8月に入りました。
今回は、3連休を取得して登った中部日高連峰の山『カムイエクウチカウシ山(1,979m)』
~『コイカクシュサツナイ岳(1,721m)』の縦走登山を報告します。
―3日間の長い報告になるので、どうぞ画像のみご覧ください―
八ノ沢カールのテン場から眺める御来光
それでは、おなじみToshi版概念図から
いつもの週末は、単独登山の場合、概ね天気予報を頼りに日和見的に山域を選んで登山
しているToshiですが、今週は違います。
今回計画していたのは、奥深い日高の主峰「カムイエクウチカウシ山、通称:カムエク」であること、
それに山中2泊ということで、この週末のため早くから休暇願いを出すような周到さでやってきま
した
あは
8月3日(金)
初日の朝は、4:00に起床しました。
カムイエクウチカウシ山登山口までのアプローチは、今冬、雪崩が原因の道の歪みから、
札内川ダムゲートに車両進入止が掲げられている情報を得ていたので、端から前泊は同ダム
周辺の札内川園地キャンプ場、車中泊と決めていました。
なので、出発日の3日(金)は早朝から、凡そ皆がそうするように途中までの行程をマウンテン
バイクでの山行です
出発時は車もまばら、、途中のヒュッテにもバイクが2台だけ・・
■5:00 札内川ダム出発
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ダムから本来の登山口までは6km弱あります。
重いザックを背負った状態のMバイク乗りは、慣れないとバランスが取れないばかりか、
道中に長短8つもある距離の長いトンネルがすべて節電のため“真っ暗”で足元がおぼつ
きません。
(使用していないトンネルの消灯は当たり前ですね)
~
約1時間半ほどで、札内岳ヒュッテを過ぎます。
2台のバイクから宿泊者はわずか数名でしょうか?
そして、このすぐ先に現れるコイカクシュサツナイ沢出合(コイカク登山口)で、MBを
デポします。(最終日はコイカクシュサツナイ岳からこの沢を下って降りてくるため)
~
■5:40 登山口車止め
暫くわりと整備された林道歩きが続きます。
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ここで、カムエク~コイカクシュサツナイ岳(コイカク)縦走の装備ポイントは、
- 沢靴
- 脛あて
- ヘルメット
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■7:05 七ノ沢出合
ここから、仲ノ沢、八ノ沢との出合いまで札内川のの遡行が続きます。
天気が思ったよりもよく、遡行していく沢の上流に青空も臨めますよ
もともと川好きの僕、濁りのない清水を歩くのはとても気持ちイイ
普段、登山靴を濡らさないように沢筋を歩く場合、渡渉点を常に探しますが、いったん沢靴
で歩くと決めたら、もうその方が楽ちんです。
流れが浅い場合、沢の中を歩く方が右岸、左岸の歩きやすいポイントをどんどん進めます。
(沢靴底のフェルトの信頼性が高い)
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■9:05 八ノ沢出合
八ノ沢出合のテン場には、1張だけのテントが、
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さて、ここからが本格的な沢登り段階です。
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沢の石が岩に変わり、岩伝いの歩行には気を使います。
一歩が大きくなると、重いザックが思いの他左右に振れるからですね。
そして、
暫くすると、沢の上流部にはこの時期でも雪渓があらわれます。
途中、足元ばかりを気にしていると、雪渓が薄くなっている地点で「ハッ!」したり・・・
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■11:40 三股の滝
日高山脈特有の切り立った岸壁が立ちはだかる眼前でヘルメット装着、併せて、沢靴から
登山靴に履き替えて、
三点確保の基本で挑みます
(上空ガスがかかっていて、かなり涼しい)
さて、急な坂を登りつめて源頭に近づくと給水確保です。
果たしてこの夏の時期、八ノ沢カールのテン場には水場はない可能性が高い。
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■13:30 八ノ沢カール
