ニュージーランド移住記録「西蘭花通信」

人生の折り返しで選んだ地はニュージーランドでした

西蘭家2024年出来事ランキング

2024-12-30 | NZ生活
1年に1回しか更新されないブログに存在意義はあるのか?
とまれ毎年やっているので、今年も更新します

注:(  )内は2023年のランキングとその寸評

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10位:高金利と景気後退
コロナ渦後の急激な物価上昇はNZも例外ではなく、インフレ退治の大幅利上げで景気が悪化。8月から利下げサイクルに入ったものの、景気後退入り。失業率も悪化
(戦争の日常化:大勢の子どもたちが戦火の中で生まれ育ち、命を落としている事実が切ない)


9位:21年ぶりのバリ再訪
NZを知るまで夫婦して最も心が安らぐ場所だった、インドネシアのバリ島。何度訪れたことか。昨年のタイ同様、旅行を計画していながらコロナで断念していた場所。21年ぶりに再訪してきました。ウブドの変わりようには目を見張りましたが、変わらぬ定宿ハイアットリージェンシーに安堵。
(エアフライヤーがやって来た!:去年はこれがランキング入りしていたとは!)


8位:オーストラリアの内陸へ
メルボルンから列車でアデレード、アデレードからクルマでメルボルン、ノーザンテリトリ―のダーウィンからアウトバックへと、広大な隣国の内陸部を垣間見る機会が増え、オーストラリアの内陸に開眼した年でした。今さらながら、オーストリアは大陸だった(笑)!
(日本旅行:「日本を回ろうか」と言っていた舌の根も乾かないうちにやはりオーストラリア?)


7位:体調の不具合
健康だけが取り柄だったはずなのに、還暦を過ぎたあたりからちょっとした体調の不具合が増えてきました。医者に行くような事態ではないのですが、今年は特に15年来の股関節痛が再来し、睡眠障害や午前中の不調などを経験。夫もゴルフのしすぎでテニス肘(なんで?)とか。
(アクセサリー作りが一段と本格化:ますます本格化して寄付の数も増やしています)


6位:次男たちのマイホーム取得
2020年のコロナのロックダウン明けに我が家の近所でアパートメントの1室を買った次男。最初は賃貸に出し本人たちはシティー住まい。しかし、ガールフレンドの希望と保護犬を迎えるために引っ越してきました。今度は2人でマイホームを買って遠方に転居し、新展開に。
(タイ旅行:バンコクからの長男の引っ越しの手伝い、友人との再会と実り多き旅でした)


5位:ベスが逝きタオが来た
犬にしては高齢で、以前からお腹に腫瘍らしきものがあるのを指摘されていた次男たちの保護犬ベス。元気はつらつに見えたのに8月に急逝。長く苦しまなかったのがせめてもの救いです。12月には保護犬2代目となる11歳半の3本足のタオがやって来てさっそくアイドル化。
(ハワイのラハイナ焼失:ラハイナの件は心に重く、今年のハワイはマウイに行けませんでした)


4位:長男の資産形成と親の投資縮小
2019年以降ダイベストに着手し始め、今年はNZの借家2軒を手放しました。息子が1軒ずつ購入してくれたらと思ったものの、次男は自宅購入を進め、逆に世界を飛び回って多忙な長男が2軒とも取得。双方弁護士を介して正式な売買契約を結び長男は資産形成、親は投資縮小
(オークランドや北島の自然災害:地球温暖化による気候変動はますます速く広く、なのか)


3位:別荘購入 
夫が標榜する「お金を使い切りゼロで死ぬ」よりも、さらに興味ある「レガシーを遺す」ことに目覚めた私。ここで言うレガシーとは和訳の「遺産」ではなく、もっと価値ある「次世代が末永く有効利用できるもの」という発想で、好きなパウアヌイに別荘を購入。母の遺産、長男の借家購入、利下げとさまざまな環境が整っての実現ながら、ローンは92歳まで続きます(笑)
(次男家にベスが来た!:持病があったベスは家族になって 1年7ヵ月で虹の橋へ)


