「おじいちゃんとおばあちゃんは学校が一緒だったんだね」
「こいつはほんと全くしゃべらない奴だったな」
そんな風に昔を懐かしんでいうとおじいちゃん。するとおばあちゃんが対抗するようにこういう。。
「貴方はスカート捲り野郎って女子に毛嫌いされてましたけどね。そのせいで私の事、押し付けられてたしゃないですか」
「お、おい。孫の前でなんてことを!? 小頭ちゃん違うからの。じいじは紳士的じゃったからの」
小頭に嫌われるのはとっても嫌なんだろう、おじいちゃんはかなり必死に弁解してる。てかこの話はお父さんも初めて聞いたのか、寧ろ小頭よりもお父さんの方が「親父……」とか言って頭を抱えてる。小頭は別にそこまで気にしてはない。なにせ小学生なんてそんなものだろう。むしろ小学生時代に思いをはせて『子供だったな』とか思う位だ。もちろんいまでも小頭は紛れもなく子供なんだが、彼女にとっては着実に大人へと近づいていってると思ってるから小学生時代さえ遠くに感じているんだろう。
「そんな言い訳してどうします。小頭、おじいちゃんは悪い子だったんですよ」
「違うのじゃああああ!」
よっぽど小頭には良いじいじでいたいようだ。この反応からしてもしも小頭がお遊びでも「じいじなんて嫌い」――とか言った日には魂が抜けたようになるのではないだろうか?
「でもほら、小学生なんてそんなものですよ。私の父も……うん、きっとスカートめくりとかやってましたよ」
なんとかお母さんがフォローを入れようと頑張ってる。けどそれはフォローになってるか? という感じだ。それにそこら辺フォローしても……だ。
「おばあちゃんの事押し付けられてたってのは?」
「そ、それじゃ!」
なんか光明を見出した……みたいにおじいちゃんが吠えた。一体何が「それじゃ!」なのかとりあえず話を聞く小頭。
「そうなのじゃよ。こいつは出身の性で一人だっだからの。儂がいの一番にかまってやってたんだ」
「押し付けられてだけ……でしょう? それに貴方、なんのデリカシーもなかったですよ。すぐに暗いとか、目が怖いとか、言い方きついとか言ってきてました」
「それは本当じゃろうが!? それに儂はお前にアドバイスをしておったんじゃ」
「男子と女子の扱いの差が同じなのがダメなんですよ。すぐに叩いたり体を障るのもよくないですよ」
「ヘンタイみたいに言うな。そんな目的でやってたわけじゃないわ!?」
「ええースカートめくりするような人の言い分は信じれませんね」
こんな風にやいやいと言い合う二人を小頭は初めて見た。だっていつもは「おい」とおじいちゃんが言えばおばあちゃんは「はい」といって求めてる物を出す……という風な……まさに夫婦の阿吽の呼吸で会話してるからだ。
こんな風に普通に言い合ったりするのが小頭には新鮮な発見だった。