若草物語の旅はまだ続く…。
ルイザの父、ブロンソンの書斎で
彼の哲学者であり教育者としてのイメージを
深めることができた私たちは
次に両親の部屋へと足を踏み入れた。
この部屋の壁には
姉妹の末っ子で画家になった四女の
メイが描いた絵や作品がたくさん飾られていて
ブロンソンが書いた子どもたちの
一日のスケジュール表も掛けられていた。
そして二つある窓の間には
ルイザの母、アバの肖像画が掛けられている。
アバはこの部屋の窓際の椅子に座って
お茶を飲むのが好きだったという。
椅子のそばにはアバの裁縫かごがあり
娘たちや友人、隣人たちと編み物や縫い物をして
困っている人たちや孤児院に寄付したり
南北戦争中は戦地へ靴下、帽子など
手作りのものを送ったそうだ。
アバは献身的な妻であり、母であったようだ。
時には家族の稼ぎ手となり
また、熱心な社会改革者でもあったらしい。
女性参政権の実現や奴隷解放運動にも
力を入れていたという。
そして頑固なまでの
理想主義の夫を強く信じ支え続けた。
母としての彼女は
料理上手だったことは前にも書いたが
それだけではなく
娘たちと縫い物や編み物をする時に
本を読んだり、自分の子どもの頃の話を聞かせたり
そして、子どもたちに手紙を書いたり
日記に優しい心のこもった言葉を書き添えたりして
それぞれが、自分の才能を生かしたことを
するように奨励したという。
ルイザが10歳の誕生日に
母からもらった手紙にはこう書いてあった。
「約束通り、筆入れをあげますよ。あなたは書くことが
好きだから、毎日書き続けてごらんなさい。
きっと日の目を見ることができるから…」と。
母はルイザの文才を認めていたのだ。
この母親のアバの存在はルイザの成長に
計り知れないほどの大きな影響を与えたと思う。
ルイザは女性としての母の背中を
常に尊敬のまなざしで見ながら
海のように深い愛情に包まれて育ったのだ。
その証拠に
ルイザは「若草物語」の中で
この母をマーチ夫人として描き、心から讃えている。
そして
「マーチ夫人は真実そのままです。ただ本物の母の
半分も素晴らしく描けてはいないのです。」
と、日記に書いている。
父ブロンソンも素晴らしい人だが
それを支えた妻であり母である
アバという女性の存在の大きさを強く感じる。
まさに、この両親にしてこの娘ありだ。
今日はここまで。
続きはまた後日。