1位:母の逝去
昨年12月にコロナ渦を経てほぼ4年ぶりに再会した特養の母が、2ヵ月後の2月に静かに息を引き取りました。再会直後に大腿部を骨折しそこから体調を崩し、父と同じ91歳での大往生。妹の手際よい手配で家族葬を済ませ、本人の希望で樹木葬となりました。どうぞ安らかに。
(高血糖退治:薬なしの食事療法と運動療法でなんとかコントロールしています)


1位:次男の結婚
タイ1位となったのが次男27歳と5年来のガールフレンド25歳との結婚。母の逝去と息子の結婚というこのタイミングに、世代交代を感じました。2人はどちらの姓も継承せずに、それぞれの母親の旧姓をつなげた、母親たちに捧げる新しい姓を名乗ることにしました。この日英の変わった姓が、2人をいつまでも幸せに結び付けてくれることを心から願っています。
(長男のNZ定住決定:3年連続で息子たちが1位になっています。来年は誰かな?)



普段着青空家族婚。末永く幸せに🙏



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編集後記「マヨネーズ」 
昨年の『家族』から一歩踏み込んだ『世代交代』を実感する1年でした。次男の結婚や長男の借家取得による資産形成、そして次世代に遺すための別荘取得。昨年ここで「ほしいものは『健康』『経験』『時間』」とも言っていましたが、旅行という経験と家族との時間を実現しました。健康はもうこれ、日々の積み重ねの上に成り立っています。

私は年齢の後に「2」がつく年に転機を迎え、22歳で日本からアジアへ、32歳で出産、42歳でNZ移住決行と来ましたが、62歳の今年は何もなく過ぎました。でも来年は仕切り直しかな?

今年も大変お世話になりました。よいお年をお迎えください。2025年もどうぞよろしくお願いいたします。

西蘭みこと

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西蘭家2023年出来事ランキング

2023-12-30 | NZ生活
とうとうランキングから「コロナ」が消えました。でも次は「戦争」「自然災害」💦
注:(  )内は2022年のランキングとその寸評

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10位:戦争の日常化
ロシアのウクライナ侵攻の長期化だけでも大きな脅威のはずなのに、10月からはイスラム組織ハマスのイスラエル奇襲攻撃、それに続くイスラエルのガザ侵攻が始まりました。アジアでも日々緊張が高まっていて、それらが日常化していく危うさ、恐ろしさ。
(コロナ3年目とウクライナ情勢:コロナがまだニュースだった3年目)


9位:エアフライヤーがやって来た!
次男からクリスマスプレゼントでもらったエアフライヤー。すっかりキッチンの一部と化し重宝しています。焼き豚とグラタンの頻度が上がり、ナッツは必ずローストします。
(さよならラグビー:今年のRWC決勝戦の後味の悪さたるや。ラグビー離れは決定的)


8位:日本旅行
ほぼ4年ぶりに特養の母に再会。両家と叔父叔母の墓参りも。「いつか親が他界したらもう行くこともないのかな」と、漠然と思っていた日本ですが、今回初めて四国や瀬戸内を訪れて考えが変わりました。しばらくあちこち回ってみようかと思い始めました。
(治安、物価、金利、ガソリン:今年もこれらは悪化の一途。でも利上げは踊り場か)


7位:アクセサリー作りが一段と本格化
2006年から始めたチャリティーショップでのボランティアは今年で17年となりました。同時に2020年から再開した趣味のアクセサリー作りと創作品をチャリティーショップに寄付する作業がますます本格化し、店頭でのボランティアとほぼ逆転しました。
(借家のリノベーション:今ではいいテナントに恵まれ、公私でお世話になっています)


6位:タイ旅行
2004年に香港からNZに移住して以来、香港への里帰りは何度か果たしましたが、その他のアジアはとんとご無沙汰。5月に長男の引っ越しの手伝いがてらにタイへ。香港時代に大変お世話になったチェンマンでリタイアライフを満喫中の友人にも再会。
(オーストラリア旅行再開:今年も5回に分けて、行き尽くせない魅惑の大陸を猛攻中)


