アジサイは古今東西、変化する花とイメージされている。万葉集で大伴家持は「言問はぬ木すら味狭藍(あぢさゐ)諸兄等が練の村戸にあざむかれけり」と詠んだ。色変わりを示唆したうた。白楽天は824年,杭州の招賢寺で名も知らぬ紫色で気が香り芳麗な花を見つけ、これを「紫陽花(しようか)」と名付けた。これがアジサイと同じかどうかは怪しいが。ドイツのリルケは「新詩集」の中で、「青いあじさい」と「薔薇色のあじさい」の詩を詠んだ。わが俳人も「紫陽花や帷子時の薄浅黄」(芭蕉)、「紫陽花や白よりいでし浅みどり」(渡辺水巴)と変化を詠んでいる。
白から青、青から赤、赤から紫へ変化する花なので名前もいろいろや。「七変化」「四葩(よひら)」ともいう。「フロラ・ヤポニカ」を著したシーボルトは、アジサイ属の12種を詳述し、日本の愛人お滝さんの名を冠してハイドランジェア・オタクサを発表した。有名なはなし。アジサイは園芸種で母種はガクアジサイ(写真中)。房総、伊豆、伊豆7島、足摺岬などに自生する。
青年のいろ保ちかね七変化 昇龍子