先月、沖縄で再会してきた友人からのメールに、
「首里も人によっては『戦争で亡くなった人の霊が見える』と怖がる人もいるんだけど、私は全く感じないのよね。霊能力の高い人が『それはどの波動をキャッチしているかで、見えるもの感じるものが違うんです』と言ってたけど!?」
とあり、興味深く思いました。
首里城は戦時中、地下にあった日本軍の司令部を攻撃するために、想像を絶する量の爆弾が投下され灰燼に帰した場所でした。現在の朱色の壮麗な建物は戦後の再建ということを、お恥ずかしながら今回の訪問で初めて知りました。2000年に世界遺産に登録されたのは、首里城跡なのだそうです。私にとっての首里城は歴史的知識の乏しさも幸いしてか、爽やかな風が吹く、不吉なものを感じる場所ではありませんでした。
友人のメールが興味深かったのは、ずっと昔の香港時代の話を思い出したからです。1997年の中国返還の4年前、香港のオフィス街アドミラルティ(金鐘)にリッツカールトンがオープンしました。当時は6つ星ホテルと自称し、豪華さを喧伝していました。しかし、建設されたビクトリア湾に臨む場所は、香港人なら知らぬ者がいないほど風水の悪い場所でした。そこは第二次大戦中、日本軍の処刑場だったというのです。
(アドミラルティの高層ビルには
角がない、悪い気を流すための
「風水対策」が施されたビルがい
くつかあります。ずっとこの辺の
ビルで働いてたんですけど)
ホテルに再開発される前は風水とは無縁そうなマレーシア系銀行マラヤンバンキングのビルでした。ビルの上には横顔の虎が吼える古風なロゴの看板が掲げられていました。しかし、アドミラルティの海岸線ではほとんど最後の一等地となると、中国返還を前に未曾有の好景気が見込まれる中、開発業者が放っておく訳がありませんでした。最終的に香港の新興デベロッパーが高級ホテル開発に乗り出しました。
再開発を知ったとき、
「いくら香港人でもカネには勝てないのか~」
と思いました。コストとの競争である一等地の開発は突貫工事であっという間に進むものなのに、リッツカールトンの建設は難航しました。そのうち、日系大手ゼネコンが工事を途中から請け負い、たまたま知り合いがいたので後から話の経緯を知りました。工事が進まないのに業を煮やした開発業者に泣きつかれ、建設業者としては3社目にしてトラブル続きの末に、何とか完成させたということでした。
そんなある日、懇意にしていたタイ人の取引先が出張で香港にやって来ることになりました。
「ホテルはリッツカールトンにしたの。香港には何度も行ってるからどのホテルも泊まったことがあるからね。みことのオフィスにも近そうじゃない?」
と電話をくれました。当時は毎朝彼女と電話で話していたので、出張に来てくれたからといって特にビジネストークがあるわけでもなく、世間話ついでに、
「リッツカールトンはどう?」
と聞いてみました。
すると、
「なんなの、あのホテルは?」
と言うではないですか話を聞くと、チェックインをして部屋に上がるとき、食事のために下に降りるとき、また部屋に戻るときと、夜だったこともありエレベーターには彼女しか乗っていませんでした。
「でも、大勢乗ってるのよ。」
その一言に全身鳥肌が立ちました。
「見えないんだけど、人がたくさん乗ってるのがわかったわ。なんなの、あのホテルは?」
と再び聞いてきたので、タイ人であっても中華系の血を引く人であることを頭の隅に置きつつ、よく知る彼女の性格とさらに見上げた肝っ玉に見込んで、風水の由来や工事が遅れに遅れ、最後に仕上げたゼネコンもトラブル続きで大変な苦労の末に完成させたことを話しました。
「どうりで!」
「どの波動をキャッチしているか」という言葉に、ふとあの時の天晴れな彼女を思い出したのです。
昨年末にメルマガの5回連載で取り上げたアメリカ人サイキック(霊能者)シルビア・ブラウン氏は、その著書「スピリチュアル・ノート」の中で、"あちら側"の定義として、
