『凄い! 凄いですよこれ! なるほど、これが生命の発想!? こんな組み方。なるほど……ここがこう……これは罠? ふふ、私には通じませんよ!」
うるさい。まさかアイがここまで饒舌になるとは。私にはアイが何をいってるのかよくわかんない。実際システムに単独で潜ったら、何が何やら……だったからね。いや、表層……この船の普通のシステム部分は別にそこまで複雑じゃなかった。
まあそれはそうだろう。だって表層のシステムはシンプルな方がきっといい。なにせこの船を運営するのに必要なシステムだからね。これが複雑なら、それこそ専門家……というか、それを作った一人にしたかメンテとかできないことになる。
流石に毎回毎回、そんな……ね。個人だけがメンテできないとか共通型番的な規格ではありえないだろう。外側は実際、そこまで改造されてる訳じゃないし。
付け加えられたのはどうやらあの目玉。あの目玉はどうやらここの主だったあの男が開発したみたいだ。私が一人で潜れるのは表層からちょっと行くのが限界だった。けどアイがいれば――もっといける……いや、深遠までいくのだ。そこにはきっと……
ゴゴゴゴゴゴゴゴ――
「なんだ?」
「勇者様……」
ミレナパウスさんが勇者の腕に手を添えた。ミレナパウスさんは自然と……というかきっと意識なんてせずにそんな事をやってる。今、全ての目玉は機能を停止してる。でも工場自体は動いてる。
そんな中、私や輪っかが出て来た、場所から、何かが出てくる。それは金属質な新たなタワー。根元がまずは出てきて、それから更に一段回ほくなってる分が伸びて、それがガチャンと止まると、更に細い部分がまた伸びる。そんな感じで、最終的には先端が鋭利な感じになってる塔が出てくる。
まるでタケノコみたいな? 竹にならずに、タケノコのままおおきくなった塔である。
「これは……」
驚いてる二人。でも説明してる余裕はない。塔に光がはしる。地面についてる部分から、塔の表面へと昇る様に光が集っていく。そしてぱかっと鋭利な先端が開いた。
そしてそれがクルクルと回りだすと、周囲の目玉たちが変な音を出し始める。頭が割れるような音。勇者とミレナパウスさんには悪いことをやってる。けどちょっと我慢。もう少しで、開くから。
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