母の名は茜、子の名は雲なりき丘をしづかに下る野生馬
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宮崎県の都井岬で詠まれた
伊藤一彦の歌である。
2頭の馬がいる。
母と子であろう。
伊藤が、
母は茜、
子は雲、
と名付けた。
夕焼けにさす茜。
空に浮かぶ雲。
美しい情景が想像される。
母は、盲目のようである。
いたわりあう親子。
視力なき月盲の母待ちてゐる一頭なしや夕光に消ゆ
睦みあひすでに睡れるか盲ひたる一頭もゐる岬の馬群
このように、
情景を歌ってもいる。
名をつける、というのは、
古来から重要な行為である。
伊藤には、
次のように、
自転車に名をつけた歌もある。
おぼれゐる月光見に来つ海号とひそかに名づけゐる自転車に
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