5位:ハワイのラハイナ焼失
8月のマウイ島でのハワイ王朝の古都ラハイナ焼失は一生心に残ることでしょう。今やたった2回とはいえ、この目でオールドラハイナを見て、歩いておいたことに感謝するばかりです。自然災害で街が丸ごと消えるリアルを初めて実感する辛い出来事でした。
(コロナ後初の日本行き:あの時はコロナで特養が面会謝絶。母には会えませんでした)


4位:オークランドや北島の自然災害
1月末の暴風雨と2月のサイクロン・ガブリエルで、NZ北島は局地的に大規模災害に見舞われました。オークランドも例外ではなく都会での自然災害が身につまされ、ホークスベイやコロマンデルの被害は背筋が凍る思いでした。再発しないことを祈るばかり。
(リノベーションの継続と前庭整備の終了:喉元過ぎれば辛さ苦しさも忘れ良い思い出)


3位:次男家にベスが来た!
2020年に家を買っておきながらシティーに住んでアーバンライフを満喫していた次男。ガールフレンドの強い希望もあり、自宅に戻って犬を飼うことに。戻る前にリノベーションも決行し、満を持して迎えた11歳の保護犬ベス。一家のアイドルに一躍急上昇
(試練の還暦:還暦を厄年とする見方もあり、翌年の今年はかなり後厄的な1年でした)


(※クリスマスコスのベス)


2位:高血糖退治
前々から指摘を受けていた血糖値の上昇が、8月1日の検査でインスリン投与が必要になるほど爆上げしていることが判明し、上を下への大騒ぎに。しかし、同月末から前代未聞のインフルエンザにかかり体重3kg減。その後も減量を続け計5kg減で5ヵ月後の現在、血糖値はほぼコントロールされました。体調も良く、心身ともに健やかに。
(長男との4年ぶりの再会:この時に親子3人でじっくり話し合った結果・・・)


1位:長男のNZ定住決定
今年最大のニュースは長男がNZ定住を決めたこと 昨年1位は次男のNZ定住決定でした。コロナの影響もあり、図らずも息子2人が海外生活を断念して戻って来ました。それだけNZがいろいろな面で安全だったり便利だったり、若い2人にも現状では理想の地だったことは、この国を移住先に選んだ母親としては嬉しい限りです。
(次男のNZ定住決定:2年連続で息子たちが1位になりました。来年は誰かな?)

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編集後記「マヨネーズ」 
昨年ここで「来年は確実に『家族』(含:犬)の年」と言っていましたが、本当にそんな1年になり、コロナを意識しなくなった年でもありました。2024年は『ミニマリズム』を念頭に、レス・イズ・モアを今まで以上に実践していきたいです。ほしいものは『健康』『経験』『時間』。夫は『目指せシングル⛳』らしい

今年も大変お世話になりました。どうぞよいお年をお迎えください。2024年もよろしくお願いいたします。

西蘭みこと

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日本円切り下げ

2023-10-01 | 経済・家計・投資
インフルで苦しんだり弱ったりしているうちに9月が終わりました(笑)

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「円の切り下げが起きているのか!」
最近の日本や日本円の動向を遠くからぼんやりと眺めているうちに、ふとそんな考えが浮かんできました。通貨の切り下げは通常、通貨に固定相場を採用している国で自国通貨安に振れるよう為替レートを引き下げることなので、日本のように変動相場制を採用している国には無縁に思われる概念ですが、果たしてそうなのか。

1997年7月にタイのバーツを皮切りに始まったアジア通貨危機は、アジア通貨の暴落を引き起こし、各国は通貨切り下げを余儀なくされました。きっかけはヘッジファンドの空売り攻勢だったものの、立ち向かう術はなく売りが売りを呼ぶ展開になりました。

