くさむらへ草の影射す日のひかりとほからず死はすべてとならむ
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小野茂樹は、
死のモチーフを持つ歌人であった。
観念の詩でなく、
若くから多くの死に
直面させられたからである。
33歳で交通事故にあって早逝したが、
優れた歌を遺したのも事実である。
つぎのような歌群を遺したことから
彼が死に近い情緒を心にしみて感じてでいたことがわかる。
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隆みより日に乾きゆく川の砂まのあたりわれは父の死を見ず
崖の照りかがよふ谷の緑をゆきこの地に還す葬列に会ふ
母は死をわれは異なる死をほもひやさしき花の素描を仰ぐ
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