トヨタの「カローラ」と言えば、かつてはドル箱・定番・鉄板商品だったのだが、今は「軽自動車」と「ミニバン」にお株を奪われ、苦境にあえいでいる。昨年の「新車販売ランキング(軽自動車を除く)」を見ても、年間7位・前年比77.8%と低迷している状況だ。軽自動車を含めたランキングになれば、年間20位も怪しい。ハイブリッドもMTの設定もあるのに「何故売れないのか?」不可思議である。理由は「若者のクルマ離れ」「軽自動車の躍進」「ライフスタイルの変化」などの外因もあるのだが、どうやらそれだけではなく内因に大きな問題もあると見た。1つ目は「造り」にありそうだ。現行モデルの内装は、とにかく「安っぽい」し、サスペンションの働きも決していいとは言えない。高齢者に配慮したとされる各部の造り込みも、評判は良くない。試乗すれば分かることだが、路面の段差を乗り越えるたびに、バタバタするし振動・突き上げもキツイ。後席に乗っていても運転していても「異様に疲れる」のではいけない。2つめは「プラットフォーム」にある。「プラットフォーム」とは、色々な解釈があるが、基本的には「クルマの上屋を取り除いた下の部分」を指す。現行のカローラの「プラットフォーム」は小型ハッチバック「ヴィッツ」と共通のものを使っている。ただ、「ヴィッツ」にはトランクスペースがないし、ホイルベースも短いので、後席足元をストレッチさせた上にトランク部分を継ぎ足している。これがまたいけなかった。従来はカローラの専用「プラットフォーム」を起こしていたのだが、北米仕様と別の国内専用の「プラットフォーム」を起こす余裕が無くなったのである。1つの「プラットフォーム」で複数の車種を開発する。これは今は当然のこと。三菱では「デリカD5」「アウトランダー」「ランサーエボリューションX」の3車種を、日産では「K12マーチ」「キューブ」「ティーダ」「ティーダ・ラティオ」「ウイングロード」「ノート」「ブルーバード・シルフィー」「NV200バネット」8車種を同一の「プラットフォーム」から生み出している。無論、トヨタもそうだが、カローラをモデルチェンジさせる際に、もっとも悩んだのが「プラットフォーム」を起こすか否かであった。多額の投資が必要でもあり、他の車種との兼ね合いもあったはず、結果としてもっとも費用が少なくてすむ「ヴィッツ」のストレッチで乗り切ることになったのだが、ベースとなった「ヴィッツ」を無理やりいじったのだから、おのずと無理は生じる。車重が増した分も設計上の足かせとなったのは、想像にかたくない。3つ目は「5ナンバー枠の縛り」だ。車幅が1.7mを越えれば、ナンバーは「3」になる。これまでのユーザーや高齢者を意識するならば、いたずらに車幅を広げられない。北米モデルとの統合も考えられたとは思うが、日本での仕様を考慮すると、あまりにリスクが大きい。「5ナンバー枠」を堅持するには、既存車種のストレッチしかなかったのだろう。このように、3つの内因も加わって「カローラの販売は伸び悩んでいる」私はこう解釈している。異論もあるかも知れないので、何かお気づきの点があれば、是非ともお教えをお願いしたい。いずれにしても、歴史あるカローラの看板をこのまま降ろすことはあるまい。トヨタも次で挽回を狙っているのは間違いない。次期カローラがどう生まれ変わるか?楽しみに待つとしよう。
1995年1月17日、午前5時46分。阪神・淡路大震災発生。その日の朝の記憶は、今も鮮明に覚えている。前夜、交替勤務の遅番で日付をまたいでから就寝していたので、ベッドの中に居たのだが、なぜか眼が覚めた。午前5時40分くらいだったと思う。暫くしてから突然「弩級の揺れ」に襲われた。「首都直下地震か!」と思い、慌ててテレビをつけて、映し出された映像に言葉を失った。高速道路の橋脚が根元から折れ、空には火災の煙が無数に上がっている光景。被災地が神戸で、震源からもかなりの距離があるにも関わらず、揺れが強かった事に驚くと同時に、被害の大きさに「何がどうなっているのか、被災地の人々は無事なのか!?」とテレビからの情報に耳を傾け続けた。次第に明らかになって来る被害状況。まるで爆撃を受けた直後の様な惨状に、全身が凍りついた。自分の周りは、何も変わってはいないのに、テレビの映像は生々しい現実を流している。「普段と何も変わらない日常」がどれだけ大切なものかを思い知らされた。あの日から、もう22年が経過した事になるが、地震災害は日本に住む限り「避けては通れない」。阪神・淡路大震災後も大きな地震災害は続いている。自分の住む地域に影響がある「活断層」についても、意識するようになったし、地震速報には敏感になった。ちなみに、私の住んでいる長野県は、巨大な断層帯が無数に連なる「デンジャー・ゾーン」だ。今日は何事ないかも知れないが、明日は分からない。「普段と何も変わらない日常」が続くありがたみを痛感する。日本列島は、地震活動が活発化している「活動期」を迎えているが、次は足元の活断層が動くのかも知れない。備えは万全か?避難経路は?頭の隅に常に置いておく必要があるのだと自身に言い聞かせる・問いかける節目の日でもある。そして、あの日の記憶を忘れない様に心がけねばならない。