当時のアジアで厳格な米ドルとのペッグ制(自国通貨の相場を米ドルと連動させる固定相場制)を採用していたのは香港だけで、他のアジア諸国は緩いペッグ制を採用しつつ、90年代の高度成長が基軸通貨とのシンクロを下支えしてきました。しかし、成長に陰りが見え始め固定の水準が正当化されなくなるや、その隙を突かれたのです。

今の日本もそんな状況に似ている気がします。日本円は変動相場なので自国経済や他国との金利格差を反映して、上にも下にも時々刻々と動いていきます。なので不意を突かれ、ある日突然朝起きたら風景がか変わっていたという可能性は限られるとしても、経済状況を反映してこのままジリジリと円安が進んでも買い向かう勢力がなければ、実質的な切り下げと変わらないのではないでしょうか。

9月に国際決済銀行(BIS)が発表した8月の円の実質実効為替レート(2020年100とする)は73.19と過去最低になりました。実質実効レートとは、ある通貨の価値を他通貨との相対評価で示したもので、為替だけでなく物価変動や貿易量などを加重平均で算出する「通貨の実力」と言われるもの。NZのように経済規模が小さく貿易相手国が限られる国では、非常に重視されるレートです。

円の実力が過去最低を更新したその過去とは、1970年8月。1962年生まれの私がわずか8歳だったのかと思うとクラっとする53年ぶり。BISは実質実効レートを約60ヵ国/地域以上で使用されている通貨を基に算出しているので、日本円は米ドルだけでなく他通貨に対しても全面的に売られ、減価しているといえます。60数か国となれば経済先進国ばかりでなく、発展途上国/地域も多数含まれ、その比率は4割に迫ります。

途上国と言うと「貧しい国、遅れた国」という根強いイメージがあるかと思いますが、イメージとは裏腹にそうした国々の人も大挙して日本を訪れ、北海道から九州まで新幹線を乗り倒し、旅行三昧、「安い、安い」と食べ歩き三昧に買い物三昧、アクティビティー三昧を繰り広げているのが現実で、これは円の全面安に負うところでしょう。

今年5月にバンコクで会った若い女性は「毎年約2週間日本に遊びに行くのを楽しみにしている」そうです。仕事柄タイの平均よりは所得がありそうですが、富裕層という訳でもなく働く独身女性でした。この逆が毎年できる若い日本人が全体の何%いることか。円の実力が低下しているゆえに、海外のどこへ行っても割高感があることでしょう。それ以前に、2週間の休みをまとめてとることさえ難しそうです。

1970年以来の円安となれば、1985年のプラザ合意での米ドルの切り下げ、合意参加国通貨の切り上げも、日本円に限っては巻き戻されているということなのでしょうか。1984年に日本を出て日々強くなる円を肌身で感じ、目の色を変えて買い物をする日本人観光客の姿を見てきた身には、同じことが今、訪日する外国人のインバウンド消費で起きているというのは容易に想像できます。まさに為替のマジックです。

過去最低の実力となった円がここで反転する理由は見当たらず、海外との金利格差、賃金格差、インフレ格差?!が早々に是正される可能性も低そうです。過去には円安となれば製造業の輸出ドライブで恩恵を受けることもできましたが、せっせと海外に生産拠点を移したことでその恩恵もかなり剥落してしまいました。今手っ取り早く得られる恩恵となれば、サービス輸出であるインバウンド消費をおいてほかにないのでは。

大阪のカジノ主体のIR構想はその象徴に感じます。外国人がカネを落としていく大人のディズニーランドを造れば、有効な外貨獲得手段になります。さらに全国津々浦々に新幹線を通し、世界的な観光ブームに乗る外国人に全国をくまなく回ってもらえば、都市部だけでなく地方にもカネが落ち、雇用や消費が発生します。

これには課題もあります。観光関連などサービス業は製造業などに比べ、往々にして雇用形態が流動的で(季節性があるなど)賃金が安いのも特徴です。またコロナの反動も一因になっている世界的なオーバーツーリズム問題も深刻です。観光客の数にインフラが追いつかず、追いついた頃にはブームが一巡しているリスクもあります。そして何よりも、過去最弱になっても着地点が見えてこない円安が最大の問題でしょう。


