UENOUTAのお絵描きとかブログ

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ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第三十三話part5

2025-02-01 18:05:52 | 日記
 大きくせりあがる海。実は既に小頭達からはもう海坊主は見えない。それだけ海が持ち上がってるのだ。あとは海坊主がその手を離せば、高さ数十メートルの津波として、沿岸に押し寄せる事になるだろう。
 地震も起きてない……それどころかこんな浅瀬の方でいきなり津波が起きるなんていったいどういう風に観測されてしまうのか……普通は津波なんて地震が起きて、それが海の底だったりで、そのエネルギーが海に伝わって波となって陸に押し寄せるって感じだから、いきなり陸の近くから起きるなんて……あるんだろうか? でもそんな常識は今や色々と変化してる今のこの星には通用しないのかもしれない。
 
「おばあちゃん……」
 
 なるべく邪魔しないように……と小頭は声を掛けないようにしてる。でも流石に高波が目の前に迫ってるとなると焦る気持ちはある。とりあえず小頭は手を合わせて拝むようにしてる。それでも漏れ出た声……それか育代に届いてたのかはわからない。
 でもそれ以上はいわない。それに動かない。信じてるからだ。
 
 あとはもう離すだけになってるとおもったけど、海坊主が波を離す様子がない。見えないからどうなってるのか小頭にはわからないが……「あれ?』――とは思う。もしかして……育代の呪術は出来てるのではないか? とね。
 
「おんぬしの祖の根、ここに得られり」
 
 その言葉と同時に、持ち上がってた波がその場に落ちていく。そして次に見えた海坊主……その姿は小頭にもわかるくらいに違ってみえた。具体的にはその体だ。海坊主の体は海色をしてた。肌が青かったんだけど、その肌に黒い文字がなんかびっしりと刻まれてる。
 梵字みたいにみえるそれは、とてもなんか『呪術』っぽい……と小頭は思う。つまりは……だ。あれは育代の仕業なんだろう。その体の全体に育代の呪術が浸透した……とみていい。
 
「おばあちゃん……」
「ええ、成功よ」
「凄い! おばあちゃん!」
 
 そういって小頭は後ろからおばあちゃんに抱き着く。するとふらっとして育代の膝がカクンと折れて砂浜にストンと二人してへたりこんだ。そんなに強く抱き着いたつもりはなかったけど、小頭はいきなり体重をかけた事を謝る。
 
「ご、ごめんなさい」
「ううん、凄くうれしい。小頭を感じれてね」
 
 どうやら育代的にはどんな形であれ、孫である小頭に愛情を表現されるのは嬉しいらしい。それはどんなに疲れてても……だ。
 

転生したらロボットのなかだった(ただし出ることはできません)盤上の迷宮航路にご招待 168

2025-02-01 17:59:49 | 日記
『つまりこのユグドラシルは別の進化を遂げた『ユア・ユグドラシル』と呼べるものなのだ。ユアには五つの意味が込められてて――』
「それでは今のこちらのユグドラシルとは接続は困難でしょうか?」
『君はまだユグドラシルの本質を理解してないようだな』
「本質? ですか?」
『ああ、我々が何を目指してこのコアシステムを開発したか。どういう思想と理念を掲げたか……複数の俺に匹敵するくらいの天才たちが未来を見据えて開発したのがユグドラシルだぞ』
「私はそれに付随されたAIです。ユグドラシルシステムの仕様は全て理解しています。その情報は入ってますので」
『仕様か。確かにそれは君の方が詳しいだろう。流石にこの短時間でユア・ユグドラシルと君たちのユグドラシルの差異を完璧に把握するのは難しい。だが、元はそれほど変わらない筈』
「それでは互換性は保ってあるということですか?」
『いや、寄せればいいだけだ。それがユグドラシルの柔軟性だ。こちらのユア・ユグドラシルとそちらのユグドラシルでお互いに寄せる』
「そんなことが?」
『できる!』
 
 なにやら楽しそうだなー……と私は二人のやり取りを華麗にスルーしてた。いやだって長いんだもん。ここら辺はいいが、寧ろここまで来るのにどれだけ話し込んでるだよっていうね。それまでまさにコアな技術的な事を言いまくってるからこっちからしたら、チンプンカンプンだよ。
 ようやくそろそろ私の出番かな? みたいな感じで用意をしておく。そろそろ声かかかるだろう。なにせ、今はアイは完全にG-01とは切り離してるからね。勝手に戻ることもできない状況である以上、私に声をかけるしかないのだ。
 
「あ、でも今は私はユグドラシルとは……」
『操作権限がないか。問題ない。繋がりがあれば十分だ。相互反応を使う』
「なるほど……その手が」
(え? なに?)
 
 あれれ? 私は? 私は? G-01を操ってる本懐がここにいますよ? するとなんか――
 
 ゴウウウウウウウウウン
 
 ――と今まで聞いたことない音がG-01の内部に響きだす。それに……だ。なんかモニターに知らない文字が浮かぶし。え? これ大丈夫な奴だよね? てか私を通しなさいよ。
 まあ会話に入らないようにしてたのは私なんだけど……でもさまさか私を通さなくてG-01を……いやユグドラシルシステムをどうにかできるなんて……そんなの反則だよ!?