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新聞より_「カタカナ語の氾濫について」の記事

2012年08月29日 09時29分47秒 | 学習・研究支援
氾濫する「カタカナ語」 日本の株式市場は植民地か
2012.8.29 08:23
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 「カタカナ語は控えて」。
読売新聞のWebサイトに数年前、こんな見出しの記事が載った。
宮崎県議会で当時の県知事が議会答弁でポテンシャル(潜在能力)、モチベーション(動機付け)といったカタカナ語を乱発。
これに不満を募らせた某議員が県知事に冒頭の見出しの注文を付けたという趣旨の記事だった。
(フジサンケイビジネスアイ)

 株式市場で今、「カタカタ語は控えて」などといったら笑われる。
市場はカタカナ語で溢(あふ)れ返る。セル・ホールド・バイ、トレーディング、センチメント…。
初歩の市場カタカナ語である。
アンダー・パフォーム、アウト・パフォーム、ポジティブ・サプライズ、リスクオン、リスクオフ…。
これらは中級語か。

 業績モメント、ポジティブサイドのカタリスト、コンセンサス・レーティング、フェアバリュー、テールリスク…。
この段階になるともうお手上げだ。
PBR(株価純資産倍率)、ROE(株主資本利益率)、DCF(ディスカウントキャッシュフロー)法といった難解な英文字略語の市場カタカナ語も横行する。

 日本の市場の主役が外国人投資家になって久しい。
外国法人等の日本株の保有比率は26.7%(2012年3月末、東証調べ。以下同)。
国内事業法人の21.2%、個人等の20.3%を上回る。売買高は約3分の2を外国人投資家で占める。一時より数は減ったが、日本に拠点を構える外国証券は多い。
所属アナリストらが乱発するカタカナ語がいつの間にか共通語になった。
日常会話にまで英語を使う風潮も強まった。

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 日本の株式市場にカタカナ語が溢れているのは国際化の進展ともいえる。
1996年10月、橋本龍太郎内閣当時に宣言された「フリー、フェア、グローバル」の日本版金融ビッグバンの帰結でもある。
半面、日本の株式市場が外国勢の支配下にある表れとの見方もできる。
直截に言えば、カネの世界の植民地化現象と映る。
第二次世界大戦後の廃墟(はいきょ)の街で簡易な英会話本が飛ぶように売れ、カタカナ語が氾濫(はんらん)した風景に似る。

 辛口コラムニスト、山本夏彦(故人)の著書に面白い記述がある。
「私たちはある国に住むのではない。ある国語に住むのだ。祖国とは国語だ」(『死ぬの大好き(新潮文庫)』)。
「横文字や片カナ語がいけないのはこれが全盛をきわめると、他がことごとく死にたえるからである」(『その時がきた(同)』)とも語る。

 株式市場でのカタカナ語の登場頻度の多少は一種のモノサシとみている。
頻度が多ければ外国人投資家勢の影響力が強く、頻度が少なければ国内機関・個人投資家勢の影響力が挽回していることを示す。竹島と独島、尖閣諸島と釣魚島及其附属島嶼。
領土の呼称の違いに民族意識が掻(か)き立てられるのは当然だが、市場でのカタカナ語の氾濫にももっと眼が向けられていい。
(経済ジャーナリスト 加藤隆一)

産経新聞のweb
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120829/fnc12082908250000-n1.htmより