『1%の金利が広告になる世界
しかも税引後は0.79%』
と、出張中の息子が送ってきた写真

世界的なインフレに各国があえぎ
つつも高金利を受け入れる中、日
本のねじれの継続は衝撃的で、い
つ、どこで、どう修正されるのか


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編集後記「マヨネーズ」 
自分で字数に限りをつけているのでかなり尻切れトンボですが、とりあえず雑感更新。



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ガブリエル後の風景

2023-02-17 | 経済・家計・投資
サイクロン被災者支援のクラウトファンディングが目標1.7億円目指して奮闘中。12時間で9,000万円到達。至る所での本気の支援が感動ものです。

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2月12日からNZを襲い始めた超大型サイクロン・ガブリエル。ノースランドからオークランド、さらに南下し東側沿海部を3日間にわたって進み、先々で甚大な被害をもたらしました。災害の全容は不明ながら、犠牲者185人を出した2011年のクライストチャーチ地震に匹敵するのではないかとみられています。今までは欧米やオーストラリア、日本での出来事だった気候変動の影響を、NZが経験した初の事態となりました。

17日現在、死者8人、1万人以上が家を失い、オークランドやホークスベイではそれぞれ4,000軒以上が停電したままです。ギズボーンは浄水場の故障で今朝から水道水が一切使えない状況に陥っています。さらに通信機能の喪失、道路や橋の寸断で孤立化した地域が多数発生し、空と海から水や食料の供給が始まっています。ホークスベイを中心に4,500人以上と連絡が取れない状況が続いているのは大きな不安です。

連日の報道に接し、家族、家、事業や仕事、家財や自動車、家畜やペットとありとあらゆるものを失った人たちが直面する現実に胸が塞がる想いです。しかし、NZが直面する現実から目を反らすこともできず、報道を追い続けています。1日も早く例え臨時のものであってもインフラが復旧し、被災者が安全な場所で寝起きでき、国の支援や民間の募金、保険金が届いて、国を挙げて復興に向けて立ち上がれるよう祈るばかりです。

災害規模や経済損失が明らかになるまで、まだまだ時間がかかるでしょうが、いずれクライストチャーチ地震との比較や1931年にネイピアに壊滅的な被害をもたらしたホークスベイ地震(死者256人)との比較分析などが出てくることでしょう。クライストチャーチ地震の2011年は国勢調査の年でしたが、地震により2年延期され2013年に実施されました。今年もまた3月7日に国勢調査が予定されていますが、延期になる可能性もあり、最新の人口動態や社会の把握なくしての分析は一段と難しくなりそうです。

すべてが不透明感に包まれる中で、ひとつだけかなりの確率で実現しそうなことがあると感じます。それは住宅市況の底打ちです。市場は2021年の金利反転以降、住宅ローン金利(2年物平均)が3.46%から現在は7%台へと急激に上昇する中、じりじりと調整を続けています。特にオークランドの調整幅は大きく、最新統計(REINZ調べ)によると、1月の平均物件価格(メジアン)は前年比でオークランドは22%の値下がりとなり、オークランドを除く全国平均の9%の値下がりと比べ大きく低下しました。

このタイミングで大災害が起き、オークランドのみならずホークスベイでも多くの人が家を失いました。政府主導で臨時宿泊施設を提供しているものの、数やエリアに限りがあることは明白で、資金があったり保険金受給のメドが立っている人たちが賃貸契約や住宅購入に動きだすことは想像に難くありません。また被災地から比較的被害が限定的だったオークランドに、家と職を求めて一部の人が移って来ることもまず間違いないでしょう。そうした需要が住宅の値下がりに歯止めをかける可能性をみています。

(※公園の大木もばったり)



