新潟久紀ブログ版retrospective

新潟暮らし推進課24「地方創生フォーラムin新潟(その1)」

●地方創生フォーラムin新潟(その1)

 人口減少対策ワーキングチームには、その機能を進める上での仕掛けが想定されていた。県内外の有識者をパネラーとするフォーラムを開催して、広く県民の意識啓発と共に、様々な立場や視点からご意見を頂くことを通じて、実効ある取り組み議論につなげるための課題を抽出していこうというものだ。
 当初は大きなイベント会場に県民を大勢を集め、各界の有名どころをパネラーとして大掛かりに開催するという考え方もあったのだが、ありがちな大花火のようなイベントをしても、薄く総花的な意見集約となるか声の大きな発言だけが目立って終わるようなものとなってはあまり意味がないだろう。人口減少問題に関する論点課題はある意味で明確なのだから、今更アリバイづくりのように大金かけてを掛けて大仰に意見聴取の場を設けるというよりも、県庁職員が英知を絞って具体の施策を企画調整し、県民の代表が集う県議会で是々非々で叩いていくべき段階に違いないのだ。
 そうは言っても、人口減少問題について内外の関係者と意見交換などしていると、その深刻さを意識して一所懸命なのは市町村の首長や役所の担当部署の職員くらいであり、住民一人ひとりのレベルではまだまだ認識が深くないことを痛感していた。
 例えば「地元には何もない。居ても面白くない。」などの大人たちの自虐的な言葉が貴重な若者たちを東京圏に流出させる背景の一つになっているのだが、公共の施設や交通の利便性低下など人口減少によりヒシヒシと迫る課題を知りながらも、その対策は役所がすべきものあり、「我が家や親族の子供の進路は別のハナシ」と無意識にか、もしくは確信犯的に切り離しているのだ。地域の人口減少は、その各々個々の積み重ねの結果以外のなにものでもないのに。
 また、私が人口減少問題の担当課長になって初めて臨んだ県議会の特別委員会でも、議員から「子供たちが進学や就職で東京に行きたがるのはやむを得ないことで、希望は叶えてやらねばならない」といった発言があったのだが、それ止まりで、「しかしこのままではいけないのでどうすべきか」という具体の主張や考えを続けなかった有様を見て、これは深刻さの意識が低いなと痛感したものだ。
 問題意識の共有と、啓発のみならず具体の課題解決に視するための仕掛けをどうすれば良いか。考えていくとやはり衆目を向けさせる一定程度の規模と内容のイベントを否定できない。また、県の事務方だけで企画立案する手作りでも良いのだが、できれば少なからずオーソリティがないと、住民生活に影響力を持つ各界の代表や関係者から関心を持ってもらえないものだ。
 どうしたものかと考えていた平成30年の秋、国の外郭団体である地域活性化センターが都道府県と連携して順次開催している大規模セミナーの新潟県開催に関する打診が舞い込んだ。東京一極集中の是正と地方創生の推進をテーマとしたこのイベントは、趣旨もさることながら、センターと県が費用を折半して実施するものであり、豊かとはいえない当課の財政事情からしても有り難いものだ。所要の申し出をしたところ、うまい具合に翌年の平成31年度の開催を取り付けた。

(「新潟暮らし推進課24「地方創生フォーラムin新潟(その1)」編」終わり。県職員として11箇所目の職場となる新潟暮らし推進課の回顧録「新潟暮らし推進課25「地方創生フォーラムin新潟(その2)」」に続きます。)
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