「いま、ここに、この世界に重なるようにしてある、違う次元なのです。だいたい、地面から90センチぐらい上がったところにあります」
と記しています。初めてこれを目にしたときは90cmという具体性にハっとし、
「日本のお化けに足がないのはこのせいか!」
と納得しました。その高さだと浮いて見えるのでしょう。
ブラウン氏はこの理由を、霊的存在が、
「私たちよりずっと高い波動を持っているために、私たちにはわからない」
とし、
「幽霊や天使を見た人は例外なく、それらが地面から浮いて漂っていたと言います」
とも語っています。霊能者は高い波動でも見分け、聞き分けられる特別な能力を持っているため、霊的存在を知覚でき、彼らと交信できるという訳です。
90cm上の世界を怖いと思えば怖いかもしれませんが、数年前に愛猫2匹を亡くした私にはかえって慰めとなりました。私の腰の辺り、座ったら目線の辺りに愛猫ピッピとチャッチャが付かず離れずにいてくれるのかもしれないと、見えないながらに"あちら側"を思い描くことができ、予想外の近さに親しみと愛着を感じました。ブラウン氏が言うところの「あなたを見守る優しき存在」は、いつもそばにいるのかもしれません。
=============
編集後記「マヨネーズ」
リッツカールトンは2008年に取り壊され、中国建設銀行のCCBタワーに再開発されました。ホテルとしてはたった15年の短命でした。現在の香港のリッツカールトンは複合施設の102~118階として九龍側にあります。
後日談「ふたこと、みこと」(2022年7月):
これを書いてから8年。夢日記をつけるようになって10年の夢見ストとなり、地上から90cmという立ち位置は一段としっくりくるようになりました。夢の中では人の頭の上から俯瞰するような、地上から2mちょっとぐらいから見ていることが多いのに気づいたからです。机の上にでも立って見ている感覚でしょうか。天井に達することもなく、同じ室内にいる感覚です。最近見た夢の一例。
「首里も人によっては『戦争で亡くなった人の霊が見える』と怖がる人もいるんだけど、私は全く感じないのよね。霊能力の高い人が『それはどの波動をキャッチしているかで、見えるもの感じるものが違うんです』と言ってたけど!?」
とあり、興味深く思いました。
首里城は戦時中、地下にあった日本軍の司令部を攻撃するために、想像を絶する量の爆弾が投下され灰燼に帰した場所でした。現在の朱色の壮麗な建物は戦後の再建ということを、お恥ずかしながら今回の訪問で初めて知りました。2000年に世界遺産に登録されたのは、首里城跡なのだそうです。私にとっての首里城は歴史的知識の乏しさも幸いしてか、爽やかな風が吹く、不吉なものを感じる場所ではありませんでした。
友人のメールが興味深かったのは、ずっと昔の香港時代の話を思い出したからです。1997年の中国返還の4年前、香港のオフィス街アドミラルティ(金鐘)にリッツカールトンがオープンしました。当時は6つ星ホテルと自称し、豪華さを喧伝していました。しかし、建設されたビクトリア湾に臨む場所は、香港人なら知らぬ者がいないほど風水の悪い場所でした。そこは第二次大戦中、日本軍の処刑場だったというのです。
(アドミラルティの高層ビルには
角がない、悪い気を流すための
「風水対策」が施されたビルがい
くつかあります。ずっとこの辺の
ビルで働いてたんですけど)
ホテルに再開発される前は風水とは無縁そうなマレーシア系銀行マラヤンバンキングのビルでした。ビルの上には横顔の虎が吼える古風なロゴの看板が掲げられていました。しかし、アドミラルティの海岸線ではほとんど最後の一等地となると、中国返還を前に未曾有の好景気が見込まれる中、開発業者が放っておく訳がありませんでした。最終的に香港の新興デベロッパーが高級ホテル開発に乗り出しました。
再開発を知ったとき、
「いくら香港人でもカネには勝てないのか~」