クライストチャーチ地震後の人の移動の素早さには目を見張るものがありました。移民国のせいか老若男女の決断と実行の速さは想像以上で、家や職を失った人が伝手のあるなしにかかわらずクライストチャーチを離れ、隣国オーストラリアにまで飛んで新生活を築くケースも多々ありました(NZとオーストラリア間は国民同士の居住・就労が自由)。被災の規模は違えど直後に起きた東日本大震災との相違が印象に残りました。

その中で最大の受け皿となったのが、最大都市オークランドでした。すぐに市内の賃貸市場が干上がりました。かつての隣人もその時に転入してきた被災者でした。クライストチャーチの自宅は無傷だったものの、夫婦とも職場が立ち入り禁止地区に指定された市の中心部だったため、ご主人の勤務先がオークランドにポストを用意してくれました。すぐに家を売却し5月には引っ越してきたので、震災からわずか3ヵ月未満の早業です。収入がなければローンが払えず、家には問題がなかったのですぐに売れたそうです。

今回最も集中的被害を受けたとみられるホークスベイ地方は、人口(2022年)18万人と、クライストチャーチの38万人の半分以下で、容易にその地を離れられない農家が多いことも特徴です。しかし、オークランド市内でも家を失った世帯が多数ある上、地方の被災地の勤め人や若い人を中心に雇用機会が多いオークランドに転居する動きが進めば、2011年のような賃貸市場の逼迫が繰り返される可能性は十分にあるでしょう。

2011年は震災後に政策金利(OCR)が0.5%引き下げられ、オークランドは『空からキャンディー🍬が降って来た』 (NZやオーストラリア英語で言う「飴まき」(lolly scramble)。日本の餅まきや餅投げのようなもの) も同然でした。地震の被害がまったくないのに大幅利下げという飴が降って来て、需要増とともに世界金融危機以降低調が続いていた市況に一気に火が付いたのです。今回は高インフレ(直近7.2%)のただ中の上、政府の災害支援や復興需要等で利下げ余地はないでしょうが、賃貸市場の逼迫が契機となり売買市場がゆるやかに底入れしてくるのではないかとみています。さて、どうなるか?

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編集後記「マヨネーズ」 
2023年は景気後退必至とみられていましたが、災害復興需要でリセッションが回避される可能性がグッと上がったのでは?
がんばれ、ホークスベイ
がんばろう、NZ

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干支の年の12年周期

2023-01-03 | 家族・海外子育て
新年明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

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最近よく「年はとってみるものだ」と思います。年老いていく負け惜しみなどでは毛頭なく(笑) (1日たりとも戻りたい、若返りたいと思ったことはありません)、経験の蓄積から今後を推し計り、ある程度は心の準備ができるようになったからです。物事の分別、転居や海外暮らし、求職や転職、金利や為替などの生活への影響、果ては経済危機に直面しても、何度か経験していれば展開の予想がつきます。未曾有のコロナですら、謎の肺炎と言われたSARSによる2003年の香港での経験が生きました。

経験の蓄積によって、私は人生に周期があることに気づくことができました。その存在を教えてくれたのはシンガポール時代の友人ですが、周期をどう見つけ出し、生き方の指針とするかは本人次第です。友人は7年周期、独身時代の私は3年周期でした。さらに10年ごとに大きな周期が来ることに気づき、それとは別に年女の年にも必ず試練があることを自覚し、還暦の今年は10年周期と12年周期が重なるまさに人生の節目の年でした。120歳まで生きないと同じ状況にならないのかと思うと感慨深いです。
(※2つの周期に関しては過去記事、人生の10年周期年女の年の11月でどうぞ)

12年周期に関しては20代の息子たちですら、当てはまっているように思います。長男(28歳)はNZの中学生だった12歳のときの担任が、今風に言えば『毒教師』でした。可愛がられるにしろ疎まれるにしろ、感情剥き出しの対応はどちらの親からも苦情が噴出するレベルで難儀しました。その教師は次男の時にも担任になり、教室での独裁と学校の無関心が続いていました。長男は24歳で本格的に起業し現在に至ります。

