大きな白いボス猫とともに逃げ去った後
姿を見せなくなったノラにゃんこ。
ネコ食堂のオーナーのオジサンは開店休業状態で
ノラの安否を心配しながら、ただひたすら待ち続けていた。
「もう来んのんかなぁ…」と言いながら…。
そんな状態で過ごしていた一大事から4日目の朝
その日は目の前に美しい雲海が広がっていた。
いつもやって来る時間にこの日もノラの姿はない。
「今日もノラは来ないみたいだね…」と私たちは諦めていたのだが
10時頃にふとテラスを見ると
何と!ちょこんとノラが座っていた。
4日ぶりに見るノラの姿はどこも怪我した様子はなく
どうやら白いボス猫の攻撃を上手くかわして
無事だったようだ。やれやれ…。
オジサンが喜んだのは言うまでもない。
「ノラ、来たんかぁ~。良かった良かった!」と
デレデレの猫なで声でノラを迎えた。(笑)
そしていつも以上に張り切って朝ご飯を振る舞った。
久し振りの来店とあって大サービスだ。
まずは大好きな牛乳から…。
「ボク、牛乳が大好物なんです!」 知ってるよ!
「あ~美味しかった!やっぱり牛乳は最高です!」
「さ、次はカリカリを食べるとするか…。あれっ?」
「おっ!今日はごちそうが入っている。やったぁ~鶏手羽の骨だ!」
「でも、先にカリカリを食べて…鶏はあとのお楽しみ…」(笑)
「あ~やっぱり我慢できないや…先に鶏を食べちゃおうっと!」
「あ~うんめえ~!やっぱり鶏の骨は美味しいなあ~」(笑)
バリバリと音を立てて骨にかぶりつくノラ。
さすがノラ猫だ。家ネコはこんなもの食べないだろうに…。
骨が喉に刺さらないか、少し心配だ。
「エッ!心配ですか?大丈夫ですよ!ボク、平気です!」
「あっ!でも、花より団子…なので、いくら腹ペコでも
皇帝ダリアは食べませんから、安心して下さい!」
それを聞いてテラスの向こうでキレイに咲いている
皇帝ダリアもホッとしているかもね。(笑)
この日のノラの食欲は凄かった。
おそらくここ数日間ろくに食べていなかったのだろう。
オジサンが用意した朝ご飯をペロリと平らげた後も
いつまでもテラスから離れず物欲しそうにこっちを見るので
優しいオジサンは自分の調理パンを差し出した。
するとしばらく警戒して様子を見ていたが
誘惑には勝てず徐々に近づいて来た。(笑)
でも、また途中で立ち止まって
こっちを見て「大丈夫かな…?」と様子を窺っている。
やっぱりあの一大事のあとだからか
以前より警戒心が強くなっているように思う。
そしてようやくパンに辿り着き
おもむろにムシャムシャと食べ始めた。(笑)
「うん、これは美味しい!パンの中にお魚が入ってます!」
でも、こうして食べながらも用心深く
時々チラチラとこっちの様子を見るのを忘れない。
よっぽど4日前の一大事がショックだったのか
ここへ来始めた7月頃の状態に逆戻りしてしまったようだ。
オジサンは「また一からやり直しだな…」と
深いため息とともに落胆を隠せない。
でも、ま、帰って来てくれただけで良しとしよう。
こうしてノラの姿をまた見ることができたのだから…。
それにしても…
ノラにゃんことの付き合い方はホントに難しい。(笑)