第6話-12

　ＬＯＥに電話をしてきたのは運送会社の社員で、タンクローリーのドライバーとだけ名乗ったそうだが、例の伝言の時は運転中で、ガソリンスタンドを１０軒回って始末書を書いてから改めると言っていたらしい。「俺、絶対怒られるけど、これだけは伝えないといけないんだ。とにかく急いで！」

　「彼はきっとまた電話してきます。私は彼があまり怒られないことを祈ってます」と、電話を受けたベテラン交換手は言った。
　まじめなドライバーは田村に巻き込まれて、貴重な時間を奪われて運送業務に支障をきたしたことの責任を取ってから、また電話をしてくるだろう。彼からの伝言で藍原達がいそうな場所はだいたいどの辺か分かったし、村崎と赤沢がその地点に向かっている。
　ドライバーがどの会社に属していてどの辺りを走っているかは調べればある程度分かるが、黒木はＬＯＥからの電話を待つことにした。今頃、バイクの２人は高速を下りて、現場付近を走っているだろう。重機を所有する会社には協力を要請した。電話があれば、現場から一番近い会社が協力してくれるそうだ。

　黒木は電話の前に座っている。黄と青山は立ったまま電話を見つめている。
　「連絡が入ったら忙しくなるぞ。少し体を休めておくんだ」
　黒木は言った。２人とも黙ったまま椅子に座った。