「もたらした」といわず「出した」とあえていう。だれがそんな大災害を予測しただろうか。予想もしない事態がつぎつぎに発生し、大災害となった。地震とその災害を最大限に予測し、被害を最小限に防ぐのは国と自治体の役割ではないか。大阪市立大学の研究グループが直下型地震の可能性を予見していたという話は後日に知ったが、京阪神に住む大方の住民は、首都圏や東海地方のように大地震の心配はしてこなかった。そういう安心の下で大災害になったのだと思う。神戸の東遊園にはきょうも犠牲者鎮魂と復興の願いを込めた蝋燭の火が燃え続けている。
地震とは予測できないものと諦めてしまえばそれまで。だが、阪神淡路大震災をはじめとする列島各地の大地震は、日本中いつどこで地震災害にあうかわからないという考えに変わりつつあり、大震災の教訓を生かしていざというときに備えようという考えがひろがりつつあるように思う。良いことだと思う。地震への備え、災害地への救援、被災者の救済などは、国と自治体が失われた財産の補償を含めきちんと対応すべきだ。地震保険や自己責任に終わらせてはいけない。21世紀はそういう時代ではないか。
そう考えていた時、アメリカ・ニューヨークのハドソン川に1月15日午後3時半ごろ、乗客乗員155人が乗ったエアバスが不時着し、全員が無事だったというニュースに胸を熱くした。
機長は、チェスリー・サレンバーガーという滞空1万9千時間、57歳のベテランパイロットだった。彼の冷静沈着な行動が乗客の命を救ったと報じられている。
阪神淡路大震災の時、わがマンションで、あるパイロットの機敏な采配が住民の安全確保に貢献したという話を聞いた。パイロットというのは常時身の危険に即応する訓練を積んでいるのかもしれない。
やはり災害は忘れたころにやってくる。いざ、というとき、人命救助のリーダーシップは決定的な意味をもつ。金銭に換えることのできない人間愛の力といってもいい。そういう人をぼくはほんとうの「英雄」と称えたい。
安全安心を願い、小豆粥ならぬ、枝豆をゆがいた。
明日死ぬる命めでたし小豆粥 虚子
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