東京電力の責任が問われないままに、福島第一原発事故の廃炉・賠償費用の一部、通常の原発の廃炉費用の一部を、「託送料金」で回収できるようにしよう、という案が導入されようとしています。
経済産業省の委員会で、9月下旬からのわずか2か月強の議論で「中間とりまとめ」が出され、現在パブリックコメントにかかっています。
【総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会 電力システム改革貫徹のための政策小委員会 中間とりまとめに対する意見公募】
↓資料・提出はこちらから (1月17日〆切)
https://publiccomment.wordpress.com/2016/12/20/baisyohairo/
パブリックコメントを経て「中間報告書」となり、今年度中には「経済産業省令」として決められる見通しです。重要な問題なのに、国会での審議もありません。
◆なにが問題なの? こちらを参考に!!
最大の責任者である東京電力の経営者、株主、そして債権者(金融機関)が実質的に責任を取っていません。
それを問わないまま「国民負担」にできるしくみを作ってしまえば、
「こんな大事故を起こしても、無罪放免だ。それなら安全性はそこそこに経済性を追求しよう。」
というモラルハザードが原発業界に蔓延し、だれも責任を取らない既成事実を作ってしまいます。
それが、原発再稼働、再度の原発事故につながり、同じ事が繰り返される恐れがあります。
福島第一原発事故を収束させるのに国民負担はやむを得ないとしても、東京電力を法的整理して資産を売却し、国民負担を軽減するのが、まずはじめにするべきことです。
電力システム改革の趣旨は「発電」「送配電」「小売」を分離して自由・公平な競争を促進することであり、事故処理・賠償費用や廃炉費用を「託送料金で負担」では、将来にも同じことが繰り返される恐れがあります。
(★追加)2016年12月20日に閣議決定された「原子力災害からの福島復興の加速のための基本指針」のなかに、「国の行う新たな環境整備」(26ページ)として、一般負担金「過去分」のうち2.4兆円を託送料金で回収するという、現在パブコメにかかっている内容がすでに書き込まれています。
パブリックコメントにかけながら、すでに閣議決定に盛り込んでいるというプロセスは、明らかに不当です。
・2016年12月20日「原子力災害からの福島復興の加速のための基本指針」(経済産業省)(同日閣議決定)23~28ページ
http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/kinkyu.html#kihonsisin
・2016年12月20日「東電改革提言」(東京電力改革・1F問題委員会)の21~23ページ
http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/energy_environment/touden_1f/pdf/161220_teigen.pdf
*同日開催された東京電力改革・1F問題委員会会合で議論された「東電改革提言(案)」にも書き込まれ(22ページ)、会議後に「東電改革提言」として発表されています。
パブリックコメント提出はこちら↓
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=620216013&Mode=0
内容について、詳細に知りたい方はこちらをご覧ください。
https://publiccomment.wordpress.com/2016/12/20/baisyohairo/