次男(25歳)にも12年周期が当てはまりますが、干支よりも1年早いのが特徴です。誕生日の関係なのかもしれません。11歳のときに三度の飯よりも好きだったラグビーを辞め、手持ち無沙汰だったときに、アメリカのトレーディングカード「マジック・ザ・ギャザリング」に出会い、プロのゲーマーを目指すまでになりました。しかし、NZの代表にはなれても世界の壁は厚く、ゲーマーを断念して堅気の道へ(笑) 23歳ではローンを組んで自宅を購入し、公認会計士の資格も取得して免許皆伝となりました。

すべての年男や年女が試練を経験するとは思いませんが、私や息子たちに限っては当てはまるようです。ということは該当するかもしれないと思い、暮れに3年ぶりに訪れた伊勢神宮で、素焼きの兎の鈴守りを買いました。次男のガールフレンドは今年24歳を迎える兎年の年女です。彼女はイギリス人ですが、我が家同様にNZに移住してきた親に連れられ、ほぼこの国で育ちました。大学での専攻の関係もあってアジアに造詣が深く、20歳の大学生のときにイギリスのエジンバラで次男と出会いました。

以前、なにかの話から厄年の話題になり、「19歳は女の厄年」という話をしたら、目の色が変わるほど心当たりがあったようで、いろいろな問題に直面した辛い19歳を終え、20代に入るのと同時に次男に逢って運気が変わったそうです。その4ヵ月後の2020年3月にはコロナの大騒ぎで急きょNZに戻り、出会ったばかりのボーイフレンド一家とロックダウンに突入し、狭い我が家で8ヵ月の同居をやり遂げました。そんな経緯があったので、干支や年女の話をしても多少は興味を持ってくれるかもしれない、例え興味はなくても、お守りのご利益があるかもしれないと、小さな兎を連れ帰りました。

(※これは我が家用の別の兎)



元旦の朝に4人で食事をしながらガールフレンドに兎を渡し、干支の話をしました。彼女は前々から自分の干支を知っており、無類の兎好きでもあります。しかし、今年が自分の干支とは知らず、次男も今年が兎年だったとは知らずにいました。
「今年はあなたの年だから、良くも悪くもずっと覚えているようなビッグイヤー(大事な年)になるかもしれないわ。」
と、私自身や次男の経験を例に12年周期の話をしてみました。

黙って聞いていた彼女が突然、
「12歳のときに地震があったの。」
と言い、私たち3人は身が引き締まる思いでした。地震とは2011年のクライストチャーチ地震のことです。ガールフレンドは当時クライストチャーチに住んでいました。留学生を含む185人が亡くなる一大惨事でした。私たちオークランダーには遠い出来事でも、彼女は当事者だったのです。さらにその年、地震の影響もあったのか彼女の親も大病をし、大好きなおばあちゃんまでイギリスで癌を患っていたそうです。

「今年は私も癌になるのかしら?」
と苦笑いしつつも自分の12歳を振り返り、私の言わんとすることを瞬時に理解してくれました。元々次男たち2人は、この1月からオーストラリアのメルボルンに引っ越す予定でした。理由は彼女の大学院進学のためです。しかし、昨年10月に急に計画を変更しNZに残ることを決めました。彼女が進学以上に挑戦したいキャリアを見つけたからです。今月からそのコースが始まります。この英断が吉と出るかどうかは本人次第。夢に向かって跳躍する1年にならんことを!

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編集後記「マヨネーズ」 
2012年に長男が大学進学のために日本に行って以来、しばし次男はいたものの、私たち夫婦の『老後スイッチ』が入りました。その年から不動産投資に乗り出し、5年後には海外進出も(笑) 2021年には急に自宅を売買し、お2人様仕様にダウンサイズ。昨年には改装もひと段落。あれから10年で老後準備がほぼ整うや、今度は『家族スイッチ』が入ったよう。丑年の次男⇒寅年の私⇒兎年の彼女と、年男/年女のリレーが続きます。

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