「えっと……」
小頭は困惑してた。だって自転車でやってきたのは昨日までの幾代とは違ったからだ。小頭が覚えてる昨日までの幾代は健康的に焼けた小麦色の肌が眩しい美少女だ。それにこんな大人っぽい体ではなかった。いや、もちろん幾代も高校生らしい瑞々しい体だったと思う。
けどこの眼の前の人……いや鬼はやっぱり素晴らしい引き締まった体をしてる。引き締まってるのに、やけに突き出してるある部分。二つの丘。なのに腰はやけに細い。そして腰はかなりがっしりとしてる。まさに世にいうボン・キュ・ボン! というやつだろう。
確かに幾代も美少女ではあったけど、ここまで「女」を全面に出してるように体ではなかった。まだ少女……ではあった。けど眼の前の女はまさに「女」なんだ。女の色気というのがムンムンしてるといっていいだろう。
「遅いぞ」
(喋れるじゃん)
小頭は一番にそれを思った。兄に成り代わった鬼がそう喋ったのだ。今までは何も言ってもこの鬼は小頭へは言葉を返さなかった。でもそれでもお母さんも何も不思議におもってなかった。
だからそういうものなんだろう……と勝手に納得してた。それにこいつは鬼……喋れなくても納得できたというのも大きい。なのに……だ。
「ごめんごめん。てかそっちが早いんじゃない? 私は時間通りにきたつもりだけど?」
「こっちは土地勘が無いんだぞ? いうなればお客様なわけだ。なら地元民のお前が先にいておもてなししてくれるのが普通だろ?」
「もう別にお客って感じでも無いでしょ? ねえ小頭ちゃん」
「え? あっはい」
「もう、どうしたの? 私達すっかり仲良くなったじゃーん!」
そう言って何故か鬼の女は小頭の脇に手を入れて高い高いしてくる。ちょっと!? こっちはスカートなんですけど! ――と慌てる小頭。
「やめ! やめて! 見えちゃうから!!」
「むふふふ、今日はどの色かな?」
そう言って鬼の女はなんのためらいもなく持ち上げた小頭のスカートに頭を突っ込んできた。それを冷めた目で見てる鬼。いやお兄ちゃんの役目をしてるのなら止めろよ――と小頭は思った。
「はあはあ……」
「うん、今日もかわいいね」
何やら満足したような鬼女。それとは反対にぐったりしてる小頭。あれからも色々とかなり堪能……されてしまったようだ。
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