午前中。千里中央のペインクリニックへ。「どうですか」「はい、だいぶましです。しびれは続いていますがチクチクが時々になりました」。「それはよかったねえ。万々歳よ」。思わず「ありがとうございます。おかげさまで」。顔が喜んでいる。待合室で、井上ひさしの戯曲「小林一茶」(中公文庫)を読み終えた笑いの余韻に「それはよかったねえ」がダブる。全快祝いしようか。ふと思う。賢妻に馬鹿にされるな。早とちりはいけない。次回治療予約日を決める。
戯曲は観るものと思うが読んで想像するのもけっこう面白い。井上ひさし作「小林一茶」。劇は1979年に新宿紀伊国屋ホールで16回上演されたそうだ。本は喜劇風に脚色されている。一茶「七番日記」をもとにしている。一茶の全生涯の劇ではない。一茶が西国を行脚した後、浅草蔵前で札差をしていた遊俳の人夏目成美の指導を受けていたころの話が中心。エロチックな部分や一茶の即興句はもちろん井上ひさし氏の創作である。
ぼくも数年前、中之島図書館で一茶全集と一茶関係書を借りて通読した。それを参考に「大阪の一茶」を書き、ある俳句誌に連載して頂いた。そのことは以前にもブログに書いた気がする。7年間に及ぶ一茶西国の旅は、28歳以降のことである。葛飾派の俳匠二六庵竹阿の門人だったころ、プロの俳人になるため一茶は関西、四国方面へ修業の旅をした。そのもようは「西国紀行」として「一茶全集」第5巻に収められている。一茶は大坂では俳人100人ほどと交流している。当時、三都第一の飛脚問屋で「天明・寛政俳壇の雄」といわれた大江丸の影響も受けた。
わかりやすく子どもでも口ずさめる一茶調は、京阪、四国の旅で培われ、江戸の夏目成美の指導で磨きがかけられたのではないかとぼくは思う。
痩せ蛙汗もかかずに句碑が立つ 愚句
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ノーやん
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