と思いました。コストとの競争である一等地の開発は突貫工事であっという間に進むものなのに、リッツカールトンの建設は難航しました。そのうち、日系大手ゼネコンが工事を途中から請け負い、たまたま知り合いがいたので後から話の経緯を知りました。工事が進まないのに業を煮やした開発業者に泣きつかれ、建設業者としては3社目にしてトラブル続きの末に、何とか完成させたということでした。
そんなある日、懇意にしていたタイ人の取引先が出張で香港にやって来ることになりました。
「ホテルはリッツカールトンにしたの。香港には何度も行ってるからどのホテルも泊まったことがあるからね。みことのオフィスにも近そうじゃない?」
と電話をくれました。当時は毎朝彼女と電話で話していたので、出張に来てくれたからといって特にビジネストークがあるわけでもなく、世間話ついでに、
「リッツカールトンはどう?」
と聞いてみました。
すると、
「なんなの、あのホテルは?」
と言うではないですか話を聞くと、チェックインをして部屋に上がるとき、食事のために下に降りるとき、また部屋に戻るときと、夜だったこともありエレベーターには彼女しか乗っていませんでした。
「でも、大勢乗ってるのよ。」
その一言に全身鳥肌が立ちました。
「見えないんだけど、人がたくさん乗ってるのがわかったわ。なんなの、あのホテルは?」
と再び聞いてきたので、タイ人であっても中華系の血を引く人であることを頭の隅に置きつつ、よく知る彼女の性格とさらに見上げた肝っ玉に見込んで、風水の由来や工事が遅れに遅れ、最後に仕上げたゼネコンもトラブル続きで大変な苦労の末に完成させたことを話しました。
「どうりで!」
「どの波動をキャッチしているか」という言葉に、ふとあの時の天晴れな彼女を思い出したのです。
昨年末にメルマガの5回連載で取り上げたアメリカ人サイキック(霊能者)シルビア・ブラウン氏は、その著書「スピリチュアル・ノート」の中で、"あちら側"の定義として、
「いま、ここに、この世界に重なるようにしてある、違う次元なのです。だいたい、地面から90センチぐらい上がったところにあります」
と記しています。初めてこれを目にしたときは90cmという具体性にハっとし、
「日本のお化けに足がないのはこのせいか!」
と納得しました。その高さだと浮いて見えるのでしょう。
ブラウン氏はこの理由を、霊的存在が、
「私たちよりずっと高い波動を持っているために、私たちにはわからない」
とし、
「幽霊や天使を見た人は例外なく、それらが地面から浮いて漂っていたと言います」
とも語っています。霊能者は高い波動でも見分け、聞き分けられる特別な能力を持っているため、霊的存在を知覚でき、彼らと交信できるという訳です。
90cm上の世界を怖いと思えば怖いかもしれませんが、数年前に愛猫2匹を亡くした私にはかえって慰めとなりました。私の腰の辺り、座ったら目線の辺りに愛猫ピッピとチャッチャが付かず離れずにいてくれるのかもしれないと、見えないながらに"あちら側"を思い描くことができ、予想外の近さに親しみと愛着を感じました。ブラウン氏が言うところの「あなたを見守る優しき存在」は、いつもそばにいるのかもしれません。
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編集後記「マヨネーズ」
リッツカールトンは2008年に取り壊され、中国建設銀行のCCBタワーに再開発されました。ホテルとしてはたった15年の短命でした。現在の香港のリッツカールトンは複合施設の102~118階として九龍側にあります。
後日談「ふたこと、みこと」(2022年7月):
これを書いてから8年。夢日記をつけるようになって10年の夢見ストとなり、地上から90cmという立ち位置は一段としっくりくるようになりました。夢の中では人の頭の上から俯瞰するような、地上から2mちょっとぐらいから見ていることが多いのに気づいたからです。机の上にでも立って見ている感覚でしょうか。天井に達することもなく、同じ室内にいる感覚です。最近見た夢の一例。