前の晩から雨がず~っと降り続いていた朝
(今日はまさか来ちゃあいないだろう…)
そう思ってテラス側の窓のカーテンを開けてみた。
すると、降りしきる雨を避けるようにして
窓の下にノラにゃんこがちょこんと座っていた。
あれまぁ~、ノラくん、こんな雨の中を来たの?
「あ、オバサン!おはようございます!」
「はい、ボク…頑張って来たんです」
そう…偉いね!じゃあ、朝ご飯をあげるからね。
さあ、どうぞ!
「わぁ~い!やったぁー!ボクの大好きな牛乳だ~」
「あ~、美味しかった!」
早やっ!もう飲んじゃったの?
「うん、ボク、牛乳が一番好きなんです!」
そうみたいだね。
「だから…牛乳のお替わり、ダメですか?」
ダメダメ、猫マンマを食べないと…。
「そこを何とか…なりませんか?」
そんな目をして、お願いされても…ダメです!
だって、今日はお魚も入って、ご馳走なんだから…。
「そうですか…だめですか。ケチンボ…」(笑)
「じゃあ…猫マンマを食べてあげます!」
あげます…って、何それ…(笑)
ほらね!美味しいでしょ?
「ん、まあまあ…ですね!」(笑)
この日、ノラは雨が降っているせいか
食事を終えると、お隣りの別荘のウッドデッキに
チャッカリ居座って、長い間寛いでいた。
次に見た昼頃には、雨も上がって
今度はお向かいさんの駐車場で寝そべっていた。(笑)
更に見た時には、長々と体を伸ばして眠りこけていた。
その私の視線を感じ、目を覚ましたノラにゃんこ。
「オバサン、相変わらずストーカーですか?」
す、すんません…(笑)
その日の夕方、ノラはまたテラスにやって来た。
「そろそろ、晩ご飯の時間なんだけど…」
「オジサン、まだかなぁ~。あっ、来た!」
「ノラくん、お待たせ…はい、晩ご飯だよ!」
「オッ!またまたご馳走だ~」
「今日はよく寝たから、お腹がペコペコなんです!」
「オジサン、今日も美味しいです!」
そりゃあ、良かった!
「ムシャムシャ…良く噛んで…」
「ガツガツ…スピード感を持って…」
「あっ!いけない…こぼしちゃった!」
ホラホラ、落ち着いて…(笑)
たらふくご飯を食べたノラにゃんこは
山荘の前の道路でしばし寛いだ後
「さあ、今日はどっちから帰ろうかなぁ~」
「あっちの道にしようか…それとも…」
「よし、今日はこっちからだ!」
と、そそくさと家路へと向かって行った。
この日は久し振りに山荘周りで
のんびりと過ごすノラを見ることができた
穏やかで平和な一日だった。
つい先日まで蕾だったレオナルドダビンチも
いつの間にか美しく花開き
ノヴァーリスもキレイな花姿を取り戻し
アガパンサスの花も開花してきて
梅雨の晴れ間の束の間の幸せを感じた日だった。
ところが、その翌日のこと。
ノラはいつものように早朝からやって来て
椅子の下でご飯待ちをしていたが
何だか、様子がおかしい。
ご飯を食べながら、妙にビクビクしている。
ふと見ると、尻尾の辺りが赤むけている。
ノラくん、またケガしてるの?
「エッ!わかります?…実はそうなんです」
また、ボス猫にやられちゃったの?
「いえ、ボク、闘ったんです!」
「でも、ちょっと油断したスキに…」
やられちゃったのね…。
「オバサン、ボク、カッコ悪い…ですか?」(笑)
そんなことないよ!
勇敢に戦ったケガは男の勲章だって言うよ。
「そうか、ケガは男の勲章なのかぁ~」
あれっ!ノラくん、まだカリカリ残ってるけど
もう帰っちゃうの?
珍しくご飯を半分残したノラにゃんこは
堂々と男の勲章を見せながら…(笑)
長い坂道をトボトボと歩いて帰って行った。
どうやら、最近もまだノラ猫同士の抗争は続いているようだ。
新型コロナウィルスと同じで
第一波が過ぎても2波、3波と繰り返しやって来て
完全に抗争が終息することは無いのかも…。
こうなりゃ、with コロナ同様
抗争とともに生きる新しい生活スタイル
ニューノーマルを身につけるしかないだろう。
それが何か、皆目見当がつかないけど…(笑)