隣の席に、耳の遠そうな老夫婦が居られた。
一緒にお茶を飲みにくるくらいなんだから、
普通に仲良しのご夫婦なんだと思うんだけど、
奥様はなんだか声高にお話しておられる。
女「なあ、ほんで、今日返事せなあかんけど、
あの検査、どーするん?」
男「まぁ、お前の言うてた通りでいいよ」
女「そんな無責任な!」
男(にこにこして妻の顔を見ている)
女「なぁ、聞いてるん?(イライラ)」
男 (にこにこ)
女「自分の思うこと、ちゃんと伝えてくれんとわからんゆーてんねん」
男「いいよ」
女「あんたのゆーこと、ちょっともわからんわ。
何がいいの? 具体的にどーしたいのよ?」
私がいっつもあんたの言いたいこと代わりにゆーたってるけど、
たまには自分でゆーて!(あ、キレた)」
男(にこにこ)
女「もう、私、知らんでってゆーてんねん。なぁ、聞いてる?」
男(にこにこ)
女「聞こえてるん? 聞こえてないん?
聞こえてるけど知らんふりしてるん? どっち?
これから、自分でちゃんと伝えてや。
ほんまわからん人や! 自分のことやんか(畳み掛ける)」
男(にこにこ)
ダンナ様は、聞こえてるんだか、どうなんだか、
奥様の口調がキツくなっていくのに頓着せず、
始終にこにこして奥様を見ている。
ついに奥様、全面的にキレました。
女「もう私は知りません。センセにも何も言いません。
自己責任でお願いしますっ!」
男「ああ」(にこにこ)
ああ、もう結構なお年なのに。
いたわり合って、支え合って生きていけばいいのに。
あちこちガタが来る年齢になっても、
自己責任だと怒鳴り声を投げつけるなんて。
こういう年の重ね方は辛いなぁ〜。
その後、だんだん奥様の口数が減り、ついに黙り、
あさっての方向を向いて、無言でコーヒーをすする。
ダンナ様はそんな奥様を、
相変わらず、にこにこ眺めておられる。
しばらくしたら、娘さんらしき人が来て、
お二人に向かって一言二言。
普通の声だから、娘さんの話は聞こえてこなかったけれど、
ダンナ様、普通に受け答えしておられる様子。
あ、聞こえてたんだ(^^)。
聞こえてないから返事しないんじゃなくて、
最初に「お前のいいようにしていいよ」と言った、
それ以上でもそれ以下でもなかったんだ。
「全面的にお前を受け入れてるよ」、
って表現し続けて、にこにこしているダンナ様の前で、
「何を言っても安心だ」という前提で、
奥様がダンナ様も一緒に不安がって欲しくて、
自分の不安を言いつのってたんだ。
相手が気に入るような事ばっかり先回りして言うような
青春の頃のキリキリ綱渡りな恋愛に比べたら、
なんと安心感のある老夫婦のやりとり。
どこまで受け入れて、甘えて、わかりあってるねーん。
すごいすごい。
お二人で積み上げて来られた歴史を
垣間見せていただきました。
いや、覗き趣味はないけどさー。
奥様の声が大きすぎて、
自分のことに全然集中できなかったんだよー。
さてさて。
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