鳥居。
セーラー服の歌人。
はるか昔に中学を中退した。
そののち、中学に復学することを志願。
ところが、学校は、すでに中学を卒業しているから、
と受け入れなかった。
そこで、鳥居は、抗議の印として、
公式の場にでるときは、必ずセーラー服を着用することにした。
これを機に、文科省が動き、2015年、中学の形式卒業者を夜間中学校に受け入れるよう、全国に通達を出した。
鳥居は、凄まじい過去を持つ。
2歳のとき、両親が離婚する。
小学校5年のとき、精神を病んでいた母が、自死した。
のちに、そのときのことを繰り返し繰り返し作品にした。
それ以来、学校にはいけず、
小学校、中学校は不登校であったが、
国は、「形式卒業者」として、
中卒扱いとした。
既述のように、それに抗議して中学に通いたい、という彼女の願いが、
文科省を動かしたのである。
母が自死したあとは、叔父に虐待され、
養護施設に入っても凄まじいいじめを受けた。
成り行き上、あるときから、ホームレスとなった。
当然、漢字は書けない、読めない。
落ちている新聞を読んで、漢字を学んだ。
そして、あるとき、穂村弘の短歌に感動し、
作歌をはじめる。
歌人吉川宏志に手紙を出し、生い立ちを明かした。
彼から、歌を作ることを勧められ、
短歌の創作を始める。
2016年、最初の歌集「キリンの子」を出版。
歌集としては異例の2万部が売れた。
2017年、第61回現代歌人協会賞を受賞。
それ以来、作歌、小説創作を続けている。
現在でも、公式の場に出るときはセーラー服を着る、
と言われる。
作品は、少しずつ紹介するつもりであるが、
2つだけ例を挙げる。
①母が自死したときの歌
灰色の死体の母の枕にはまだ鮮やかな血の跡がある
②中学生の時、友人が飛び込み自殺をしたときの歌
しゃがみこみ耳をふさいだ友だったあんなに大きな電車の前で
警報の音が鳴り止み遮断器が気づいたように首をもたげる
君が轢かれた線路に積もる牡丹雪「今夜は積もる」と誰かが話す
彼女は健在であり、
限られた範囲ではあるが、情報を得ることもできる。
と受け入れなかった。
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