まるぞう備忘録

無題のドキュメント

サラダ油が認知症を進行させる?後編。

2018-06-01 09:04:32 | まるぞうレシピ

6月1日午前6時頃 徳島県南部から東北方向


6月1日午前8時半頃 埼玉県中央から富士山方向




油の製造過程で本当にヒドロは生成されるのか?

 昨日はヒドロキシノネナールについて考察しました。この記事では略称ヒドロ。リノール酸を高温に晒すと発生します。200℃で5分。185℃で30分。このヒドロがアルツハイマーの原因になる。そのように言われております。

 まず通常の調理では油を200℃以上に加熱することはまずありません。揚げ物は180℃くらいですから。
 そしてもう一つの可能性は溶剤抽出過程です。200℃以上の高温になると言う人がおります。本当でしょうか。

 製油で使われる溶剤はノルマルヘキサンと言います。機械的圧搾では絞りきれなかった滓(かす)でも、このヘキサンに浸すとあら不思議。油成分が滲み出てくるのでありました。その比率99%。
 しかしこのままだと食用になりません。ヘキサンは石油から生まれたベンジンのような薬品ですから。そこでヘキサンを蒸発させる(脱溶剤)必要があります。この時に200℃以上に高温に晒されるというのです。

 しかしヘキサンの沸点は68℃です。つまり油を68℃以上に加熱すると沸騰して気体になるのです。そしてこの過程では効率よくするため減圧して行われるため、実際は68℃以下で気化します。本当に200℃以上まで加熱するのでしょうか。



蒸留は90℃〜130℃(ヒドロが出来ない)らしい。

 では実際の製造過程では何℃くらいの温度で処理されるのでしょうか。ここの数字は各食品メーカーのノウハウでしょうから、なかなか公開されておりません。一つ参考になるのは特許文献です。

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鉄鍋に原料なたね8kgを張り込み、攪拌しつつ直火で加熱し品温を220℃に30分間保つ。

放冷後この焙煎なたねをローラーにより圧扁粉砕したのち、ステンレス製ソックスレー型大型抽出機でn-ヘキサンにより4時間抽出し、ミセラを蒸留缶にとり、大部分のn-ヘキサンを留去し、さらに減圧下に90~100℃で脱溶剤し、粗油3.5kgを得た

特開昭56-32596「食用油脂の製造法」より
https://aburano-hanashi.kuni-naka.com/265

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 この文献だと100℃以下ですね。参考になります。この条件であればヒドロは生成されません。
 また次のような文献もあります。これは食油工場で起きた火災事故のレポートです。
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脱脂大豆製造工程において、脱溶剤機内でノルマルヘキサンが爆発

 この災害は、脱脂大豆製造工程において、脱溶剤機内で爆発が発生したものである。
 大豆油の抽出は、油抽出機内に仕込まれた大豆フレークの中にノルマルヘキサンを拡散させることによって行われていた。油が抽出されたノルマルヘキサンを含んだ大豆滓は、脱脂大豆製造工程の蒸気(10kg/cm2 180℃)により間接加熱されている脱溶剤機内の9層のトレイに送られ、上層から下層に下りて機外に出るが、各トレイでは回転羽で攪拌し、中間層では直接蒸気(5kg/cm2 130℃)が吹き込まれてノルマルヘキサンが除去されていた。

出典:職場のあんぜんサイト
http://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen_pg/SAI_DET.aspx?joho_no=100706

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 おお。知りたかった情報が記載されております。こちらは130℃で蒸留されています。ヘキサンは233℃で発火しますから、あまり高温に出来ないのではないのでしょう。
 もちろん中には200℃以上で蒸留しているメーカーもあるかもしれません。が現時点では全部の溶剤抽出油がヒドロで危険とは断言できないということです。

 このため山崎先生の言うように「サラダ油=アルツハイマー」「植物油脂=アルツハイマー」というのは極論に思えます。ですから即サラダ油をゴミ箱に。というのはもうちょっと待って頂きたいと思います。
 


