おばあさんは細い指で村崎の肩につかまりながら、遠くにいる息子の話をした。もう大学生の孫には何年も会っていないそうだ。俺も親にはずいぶん会ってないなと考えながら、村崎はおばあさんが風景を楽しめるように、ゆっくり歩道橋を渡った。
歩道橋の階段を下り終えて荷物とおばあさんを下ろしたところで、水色のスーツの女性に話し掛けられた。
「息子さん?お孫さんですか?」
顔を上げてみると、男がカメラを二人に向けている。おばあさんは恥ずかしそうに顔を隠した。
「おばちゃんが照れてるから、カメラやめて下さい。それに、俺、急ぐし」
村崎はおばあさんに手を振って、車に走った。「ちょっと、お話だけ聞かせて下さい」
女性の声が追いかけてくる。
「ここ、歩道橋より信号の方がいいって、テレビで言っておいて」
おばあさんが歩き出した。車に乗る村崎の背中をカメラが追う。
第2話へつづく
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歩道橋の階段を下り終えて荷物とおばあさんを下ろしたところで、水色のスーツの女性に話し掛けられた。
「息子さん?お孫さんですか?」
顔を上げてみると、男がカメラを二人に向けている。おばあさんは恥ずかしそうに顔を隠した。
「おばちゃんが照れてるから、カメラやめて下さい。それに、俺、急ぐし」
村崎はおばあさんに手を振って、車に走った。「ちょっと、お話だけ聞かせて下さい」
女性の声が追いかけてくる。
「ここ、歩道橋より信号の方がいいって、テレビで言っておいて」
おばあさんが歩き出した。車に乗る村崎の背中をカメラが追う。
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