■その心がけの結集が、戦いの幕を引き寄せるだろう
(本文)【読売新聞 編集手帳 令和2年(2020年)4月27日より】
◆太宰治が、自身の帰郷を題材に綴った紀行小説『津軽』は、
戦時中に発表された。 南方から戻った知人のT君が登場する。
◆戦地で一番うれしかったことは? 主人公の問いに、お酒が好きだった彼はビールの配給を挙げる。 「途中でコップを唇から離して一息つこうと思ったのですが、どうしてもコップが唇から、離れないのですね」 その心理は戦争の経験がない身にも、わかる気がする。
もっとも周囲を銃弾が飛び交えば、T君とて、飲むのを中断したに違いない。
◆小説から現実に視線を移す。 今どこかで人が混み合えば、戦場の銃弾さながらにウイルスが飛び交う可能性が高まる。そんな場所で、遊興にふける人が絶えないのは、危険が目に見えないからだろう。 パチンコ店にナイトクラブ…地域ごとに様々な事例が報じられてきた。
◆政府が先週、休業要請に応じない事業者に、店名公表などの措置をとるための、指針を通知し、大阪府はパチンコ店の名前を公表した。 クラスター(感染集団)発生への、各地の危機感は強い。
◆見えない危険に目を凝らし、聞こえない音に耳を澄ます。 その心がけの結集が戦いの幕を、引き寄せるだろう。
【動画 】太宰治の小説『津軽』(戦時中)と大阪のパチンコ店(今)
【URL】 https://youtu.be/7Ufn6l6MJxU
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