問題はリノール酸油の摂りすぎ。

 今後、各油脂製品におけるヒドロの油脂成分などが公開されればまた考察を行いたいと思います。が、それでも家庭では「抱っこゴメン(大豆油・コーン油・胡麻油・綿実油)」は出来るだけ控えたいと思います。胡麻油は風味付けの調味料としては良いと思いますが、大量の揚げ油としては。。。

 その理由は現代人は大量のリノール酸を摂取しすぎるのが問題だからであります。大量のリノール酸は体内の炎症を悪化させると言われています。
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リノール酸の過度の摂取はアレルギーを悪化させたり、大腸癌などのリスクを高める。
最近の研究結果では、日常で摂取する飽和脂肪酸の一部(15%程度)をリノール酸に置き換えた場合、全死因死亡、心血管死亡、冠疾患死亡リスクが上昇する可能性が指摘されている[4]。
(Wikipedia「リノール酸」より)

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 現代日本人が摂取するリノール酸は年4kgと言われています。だいたいこの半分くらいが良いバランスと言われています。

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(現在の日本の食環境では)摂取脂肪酸中のリノール酸の占める 割合は米国よりはるかに大きい。これら各種脂肪酸の摂 取量の差と起炎性因子(ウィルス,菌,アスベスト油脂の微量有害因子など)の差が、臓器別癌死亡率の日米の差に影響している主要な因子になっていると考える.。
現在の日本の n - 3 系脂肪酸の摂取量を維持しながらリノール酸の摂取を半減することが,米国型癌を始めアレ ルギー過敏症,心臓・脳血管系疾患を予防する上でも,きわめて重要である。

出典:リノール酸摂りすぎによる炎症性疾患としての癌(名古屋市立大学薬学研究科 奥山 治美 )
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jems/25/2/25_2_147/_pdf

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 とにかく日本人はリノール酸摂りすぎ。 n - 3 系脂肪酸(オメガ3のこと。亜麻仁油や荏胡麻油)は今のまま維持して、リノール酸の摂取量を半分にすることが望ましい。この論文ではそう述べられています。

 外食や、あるいはマヨネーズを含む加工食品にはこのリノール酸がたっぷり含まれているでしょう。から、せめて家庭の料理においては、リノール酸を控えたいと思うのであります。



体内のコレステロールは認知症予防や老化防止のはたらきをする。

 ではなぜ日本人がこんなにリノール酸好きになったのでしょうか。それはコレステロール対策という健康神話のためであります。
 油の摂りすぎは身体に悪い。コレステロールが増えて血液ドロドロになる。そのように信じている人は多いことでしょう。
 このコレステロールを低減するリノール酸。身体に良い油としてリノール酸が脚光を浴びたのでした。

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コレステロールはなぜ「悪」から「必須」になったのか

コレステロールの取り過ぎが健康に悪いと言われたのは、1960年ぐらいだからすでに50年以上が経っている。当時はコレステロールという名前自体が珍しかったが、食事が洋風になり、動物性の油を採るようになったので、注意が必要だというまことしやかな話が始まり、脂身の肉、コレステロールを多く含む卵などを注意するようになった。

それ以後、多くの家庭では脂身の多い豚肉は避け、鶏肉を食べるときには「ヘルシーなササミをどう調理したら美味しく食べられるか」などを工夫し始めた。ちょっと油の多いトンカツやサーロインステーキなどを食べようとすると「コレステロールが増えるからダメ」と言われたものだ。

一方、コレステロールの研究が進んでくると、1990年頃から、それまで血管に血栓などを作ると考えられていたコレステロールが、実は損傷した血管を修復することがわかり、2種類のコレステロールを「善玉、悪玉」(NHKの造語といわれている)に分けて報道や説明が行われた。

しかし、21世紀に入ると、コレステロールは体内でほとんど合成し(体内合成率は70%といわれ、特に長期の場合は食事とは無関係)、食事の種類を変えても体内のコレステロールは変化がないこと、コレステロールが減るとがんや認知症になる可能性が示唆され、「コレステロールは悪」から「コレステロールは必須」に変わっていった。