八の沢カールのテン場から眺める1853峰
残念ながら、右に踵を返すと望めるはずのカムエクの容姿はガスで覆われていて確認
できません。
予報が予報なので致し方ありませんね。
途中、岩に刻まれた福岡大の碑
カールには、いたるところに熊の糞と掘りかえしがありますがそんなことをいちいち
考えるとテントを張る場所はない
さ、今日の目標は頂上到達テント設営後は予め装備してきたサブザックを背負って再び高み
を目指して上がります(荷物が軽くなると足にゼンマイの仕掛けができたようにまた動きます)
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しかし、ここから先頂上までは、お見せするに足る画像がありません。
来し方も何ら望めず・・・
~
そうぶつぶつと言いながら、歩けば頂上には着くもの
■15:10 頂上
あまりパッとしない頂上の絵(画像に収めたらすぐ退散)
晴れていれば、北に望めるはずのエサオマン、幌尻岳、戸蔦別岳・・・何も見えません。
■ 15:55 八ノ沢カール
本日の歩行時間(自転車を含め)は11時間、
この日の報告はこれまで。明日、早朝からの天気に一縷の望みを託しましょう
8月4日(土)
2日目は3:30に起床です。
夜中に目にした“万天の星”に実は期待を掛けていました。
テントから顔だすと高曇りながらご覧の景色が広がっているではありませんか
この日のため重くなっても持ち上げてきた(借り物)一眼レフ-EOS-活躍の瞬間
少し朝食に時間をかけ出発が遅くなりました。
この先、少しでも天候の回復を願いつつ、一路、南(コイカク方向)に向かって縦走です
■5:30 八ノ沢カールのテン場出発
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途中、カムエクからのコル付近でお会いした高山(たかやま)からの登山客と途中お話しました。
「僕は、昨日のエサオマンからの縦走を含めて、山中8泊目です。
今朝のこの天気、先週からずぅ~っとこんな調子で、朝の一瞬だけ晴れ間が覗ける程度で
、またすぐに曇ってしまうんですよね。
今日の視界は、今週中では一番良い方です。
このまま晴れることを期待して(お互い)楽しみましょう」
(あの方は八ノ沢を下って本日下山予定とのこと)
~
昨日は臨めなかった『カムイエクウチカウシ山』南東側の雄姿(1853峰から)
八ノ沢カールとのお別れ
八ノ沢カールの反対側(コルを挟んで西側)にあるコイボクカール
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南に向いて縦走を開始し2時間半、まだこの時間は雲海上に日高の峰々が見渡せます。
名の通り、姿が鋭敏な矛先を思わせるピラミッド峰がもうすぐです。
■7:55 ピラミッド峰(1,807m) 山頂から南方を背に・・
一眼レフカメラが活躍したのは、ここまで、
これからは、刻一刻とガスが湧きあがって南西の空を覆い尽くします
EOS望遠で納めた1839峰(1,842m)
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■12:00 1737峰
出発から6時間半を経過して、まだ本日の目標距離の半分(4km弱)しか進んでいません
時速600mってどういうこと?(1分10mだから解りやすい)
何回も何回も転びます。
何度も何度も脛(すね)、膝(ひざ)、腿(もも)に枝が突き刺さります。
この日、ハイマツ樹海を敵に回してToshiが掛けられた柔道技は、小内・大内、小外・大外狩り
はもちろん、脚払い、おおごし・・・
一番ひどいのは、禁じ手の一つ“カニバサミ”です
極めつけ、このハイマツでコンタクトレンズの右眼が持っていかれる。
(目に刺さらなくてむしろ幸運か?メガネはやはり必ず持たなければ・・・)
気温が16℃前後と涼しいことだけが唯一の救いです。
(水は、今回6リットルを背負い、初日、失われた3Lを八ノ沢源頭で補充している
ため、この日も5リットル以上を持ちながらの山行です)
※コイカクから、明日、下り後の沢まで水場はない。
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■13:35 1823峰 (1,826m)
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■15:30 1643峰
