「禁忌ってなんですか?」
私はそんな風に目の前の彼にそう聞いてた。それには意味なんてないかもしれないと思いつつも、私には聞かずにはいられなかったのだ。だって自分を禁忌とか言われたら……ね。
それは気にするな……というほうが難しい事じゃないだろうか? そもそもが私は自分の事を何もしらない。マニュアルの中には私の情報はないのだ。不自然な程にね。確かにG-01の事はとても詳しく……詳しすぎるという風な程にある。けどそれを動かしてる私の事には一切触れられてないからね。なんとなく私がG-01の稼働には必要なんだろうってことはわかる。
だって私という存在がいらないのであれば、G-01はそれこそアイみたいなAIで動かした方がきっと効率がいい。なにせアイみたいなAIなら命令には忠実だろうし、どんな無茶な命令だって躊躇なく実行することができるだろう。
でもなぜかG-01にはそんな忠実なAIではなく、感情がある私が乗せられてる。それに意味がない……なんてことがあるだろうか? 嫌ない!! といえるよね。
だってG-01を作った人達は世界をも渡る超技術……もっと言えばスーパーテクノロジーをもった人々なのだ。それに疑いようはない。つまりは皆が天才で超優秀な人々だといえるだろう。
そんな人たちが理由もなく、こんな凄いロボットをどこぞの誰かにたくすだろうか? 託すとしたら、そこに理由がないわけがない。私は私の事をなにもしらない。うっすら前の記憶はあるけど……それだけ。それだって実際、本当に以前の……前世の記憶なのかはわからない。
もしかしたらそれだってG-01を作った方々にインストールをされたものっていう可能性がないわけじゃないからね。
そこにきてこの「禁忌」というワード。私は自分が何なのか気になって仕方ない。そもそも私は括りでは「人間」ではないのだ。限りなく私の体は人体のそれだ。けど、私は『プチュオクミ』と呼称されてる。
『君は、君自身を知りたいと思ってるのだろう……』
まさか普通に返ってくるとは……どうやら今見えてる『彼』はただ事前残した録画されたデータ……という訳じゃないみたいだ。これなら色々と話せるかもしれない。
私はとりあえずコクコクと「しりたいしりたい」を表現して見せた。
『そうか。だが、それは重要じゃない。既になされた事はなかったことにはできない。君には既に君があり、それが安定してるのならば、知る必要なんてない。それに全ての事実はいずれわかるときが来るだろう。
それまで必要なのは、成長をし続けることだ。歩みを止めるな。そうすればきっと、ある程度の所にたどり着く』
「そこは目標まで行けるとか言わないんだ……」
なんかちょっと現実的で嫌だな……とか思った。
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