今年のお盆は東京の息子夫婦の帰省も無く
日常と全く変わり映えのしない
ただただ暑さだけが印象に残るお盆だった。
そんな中、唯一お盆らしいことと言えば…
13日に私の実家に娘と出向き
一緒に97歳の母の入浴介助をしたのだが
そのあと、東京の息子とオンラインでつないで
久し振りにお互いの顔を見ながら会話を楽しんだこと。
孫の帰省を心待ちにしていたばあちゃんの
せめてもの慰めになれば…と娘が計画したものだ。
今年はいつもと違う状況なので
このオンライン帰省で我慢してもらうしかない。
だが、たとえパソコンの画面越しとは言え
母にとっては初めて抱いた可愛い初孫と
( 孫と言ってももう45歳のオッサンなのだけど…(笑) )
久し振りに元気な顔を見て話すことができ
それなりにばあちゃんも満足してくれたようだ。
別れの時には感極まって涙ぐんでいた。
いくつになっても孫は孫…いつまでも可愛いのだろう。
孫のいない私にはわからないが…。
「オバサンにはボクがいるじゃないですか!」
あら、ノラくん、突然…何?
「だからぁ~、孫はいなくてもここに可愛いノラくんが…」
あ、ハイハイ…そうだったね。(笑)
「ね!オジサンもそう思ってるでしょ?」
「そうだね、ノラくんは孫みたいに可愛いよ!」
「ほらね!やっぱり…。今日からボクが孫になってあげます!」
い、いいよ…無理に孫にならなくても…。(笑)
「おっと、いけない!孫らしくお行儀よく食べないと…」
だから、無理しなくてもいいんだってば…。(笑)
「だって…遠くの孫より近くのノラ猫…って言いますから…」
はぁ~?そんなこと、聞いたことないけど…(笑)
「要するに、ボクを孫と思って可愛がればいいんですよ!」
何だか、押しつけがましいけど…。あれ?
ノラくん、目の下に…ホラ!またマダニじゃない?
「エッ!そうなんですか?」
また、オジサンにマダニ駆除のお薬、やってもらう?
「いえ、ボクはお薬は結構ですから!」
え~っ、でも退治しないと…。
「あんな臭いマダニのお薬なんて…もうこりごりです!」
そう言いながら、逃げるように帰って行ったノラにゃんこ。
その数日後…
朝ご飯を食べに来たノラくんの顔を見ると
目の下のマダニは居なくなっていた。
どうやら満腹になったマダニが自然に離れたようだ。
良かったね、ノラくん!
「そうですよ、オバサンは心配し過ぎですよ!」
「オジサ~ン、ごちそうさまでした!」
「ノラくん、帰るんか?」
「ハイ、今日はこれで失礼します!」
「また、おいで!」
「ハイ、すぐ、また来ますから…」
「だって…今日からボクは孫ですからね!」
あ~あ、また勝手に決めてる…。(笑)
あれっ?ノラくん、帰ったんじゃなかったの?
「だって、孫は近くに居ないとダメだから…」
ありゃ!今度はそんな可笑しな座り方して…どうしたの?
「だって、孫は可愛い仕草をして見せないと…」
確かに、可愛いっちゃ可愛いけど…でも、何か変だよ。
いくら何でも、それはやり過ぎでしょ!(笑)
「じゃあ、これはどうですか?」
「ダメですか…じゃあ、これは?」
「それとも、こんなのは…?」
「こんなのもありますけど…?」
もういいから!そんな変なポーズしなくても…。(笑)
「ボク、孫みたいに可愛くないですか?」
ううん、ノラくんは今のままでじゅうぶん可愛いよ!
「エッ!そうなんですか?」
そうだよ、無理に可愛く見せなくてもいいよ!
ありのままのノラくんでいいんだから…。
「な~んだ、無理して損した!」
「だったら…疲れたから、寝ようっと!」…と
お向かいさんの玄関先で眠ってしまったノラにゃんこ。
いつもと違う静かな今年のお盆だったが
こうして振り返ってみると
この子の存在が私たちに笑いと癒しを与えてくれていた。
美味しそうにご飯を食べる姿を見ているだけで
こっちまで幸せな気持ちになるのだから
遠くのまだ見ぬ孫より近くのノラにゃんこ…
確かに、その通りかも知れない。(笑)