UENOUTAのお絵描きとかブログ

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ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第四十話part1

2025-03-22 18:53:12 | 日記
(あれは……)
 
 後ろ姿でわかってしまう。鬼男の記憶が呼び起されて、その後ろ姿の少女との記憶が溢れる。
 
「ふふ、兄さま――はここにいます」
 
 チリン……彼女の白い髪には片側に小さな鈴が結ばれてた。それは証で……彼女が普段から身に着けておかないといけないもの。動くたびに「チリンチリン」となるから、「うるしゃーい」といってたこともあった……と鬼男は一瞬で思い出してた。
 
 目の前の鬼男がその存在を確かめるように白い髪の少女を抱きしめる。強くじゃない。彼女の事を壊さないように、あくまでも優しくだ。二人には強い絆……が感じられる。そしてそれからの光景が鬼男には見えた。成長していく彼女を見守る鬼男。
 仕事から帰ると彼女の相手をしたり、勉強を見たり。休みの日には遠出をしたり……いつの間にか彼女は大きく成って、白無垢の姿が目に映る。彼女は正面でその姿を見せてくれてる。思わず鬼男の目から一筋の静がこぼれた。
 
 けどそこで彼は自分の頬を殴り飛ばした。ふらついて……よろける。けどそれに彼女が反応することはない。それを見て……鬼男は確信した。
 
「こんなことは……こんな未来はない」
 
 そうつぶやく。目の前にはまだ、白無垢の彼女がいる。今日はいつもよりも頭に大量の鈴をつけてる。さっきまでその顔も鮮明にみえてた。でも今は……その顔が見えない。靄がかかったようになってる。でも彼女はいう。
 
「ほら、兄さまみて。私綺麗かな?」
 
 あったかもしれない未来。でも、もうありえない未来。自分の中の願望……でもそれを勝手にのぞかれてる嫌悪感。拳を握った鬼男の腕に赤い文字が浮かぶ。それが拳から腕……肩に行き、そして胸にも広がっていく。
 怒りに呼応してるようだった。そしてその角がいつもよりも大きく、そして長くのびる。輝く角からバリバリとエネルギーが放出される。
 そしてそのまま怒りをぶつけるように床に向かって拳を叩きつける。
 
「ぬあああああああああああああああああああああああ!!」
 
 その瞬間、目の前の世界が崩壊した。そして感じる腕にある重み。ハッとする鬼男の腕には小頭が抱かれてた。そして彼女はスヤスヤと寝てる。しかもとても幸せそうな顔をしてる。
 
「むにゃむにゃ……お兄ちゃんのバカ」
 
 そんな寝言を彼女は言ってた。その寝言を見て安心を一瞬覚える鬼男。でも次の瞬間、頭がこう訴えてくる
 
『違うだろ!?』
 
 ――と。
 

転生したらロボットのなかだった(ただし出ることはできません)盤上の迷宮航路にご招待 203

2025-03-22 18:48:16 | 日記
 そうなのだ。この場所にいた目玉たち。最初に私達と交戦した目玉たちはどうやら元々はメタリファーと交信を可能にするための観測機だったみたいだ。今の様にバトルったり、船の掃除をしたり……というのは長年の稼働で起きた進化? みたな? そんな感じらしい。目玉の最初の役目はメタリファーとの交信を可能にするため、メタリファーの発信する時空間の変化……それを観測分析する為のデバイスみたい? そんな感じだったみたい。
 
 それはある程度上手くいったようだ。どうやら最初の目玉は今の大きなサイズ感じゃなく、それこそ手のひらサイズだったみたいだね。それが増えていく船の管理に伴って大きくなっていったみたいな? もちろん最初は材料を節約してた……という理由もあるんだろう。
 でもメタリファーが時空間のいたるところから船を持ってきて積み上げていくから、彼もこれなら材料を惜しげもなく使うことができると思ったんだろう。わざわざ大元である自身の船を改造して目玉の生産設備までも作ってしまったのもそのせい。
 
 そしてどうやら目玉のおかげで、メタリファーとの交信はそこそこ上手くいったみたい。それならそこで目的だけじゃなく、その理由までも聞いてくれたらよかったのに、彼はただメタリファーの新たな存在として転生……という部分だけで納得したみたいだ。
 きっと彼はそれが「面白い」とでも思ったんだろう。メタリファーという概念を新たな命として世界に生誕させる。そんなことは簡単に出来ることじゃない。命と命を賭けわせて命を作る……とかじゃない。
 交尾をさせるとかとはわけが違うのだ。そもそもメタリファーには交尾する相手なんていないだろう。複数メタリファーがいるのかもわかりはしない。そもそもがメタリファーが複数いたとしても、それは別のメタリファーなのか……それともメタリファーは全てが同じような考えというか? 意思というか? 一つに統一されてたりするかもしれない。
 まあ何もわかりはしないんだが……たがら彼は目の前のこのメタリファーだけを考えた。そしてもしもメタリファーか転生したら時空間にどんな影響があるのか? とかはとりあえず置いておいたみたいだ。
 彼はそもそもが専門が生命とか、命とか……そっちに特化してるみたい。だからこそ、概念に命を与える……それにめり込んでしまった。そんな美味しい話はなかったのだ。だから理由なんてどうでもよかった。
 
