫夏草を使っているなら、ボトル一本あたり0.15gを超えることはできず、全体重量の0.14%しか入っていない。
そんなわけで、最高級の冬虫夏草が入っているわけでもなく、かなりグレードを落とさない限り、量も少ししか含まれていないことになる。JAS法に基づく加工食品品質表示基準では、原材料を「重量順に表示する」ことになっているので、genLOC VITALITY製品に冬虫夏草が一番多く含まれるはずであって、コスト的にかなり安く仕入れるかグレードを落とさない限りつじつまが合わない。相場の冬虫夏草より、ゼロを二つ取ってもまだ足りないぐらいで、表示基準に問題があると考えられる。
まさか、含まれている成分はすばらしいが、それがほんのチョッピリしか入っていない画期的な製品だったら、前のg3と変わらない。それに表示基準に違反することになる。
http://blog.goo.ne.jp/news_kim/e/98dc6493fa20005f0496b6424134ce5e
そんなわけで
複合原材料は、冒頭にあるように一般名称が使われる。バイタリティブレンドと、聞いたこともない複合原材料の表示をすることにより、冬虫夏草が何g入っているか、そこから推定できるグレードをうまくカモフラージュしている。表示を簡素化するための複合原料名を使っておきながら、わざわざその内訳を書くのでは意味がない。冬虫夏草は今の相場で1g7,400円しているのだから、「6,300円の製品に1gも入れられるはずがない」と単純な疑問が起こる。
「高い有用性が伝承されてきた天然成分」て、いたったい・・・・。正直に書いてほしい。
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