この背景には、第1に欧米の検査結果やレベルの低い動物実験の結果を鵜呑みにした、最初のコレステロール排斥が間違っていたのではないかと疑われ、第2に、それが薬の販売の利権とつながっていること、さらには高齢化に伴い認知症などの増大が懸念され、その1つの原因として「低コレステロール」があるのではないかとも考えられ始めたことなどがあげられる。

出典:武田邦彦メールマガジン『テレビが伝えない真実』
http://www.mag2.com/p/news/18596/2

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 コレステロールが認知症の予防に役に立つ。これが最近の研究でわかってきたことです。

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コレステロール値を気にしすぎない

もうひとつ、肉食がよい効果をもたらす理由は、前章でも少し述べたように、人にとって大切な男性ホルモン、女性ホルモンの原料が肉に含まれるコレステロールであることです。

男性ホルモンのテストステロン、女性ホルモンのエストロゲンはコレステロールから作られます。エストロゲンは骨粗鬆症の予防になり、またアルツハイマー型認知症の予防にも役立ちそうだということがわかっています。
・・・
それになにしろ、コレステロールは細胞膜の原料でもあるので、これが不足すると細胞の再生がうまくいかなくなり、老化が促進されたり、免疫機能が衰えたりします。
・・・
何事も過ぎたるは及ばざるがごとしで、実はコレステロール値もものすごく高くなければ心筋梗塞などのリスクを高めないのだという調査研究もあります。
東京都小金井市で行われた70歳老人の生存率の追跡調査では、コレステロール値がやや高め(男性190~219㎎/dl、女性229~249㎎/dl)とされる人が最も生存曲線が良好で、低かった人(男性169㎎/dl、女性194㎎/dl以下)が最も生存曲線が悪いという結果が出ました。低い人よりやや高い人のほうが長生きしているのです。

これらの研究結果から、日本動脈硬化学会も1997年から高コレステロール血症の基準値を変更し、「220㎎/dl以上」から「240㎎/dl以上」に引き上げています。

出典:コレステロールはアルツハイマー型認知症の予防にも有効 和田秀樹
https://mainichigahakken.net/health/article/post-303.php

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 コレステロール値240㎎/dl以上の人はお医者さんの判断が必要です。がそれ以下であれば、コレステロールはむしろ認知症予防、老化防止の役に立つのです。そういえば最近の元気な高齢者は本当に良くお肉を食べてます。

 ほとんどの人はコレステロールは無理に減らす必要はなかった。なのにコレステロールを減らしましょう。といってアメリカ人の倍のリノール酸油を摂る。その結果体内の対炎症抵抗を弱めて癌やアレルギーにかかりやすくなる。ということになっているのです。

 ふうむ。



現時点でのまとめ。

・市販の溶剤抽出リノール酸油にどのくらいのヒドロが含まれているかは今後の研究や情報開示を待つ。

・ただ日本人はリノール酸油を摂りすぎ。半分に減らすぐらいで丁度良い。(ただし調味料としての胡麻油は許容範囲と考えます)

・240㎎/dl以下であればコレステロールは減らす必要は全くない。逆に認知症予防や老化防止に必要。


そして昨日の記事から

・キャノーラ油の危険性もまだこれからの研究待ち。だが家庭で使うのは控えた方がいいかも。どうせ外食揚げ物などで大量に摂らされるであろうから。バランスの意味で。

・パーム油の危険性も明確に主張できる材料は現在はない。市販の加工食品全てに疑心暗鬼になる方がかえって身体に悪いかも。家庭ではできるだけ安全な食材で調理は心がけるとしても、現代ではある程度加工食品に頼るのも仕方ないと思います。


そして特に記事には書きませんでしたが、

・トランス脂肪酸を多く含むマーガリンやショートニングそしてその加工食品は避けること。あのジャンキー食文化(失礼)のアメリカ人でさえ危険と言っているぐらいなんだから本当に身体に悪いのだろうと思います。

・オメガ3(亜麻仁油や荏胡麻油)は本当に身体に良いらしい。お値段は高いですができるだけ摂取したいです。




以上このシリーズ終わり。私もいろいろ勉強になりました。



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