 でもちょくちょく意思疎通はしてたみたいだから……それを取り出して私がメタリファーの想いを推測するしかない。運命がぶつかり合ってるからきっとその中にはメタリファーが望む未来もあるだろう。
 その未来にどうにかして、誘導できれば、ユアの卵から誕生出来る筈。このままだと私達だってこの場所から出れないしね。
 

ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第三十九話part5

2025-03-19 22:40:52 | 日記
「もうー何するんだよー! ぷぎゃ!?」
「だからお前なぁ! そんな乱暴――べば!?」
「もう怒ったぞー!! らばぁあああああああ!?」
 
 あれから鬼男を小さくしたような小鬼は何回も小頭達の前に現れる。鬼男が殴ったダメージはなくなってるようだ。でもどうやら鬼男はそれを予想してたのか、ただ淡々と自分の幼少期と思しき姿の子供が現れたとしてもその度に鬼男は拳をめり込ませて撃退してくれてた。
 
(なにが目的だ?)
 
 そんな風に鬼男は考えてる。自分の幼少期の姿を模して、出てくることになんの意味があるのか? そう思ってたんだ。
 
「あの姿って……」
「気にするな」
 
 小頭にはそういう。気にしてはいけない。ああいう子供のような小さな姿で現れる存在はこちらの心の動揺を狙ってるというのが定石だ。相手は狡猾にこっちの弱点を突こうとしてる。
 ただそれだけ。それが経験則としてわかってるから、鬼男は容赦なんてかけないし、躊躇いだって一瞬だってしない。なにせ鬼男が躊躇うことで危険になるのは鬼男ではない。
 その被害を一番に被るのはなんの力も持たない小頭だ。鬼男はそれを一番わかってる。だから鬼男の行動は小頭を守るためのそれなんだ。
 でもだからって何回も出てくることを無視することもできない。なにせあれはきっと本体じゃない。だから殴ってもそこまで手ごたえはなかった。
 だからって放置できないから出てきたらすぐに追い払うために殴るが、それでこの事態が解決するわけじゃない……というのも鬼男にはわかってる。
 
「つっ……」
「大丈……ウッ……」
 
 鬼男は頭を振るう。小頭もその額を抑えてる。さっきから二人には片頭痛のようなことがたまに起こってる。
 
(いや、これは俺があれを殴った後に起こってる?)
 
 ふと、鬼男はそう思った。そして再び聞こえてくる足音。「またか」――と思いつつ油断はしない。けど次に現れたのは……子供の鬼男はじゃなかった。足音は子供のそれだったが、靄の奥からあられたのはボロボロの自分。今よりもいくらか若いが……それは確かに鬼男だった。それにちゃんと服を着てる。服もボロボロだ。そして首元に残った勲章の数。
 それがいつのころの自分なのか鬼男に教えてくる。そしてこれがただの彼の動揺を誘うためだけの苦し紛れなんかじゃなく、その心を見透かしたうえでの姿なのがわかる。
 でも……鬼男は拳に迷わず力を込めた。纏わされない。その気持ちがちゃんとある。けど今度の大きく成ったボロボロの鬼男は彼らをみてるようで……みてないような……
 
 よろよろと歩いて、そして膝を力なくつく。けどその顔は小頭達を見て微笑んでる。それでも鬼男は惑わされずに拳を振るう――
 
「よかった……助けられて」
 
 ――そんな言葉と共に目の前の自分が涙を流す。鬼男の拳は偽物の目の前で止まった。その時だ。
 
「お兄い!」
 
 そんな言葉共に、腕の中の小頭が飛び出す。いやそれは小頭のはずだった。でも……鬼男の視界に揺れた髪の色は白かった。そしてその後ろ姿は……明らかに小頭じゃない。
 

転生したらロボットのなかだった(ただし出ることはできません)盤上の迷宮航路にご招待 202

2025-03-19 22:30:26 | 日記
 彼が初めてメタリファーと相互通信……つまりは思考をやり取りできたのは彼の研究の成果……みたいだ。どうやら最初はこの空間はこんなんではなかった……よう。
 それはつまりこんな船がどこまでも積み重なってるような空間じゃなかった……ということだ。ただ何もない空間だった。けど一度彼の円盤を受け入れると、時々メタリファーは船を持ってくるようになったみたいだ。
 そこには誰もいない船もあったし、まだ人がいる船もあった。そんな船の人達と交流したり、時には敵対したり、なんか色々とあったみたいな記憶はある。
 けどそこら辺は今は関係ないだろう。問題はメタリファーと彼のやり取り。彼の研究でどうやらメタリファーとわずかながらでも意思疎通ができるようになった。
 こっちの言葉が通じてるのかはわからないが、メタリファーが船をこの空間に持ってくるのは彼にとって都合がよかった。だからきっと彼はメタリファーが彼の意思を汲んでるのだと考えた。ならばずっと夢中でここでも研究してたわけだけど、ふとなんでメタリファーはこんなことをするのか? とかもっとこっちの要望を聞いてくれないだろうか? とか実は図々しい事を考えてた生前の彼である。
 なので色々とメタリファーがここにいる時にはずっと色々な装置でデータを取ってたみたいだ。でも何かデータに出るような変化はメタリファーにはなかった。でも時折船を見てることがある。無数にある船ではない。
 この大きな円盤だ。そしてその先の『彼』を見てるのではないか? と思ってた。何かを伝えようとしてる……そう彼も感じてたのかもしれない。
 