1643峰の手前に唯一、テン場がり、そこに到達時点15:00です。
ヤマレコ記録等によると出発時間が1時間早い熟練登山者が15:30にここでテント
泊と決めています。
過信は禁物ですが、上がりも下がりもしない本日のペース時速600mの牛歩でも
ゆっくりじっくりと進めば、このハイマツ樹海を明日朝、朝露にズブ濡れになって歩くこと
をしないで済む方が良いと判断して、コイカクシュサツナイ岳の肩まで進むことに
しました。
切り立った稜線続きの縦走路、
縦走路と言えるような登山道が明確にあるところはほとんど無く、テープもありません。
但し、一定のルールがあるようで、東側に切り立った稜線から西に5mと幅を持たせず
、その国境主稜線域内に登山道を取っているようです(例外も多少ありですが)
~
■17:45 コイカクの肩
この日歩いた総距離7.5km、時間は12時間強、ほぼ一定の時速600mには難行荒行
と言える道程が・・・悲壮感はいらない
気温、13℃はこの時間もう寒いぐらいの天候、ガスの中でこの日の登山を終える。
お疲れ様でした。明日も頑張れ
8月5日(日)
最終日、この日も視界が開けることはありませんでした。
朝から、霧に加えて玉の雨もまばらに交る悪天です。
晴れていれば、ヤオロマップ岳までは・・という思いを振り払い、早々に目標の
「コイカクシュサツナイ岳(1,721m)」に向かいます。
■5:00 コイカクシュサツナイ岳の肩(1,704m)出発
残された「夏尾根の頭」までの藪漕ぎがまだ残っていましたが、昨日に1700mの
肩まで到達していたので、この日最後の・・・との思いでこの憎っくきハイマツとも
オサラバです(エラソー)
~
■5:25 夏尾根の頭
テン場には、一張りのテントもなし
視界が効かないなだらかな道の途中、頭にザックをデポして、500m先のコイカク頂上へ
~
お見せできる景色もなく“北大のレリーフ”頂上証拠写真のみコジンマリと・・・
■5:35 コイカクシュサツナイ岳頂上
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ここからは、夏尾根の頭から取りつきまで一気に下ります。
ただ、この下りは、本州の峰々を経験する登山者も一目置くという北海道三大急登です。
重いザックが左右にバランスが崩れて、体ごと持っていかれたら、さあ大変、
切れ落ちた断崖から沢の源頭まで転げ落ちて行きます。
画像では、なかなか斜度の感覚は伝えきれません。
レンズが曇り、レインスーツ内にかく汗で身体もウェットです
(こんな急登り、夏尾根の意味は「夏にはバテて登れない尾根」ではないのか)
~
■7:25 上二股
ここで、朝食(やはりカップヌードルご飯)
~
標高650m、コイカクシュサツナイ沢へ入ってからは視界も良好になってきました。
ここからは、また沢靴に履き替えて、すたこらサッサと沢を下ります。
毎年繰り返される集中豪雨の爪痕がいたるところに・・・
増水時には遡行困難なゴルジュ帯(この日、巻道を確認できませんでした)
熱を帯びた体には気持ちいい沢の遡行・・・
~
■9:20 コイカクシュサツナイ岳登山口
はい
今回の長い縦走報告はここまでです。
予めコイカクシュサツナイ沢出合に止め置いたマウンテンバイクにまたがり、真っ暗な
トンネルをまた抜けて帰ります。
日曜日の午前、札内川ダムの駐車場には、かなりの車が連なっていました。
■9:50 札内川ダム車止め
本日の歩行時間は4時間50分でした。
お付き合い誠にありがとうございました
最後はログ地図とオマケのピョータンの滝
【備忘録】
- コイカク沢にあるゴルジュの巻き道を次回確認すること。(増水時にも巻ける道か?)
- コイカク沢の砂防ダムの巻き道は右岸にある。
- 2日目、カムエク~コイカクの肩までの縦走最後は、夕暮れ近くになり、気温13℃、
ガスが西から吹き上げてくる中、鼻水が止まらない状況は明らかにハイポサ(低体温症)
の初期症状であったと思われる。重い荷物を降ろしてテント設営開始の瞬間、顎がガクガク
と震えだした。注意したい。 - 視界があまり効かなかったと言いながら、今回、縦走路として「ピラミッド峰(1,807m)」と
「1823峰(1,826m)」を踏んでいる。ノマドが選ぶ北海道200名山には、その両方があげ
られているものの、はて、どういう訳か「コイカクシュサツナイ岳(1,721m)」は入っていない。
流石に車中泊を含めて三泊などという贅沢はそう出来ないとしても、一泊で登れる山は結構あ利ますので、秋までの間に精々励みたいと思います。