「君の言葉を受け取れる手段はこちらにはあまりにも乏しい。すまないな。だが、俺は諦めない。それだけが俺の取柄だからな」
 
 そんな事を彼はメタリファーにむかっていってた。注目したのはメタリファーが時空間を司る存在ということだ。時間と空間に簡単に干渉し得る力を持つメタリファーはむしろそれに特化してるといっていい。
 自分たちが呼吸を無意識にするように。自分たちの言語を別に考えなしに呟くように、メタリファーは時空間を操ることができる。ならば……交信の手段もそれになるのではないか? ――ということだ。
 時空間の変化……それを観測する装置……というのは難しい。でも長い間メタリファーを観測することでメタリファーは手癖で時空間を弄ってるのをしってた。
 ここにいるときはふわふわと浮いてる感じのメタリファーだが、その周囲の時空間は常に変化を重ねてる。それがメタリファーにとっての手癖なんだろう。
 そしてそれだけ自然ならば、それがメタリファーの意思を表す手段だとしてもおかしくない。もしかしたらこっちを見てるとき、何か時空間に変化があるのか、それを確かめるために彼は『目玉』を製造した。
 

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)盤上の迷宮航路にご招待 201

2025-03-19 11:03:38 | 日記
 一通り私はメタリファーと邂逅した記憶を中心に彼の記憶を見た。それによって分かったのは実際彼の記憶の中ではメタリファーの思惑? 願い? はよくわからないということだ。そもそもが彼にメタリファーと通じ合う気がない……というのもあるし、メタリファーも意思を伝えるような……そんな存在じゃない……というのもある。
 ただ時空間の何らかの干渉やら変化……それがある程度許容量を超えるとメタリファーはそれを修正する為に現れるような……そんな存在みたいだ。
 だから彼が最初にメタリファーに出会ったのも、無茶な世界間航行を実行しようとしてたから……みたいだ。記憶にあった記録によると、彼は安全とは程遠いニュートラルチャンバーをしようとしてたらしい。ニュートラルチャンバーはどうやら彼の世界が考案して確立された世界間航行技術らしい。
 つまりはG-01の世界間の移動もそのニュートラルチャンバーを使ってる……と思える。でも……記憶で見たニュートラルチャンバーとG-01がやってる世界間の移動はなんか違ってる気もする。そもそもが自発的に世界観を移動できるから確立されてるわけで……G-01の世界間航行は自発的ではない。必ずその世界のサンクチュアリを必要としてる。
 それは明確な違いとしてある。でもそこは今はそこまで重要じゃない。彼がしようとした無茶が、メタリファーを呼び出して、そしてそれが彼とメタリファーの邂逅になったということだ。
 本当ならそこで彼の世界間航行は失敗するはずだった。失敗といっても止められる――くらいだったと思う。メタリファーは無理やり呼ばれたりしない限りは基本的に無害らしい。そもそも概念だから感情というものは基本的にはないんだろう。
 でも無理やり呼ばれたミレナパウスさんの世界では流石にムシャクシャしてしまったんだろう。だから冷静に対応したらなにか通じ合うことができなくもないのかも? 実際、そのときに彼はメタリファーと意思を通じ合わせたみたいだ。けど契約……みたいなことはしてないと思う。
 きっと天才である彼はメタリファーが現れたときに色々と考えたんだろう。絶望とかの中、自身の世界からも追放されたとき、現れた超常の存在。それに何かを彼は見出した。それは「希望」とか「可能性」とかと言っても良いものかもしれない。
 
 そもそもどうやら世界を追放された段階で彼の研究は行き詰まってたようだしね。世界間航行の無茶も自暴自棄になってた……というのも大きいが、同時に全く知らない世界へと……遠くの世界へと行くことで、研究のきっかけを得られることを少しでも可能性として求めてたんだろう。
 
 そこに現れたウルトラCといえるメタリファー。でも相手は謎の存在でコミュニケーションの確立なんてされてない。神と違って話は通じない。けど……彼は喋った。ただ圧倒的に、彼はメタリファーにプレゼンをやったのだ。
 それが効いたのかどうかはよくわからない。でも、メタリファーはこの船とともに彼をこの空間へと連れてきたんだ。